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ニッチェ江上敬子、色モノ枠ではない“本格的すぎる”芸人女優の可能性
女芸人の“女優化”は依然続く、2018年はニッチェの江上に注目
一方、純粋に演技力自体が評価される女芸人もいる。映画『福福荘の福ちゃん』(2014年)に主演した森三中の大島美幸は、丸刈りの塗装職人というおっさん役に挑戦し、「第18回ファンタジア国際映画祭最優秀女優賞」を受賞。『フラガール』(2006年)に出演した南海キャンディーズの山崎静代は、第30回日本アカデミー賞の新人俳優賞を獲得している。出方はさまざまだが、ドラマ・映画において女芸人の進出は依然続いているようだ。そして、2018年に女優化を果たす女芸人が、ニッチェの江上敬子。映画『犬猿』(2018年2月10日公開)にメインキャストとして出演をすることが注目されている。
“色もの”としてではない“女優枠”での出演
先述のブルゾンちえみは、劇中にも芸人としてのキャラクターに寄せた役でテレビ出演。芝居を評価された大島美幸も、おっさん役であるとはいえ、元々の芸人のキャラクターを考えれば、イメージに近しい役柄といってもいい。しかし、ニッチェ江上の場合は、パブリックイメージのキャラクターとはまったく異なる役柄に、メインキャストとして起用されている。“本来のキャラ”でない役を演じ分けられるという点で、バイプレイヤーとして大成する可能性もあり、今回のように重要なメインキャラも演じられるということになる。このように、江上のケースは、これまでの“人気絶頂の女芸人”とは異なるベクトルで女優化を果たしている。ある意味 “本格的すぎる芸人女優”と言えるだろう。
ニッチェの芸ににじみ出る女優業への強い憧れ
そんなニッチェだが、2009年には『爆笑トライアウト』(NHK総合)の 会場審査で2位 (425TP) となり、オンバト挑戦権を獲得。そしてその『オンバト+』(NHK総合)では戦績7勝2敗、 最高521KBを獲得し、女性芸人としては最高KBを記録するほか、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)の出演などで、徐々にお茶の間にも知られるようになっていった。しかしながら、キャラがかぶるおかずクラブにポジションを奪われたきらいもあり、「(ニッチェよりも)ギャラの安いおかずクラブには勝てない」と公言したこともあった。それでも腐らずに地道に活動を続け、女優の及川奈央・久下恵美による演劇ユニット「類類〜Lui Lui〜」とニッチェで4人芝居にチャレンジし、やはりここでも地道に“女優活動”を続けるという“実績”を作っていたのだ。
女性版・竹中直人に!? “本格的すぎる”芸人女優として定着なるか
最近は、昨年末の『女芸人NO.1決定戦 THE W』(日本テレビ系)に出演するなどの活躍を見せている江上。映画『犬猿』の公開に先立って発表されたコメントでも、「台本の自分の役名の下に、『太っていて容姿が醜い女性』と、ご丁寧にキャラクター説明がされてあり、納得した反面、もうちょいオブラートに包んだ言い方はできないものかと憤慨しました。でも、台本を読み進めて行くにつれて、自分の役である由利亜に感情移入をしてしまい、引くぐらい泣いてしまった。初めてしっかり挑んだ映画が『犬猿』で、演じた役が由利亜で良かった! コントの演技で培った顔芸は封印し、女優になった私の演技をぜひ見て頂きたいです」と、早くも女優魂をのぞかせている。ニッチェの活動ももちろんだが、大先輩・泉ピン子の“王道”パターンを引き継ぐ“本格派女優”江上敬子の活躍に期待したい。