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お笑い芸人で脚本家のバカリズム、“二足のわらじ”を履く現在の心境とは

 バカリズム、二階堂ふみ、オードリー・若林正恭の異色トリオが出演するドラマ『住住(すむすむ)』(1月24日放送開始 日本テレビ・Hulu)が、放送開始前から期待の声が寄せられていた。自身も出演し、原案から脚本まで手掛けたバカリズムに、ドラマの観どころや撮影の裏側、さらにお笑い芸人と脚本家として二足のわらじを履く現在の心境を語ってもらった。

ドラマ『住住』は、コントとは違い“引き算”の方が多かった

――ドラマ『住住』の第一話を拝見しました。いろんなとこがツボで何度も笑っちゃったんですが、あの不思議な空気感というか面白さは何なんでしょう?
バカリズム 不思議な感じですよねぇ。あまり前例がないから自分でもどういう反応になるんだろうって、今まで脚本を書いたドラマよりも不安があったんですけど……。

――それぞれが本人役として出ているので、どこまでが演技なのか素なのかわからない。ある種“フェイク・ドキュメンタリー”のようなドラマですが、この設定はどんな風に思いついたんですか?
バカリズム まず先にこの3人で何かできないかなってお話があったんですよ。スタッフと雑談をしている中でそれぞれが本人役で、僕や若林(正恭)さんが普段、本当に話していそうな、スケールの小さいことをテーマとして取り扱ってみたらどうかと。それってこれまであまりないよねってところからスタートしたので、観たことがないドラマになっていったんですよね。

――バカリズムさんと若林さんの日常=部屋に二階堂ふみさんっていう“非日常”な存在が突然、入ってくるところが肝ですよね。
バカリズム 二階堂さんは会えばご挨拶するぐらいの面識しかなかったので、まさに現実もドラマの設定どおりの距離感だったんですよ。お互いに知ってはいるけどがっつりお仕事をしたことはないから、二階堂さんが若林さんの部屋に来たら「どうする? どうする?」って焦るみたいな。本当にああいう感じになるだろうなってことをそのまま書いたんです。

――よりリアリティを出すためにこだわったことは?
バカリズム コントの台本は笑いのための要素を詰め込んでいくいわばプラスの作業ですが、『住住』はいらないセリフをどんどん削除していく作業がメインでした。面白くても日常にはない言い回しとか、コントではウケても実際に言ったら白々しいなってボケとかは全部、削っていく引き算の方が多かった。それで、さらに撮影の段階でも、浮いてしまうセリフやリアルじゃないものはカットして、より日常に近い感じにしていったんです。だから、どんなんだろうって心配ではありましたよね。普通のコントなら笑いのフックみたいなものがあるからチャンネルを変えられないってなるのに、それを全部、削っちゃいましたから……どうでした?(笑)。

――いや、引き込まれました。リアルなやりとりだからこそ、先がまったく読めない面白さがあるし、この3人は普段もあんな風に話しているのかなって、覗き見的な興味もあって(笑)。
バカリズム 1話では出前を何にするかで延々と話していますが、そんなドラマ、普通はないですもんね。でも、日常生活だと揉めるのってそれぐらいのくだらないことだったりするじゃないですか。そこを観ている側に共感してもらったり、心地いいと感じてもらえたらいいなと思ったんですよね。

コントとドラマの脚本を書くのは、基本は変わらない

――セリフだけじゃなく3人の演技もすごく自然でしたが、撮影中はどんな雰囲気だったんですか?
バカリズム 最初はみんなもやったことがない撮り方なので若干、現場に緊張感があったんですよ。でも、まず僕がこんな感じにしたいっていう雰囲気を演技しながら作っていって、2人もそこに合わせてくれて。ある程度、慣れていってからはもうそれぞれが好き勝手にやってくれたのでスムーズでした。

――バカリズムさんから見て演者としての若林さんと二階堂さんの印象は?
バカリズム 若林さんの演技はこれまでにも見たことがあるんだけど、本当はもっと演技を“できちゃう”人なんですよ。でも『住住』でやっているぐらいの自然な演技を知ってもらえたら、今後はさらに役者としてのオファーが増えるんじゃないですかね。二階堂さんは、ザ・女優さんでやっぱりすごかった。視聴者は台本かアドリブかわからないから気づかないかもしれないけど、実はものすごいテクニックを使ったなってところは結構あって。「今の言い方、うまい!」とか、「そこで一拍、間を空けて言うんだ?!」とか、細かいところはさすが女優というか。アドリブっぽく見せていますが、実はすべてがちゃんと計算されているんですよ。

――演技がうまいと、そのぶん“芝居っぽさ”が出てしまうこともありますが、さらにそこを越えてくるんですね。
バカリズム 二階堂さんは両方できるんです。いわゆる上手な“演技”もできるし、演技っぽくない“演技”もできる。常に自分を第三者的な目で見られる人だから、いろんな演じ方をできるんですよね。ただ、二階堂さん自身は「二階堂ふみ」って設定でやっているけど、「私はここまで変なヤツじゃない。あんなにひどくない」って言っていました。「ドラマを観た人は絶対、私のことを変な子だと思う」って、ちょいちょい僕、文句を言われているんですよ(笑)。

――実際にあんな空気を読まないコがいたら、相当、引きますもんね。
バカリズム 実際の二階堂さんはめちゃめちゃ空気を読めるし、ちゃんとしたいい子です! そこはハッキリ言っておかないと(笑)。

――バカリズムさんも劇中ではかなり変なヤツで、本当にこんな人ならヤバいって思いました(笑)。
バカリズム いや、僕の場合は自分で書いていますから、脚本の意図を汲んだ演技をできないとさすがにまずいじゃないですか。ただ、僕も含めてみんなに言えることだけど、あの程よいユルさというか。ダラダラしすぎちゃうとダメだし、緊張してもダメっていう境界線はすごく難しいんですよ。ちゃんと演技をしつつ、ドラマの世界観とか台本の主旨から外れないアドリブも入れてみたいな。その上で観ている人がギリギリ心地よいラインを保つのはなかなかできることじゃない。それができるのは撮影チーム全体でこういうものを作りたいっていう理想像がちゃんと共有できているからで、1人でもズレると多分、雰囲気が変わってカッコ悪い感じになっちゃう。そこの足並みを揃えて全員が同じものを目指せているっていう点では、すごくうまくいっているチームじゃないですかね。

――ちなみに脚本を書くときとお笑いのネタを書くときって、やり方や感覚は違うんですか?
バカリズム 基本は変わらないです。ネタを作るときは日常の何気ないシーンをどれだけ誇張するかってところがベースになるけど、脚本の場合はそれをドラマ用に書き換えるぐらい。根っこの部分はコントを書くのと同じです。特に『住住』に関してはほぼコント感覚で書いていて、その上でお笑いのネタになるような部分をあえて削っていくっていう、そんな作業でした。だから、ある意味、本質だけにすごくこだわってやっている部分はあるかもしれない。しかも普通のドラマやコントと違って派手な展開、要は保険がないから、やりとりの間とかが良くないと一気にダラダして見えちゃう。そういうリスクはすごく高いと思いますね。

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