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テレビ“番宣”の進化 ナチュラル化を目指す各局の様々な工夫とは?

  • 『オールスター感謝祭』で“命がけの番宣”をした土屋太鳳 (C)ORICON NewS inc.

    『オールスター感謝祭』で“命がけの番宣”をした土屋太鳳 (C)ORICON NewS inc.

 季節の変わり目、3カ月に一度のテレビ局改編期には、俳優たちが普段はなじみのないバラエティ番組などに出演し、ドラマの宣伝をするのが恒例だ。これまでは番組の最後に取ってつけたような前ふりを受け、ドラマの映像と並んで「〇日〇時から初回70分スペシャルでスタートしますので、みなさん見てください」的な“ベタな番宣”が定番で、視聴者も若干シラケてしまうというのがお約束だった。しかし最近では、数々のユニークな新方式が誕生し、俳優陣の柔軟な対応を目にすることも増えてきた。“番宣”の進化がもたらす効果とは?

「俳優参加型」へと潮目が変わったきっかけは土屋太鳳による“命がけの番宣”

 かつて“ベタな番宣”が行われていた頃は、バラエティに俳優が出演すること自体に価値があった。そのため“ザ・女優”的な大物が微笑みを浮かべるだけで成立していた部分もあった。しかし今では“俳優参加型”の番宣が増加。これまで棲み分けされていたドラマとバラエティの垣根を取り払い、俳優たちがバラエティのゲーム企画やロケに参加したり、人気芸人のネタに絡みはじめたのである。

 『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』(日本テレビ系)で大物女優が「朝まではしご旅」でいい感じに酔っ払いながらトークを弾ませたり、『しゃべくり007』(同)では、人気女優が根掘り葉掘りプライベートを突っ込まれたり、『VS嵐』(フジテレビ系)や『東京フレンドパーク』(TBS系)などの復活特番で体を張ったゲームに参加するなど、今ではドラマに出演する俳優たちの姿は一気に親しみやすいものとなり、イメージアップにもつながっている。

 “究極の番宣番組”とも言える『オールスター感謝祭』(TBS系)に至っては、恒例の「赤阪5丁目!マラソン大会」に若手人気女優の代表格・土屋太鳳が“ガチ”で挑戦。ゴール直後に倒れこみ失神寸前になるほど全力疾走で挑んだ土屋の姿は、司会の島崎和歌子が思わず涙するほど感動を呼び“命がけの番宣”と語り次がれることとなったのだ。

番宣を“集団芸”に昇華させた『行列のできる法律相談所』の手法

 そうした露出・参加型の番宣に果敢に挑む俳優たちだが、バラエティに限っていえば、素人同然なことは確か。大物女優が、微笑みを浮かべるだけでトークに参加しなければ(気取ってるね…)となるし、逆にトークが面白ければ(意外と庶民的で好感持てるな)となる。簡単なクイズ問題にも答えられないと、(それもまたカワイイ)ともなれば、(ちょっと幻滅…)ともなる。つまり、その立ち居振る舞い如何ではプラス効果だけでなく、時にマイナスに転じる可能性すらあるのだ。そこで、“バラエティ慣れしていない人をどうやって受け入れていくのか?”という面で制作側もユニークな番宣の手法を日々生み出している。

 堅苦しさを無くした“ナチュラル番宣”の代表例と言えば、日曜夜の高視聴率番組『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)だろう。同局のドラマ『ゆとりですがなにか』を例に取れば、ゲストの岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥の3人が番組ラストで、「いろんなことを迷いながら、戦っていく姿を描いたドラマです。みなさん見てください」とさらりと宣伝すると、いきなりアンジャッシュ・渡部建が登場し、「ちょっと待って、何ヘラヘラ告知してる…あんな素晴らしい作品、もっと熱のこもった告知しないと!」と噛みつき、「クドカン(宮藤官九郎)脚本で、30歳手前の第一ゆとり世代が青春・家族・仕事・恋愛に立ち向かうエンターテインメント・ヒューマンドラマ、ぜひご覧ください!」などと、お得意の食レポよろしく、面白おかしく完璧に見どころを紹介する…というもの。

 渡部がアンカーに付いているので、バラエティに不慣れな俳優陣も気楽でプレッシャーもかからず、渡部自身も自分のアピールができる。局側もより詳細に番宣できるし、制作側も笑いが取れてなごやかな雰囲気を醸し出せると、それぞれがウィンウィン関係に収まるわけである。

“番宣”のための協力を惜しまない 俳優のスタンスにも変化

 また、“朝から番組ジャック”型の番宣も最近よく目にするようになった。これも日本テレビ系で言えば、いきなり朝5時50分からの『ZIP!』にはじまり、『スッキリ!』、『PON!』、お昼の『ヒルナンデス!』と連続出演するというもので、最近では『先に生まれただけの僕』で校長役の嵐・櫻井翔が連続出演。これだけの“出ずっぱり”だと、視聴者のほうでも(このドラマ、気合入ってるなぁ…)となるし、視聴者層としても通勤・通学前の会社員・OL・学生から、主婦層・お年寄り層まで幅広くカバーできるため、老若男女へのアピール&好感度アップが見込めるのだ。

 今では「この番組に出たかった」と公言して、自ら出演を希望するパターンも見られ、視聴者が“番宣のために出演している”という空気を感じることも少なくなった。“番宣という名目で出演する豪華ゲストをどう生かすのか?”バラエティ制作スタッフの創意工夫がドラマとバラエティの垣根を取り払い、俳優のスタンスをも変化させたのかも知れない。様々なスタイルが編み出される番宣企画、今後も俳優たちがドラマ以外でも輝くような“新型番宣”が増えていくに違いない。

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