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『お笑い向上委員会』発、“モニター横”が若手芸人の新たな登竜門に
番組を機に“モニター横芸人”たちがこぞって躍進
そんな進行も異色だが、本来出演者ではない“モニター横芸人”とさんまがカラむのも番組の重要なコンテンツになっている。モニター横芸人は、さんまのトークの流れで突然、番組に参加できるチャンスが訪れる。さらに、番組締めには、岡田圭右の持ちギャグ“閉店ガラガラ”で始まるネタ見せに参加でき、芸歴いっさい関係なしの下克上「SURVIVAL TIME」で生き残ると、そのネタはオンエアされる。そうしたモニター横での活躍が認められると、下手のゲスト向上芸人としての出演、さらには上手の向上委員会メンバー入りといった出世もあり得るというわけだ。
若手の無名芸人の“登竜門”としては、『ぐるぐるナインティナイン』内の企画「おもしろ荘」や『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(ともに日本テレビ系)の「山−1グランプリ」などがあり、ブルゾンちえみやムーディ勝山のようにそこで注目を集めた芸人がブレイクするケースもある。しかし、それらはほとんどが年末や新春の特番。かつては『エンタの神様』(同)やアングラ芸人でも出演できた『あらびき団』(TBS系)などのレギュラー番組もあったが、やはり今では特番で復活するぐらいだ。
『お笑い向上委員会』は、レギュラーの東京キー局バラエティ番組で無名の芸人が毎週ネタを見せることができる貴重な場になっており、若手芸人にとっては知名度を挙げる絶好のチャンスになる。実際に、ここでインパクトを残した若手が、他局の深夜バラエティ番組などでの出演が増えていくケースも見受けられる。もともとは、ベテラン芸人たちのトークを勉強したいとモニター横で見学していたジョニ男(現在はひな壇の一員)からスタートした同枠だが、いまではすっかり次代の若手芸人たちが芸を競い合う場になっている。
芸人を育てる“お笑いの戦場”としての本気度
実際、チャンスがあると言ってもハードルは高く、「SURVIVAL TIME」ではおもしろくなかった芸人にはシャッターが下ろされ、オンエアされない。オジンオズボーンの篠宮暁は「シャッターが降りたときは、ギロチンで首を切られた気分になる」と語っていたが、しっかり芸人ごとのオンエア率もテロップで表示されるし、大物芸人が挑戦しても同様の扱いを受ける。そんなところも“お笑いの戦場”としての番組の本気度が感じられる。
現在は、『M-1グランプリ』『キングオブコント』『R-1ぐらんぷり』『THE MANZAI』などの年に1回開催されるメジャー“お笑い賞レース”での優勝もしくは上位入賞が若手ブレイクの王道になっている。しかし、そこは非常に狭き門であり、才能と運気、勢いがあって時流に乗ることができ、ごく一部の若手のみが輩出されていく。
かつての“ネタ見せ番組”や、『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ系)のようなオーディション番組も消えたいま、先輩芸人たちの容赦ない“洗礼”を受けることができるレギュラー枠の番組は貴重であり、お笑い界にとって意義のある存在になっていることは間違いない。