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ORICON NEWS
進化続けるものまね芸 “マネされる標的”にも変化が
かつて“ものまね四天王”時代は、過剰にデフォルメしたキャラが主流
ただ、ものまねされる人物が誰だかわからなくても、つい笑ってしまうという芸は過去からあった。コロッケのちあきなおみや野口五郎にしても、当時はオンタイムで彼らの全盛期を知る人は少なかったはずだ。しかしコロッケは、本人の原型をとどめないほどにキャラをデフォルメし、誰が見ても爆笑するものまねを確立していく。「僕の場合は模写から妄想して破壊するので、全く違う物体になっていくんです。(略)僕自身、破壊したあとに凄く大事にしたのが“余韻”なんですね。ものまねって家族で観る機会が多いと思うんです。その時、家族で『これ、似てるの?』、『フフフ、いや似てないんだけど…』、『じゃあ、なんで笑ってるの?』っていう会話をして欲しかった」(『ORICON NEWS』インタビューより/2014年7月16日)
そして1980年代後半〜1990年代前半にかけて、ものまね四天王(清水アキラ、コロッケ、ビジーフォー、栗田寛一)が全盛期を迎えるが、ものまねされるのは大御所歌手や人気アーティスト、ルパン三世のような有名キャラが中心で、それほど“素材”への意外性はなかった。あくまでもその歌手の曲に合わせてしぐさや声をマネるのが主流で、せいぜい栗田貫一が“もしも細川たかしがセミだったら…”といったものまねをするぐらいだった。
近年はマニアックなディテールを重視 “本人”を見て納得する逆転現象も
また、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の番組内企画「細かすぎて伝わらないものまね選手権」の影響も大きい。その名の通り、細かすぎるコアなネタが繰り広げられ、わかる人にはウケ、わからなくても何となくおかしいといったジャンルが確立したのだ。梅小鉢による“菅野美穂”や、福田彩乃による“引き笑いの長澤まさみ”などのほか、プロ野球のスター選手や外人選手のものまねなどが次々と披露され、河本準一(次長課長)、博多華丸(博多華丸・大吉)、山本高弘、キンタロー。、横澤夏子らが脚光を浴びた。バナナマン・日村勇紀による元横綱・貴乃花の幼少期のインタビュー「あのね〜、ぼくね〜」や、友近の中森明菜のものまねなどは、若年層にはわからないはずだが大ウケし、2014年に中森が『NHK紅白歌合戦』に出演した際は、“ああ、中森明菜は本当に声が小さくて、何を言ってるのかわからないんだなぁ…”と初めて納得するという“逆転現象”まで起きたのである。
一方でものまねされにくい著名人も 山田孝之や星野源をマネる猛者は現れるのか?
それでも最近では、もはや“ものまねできないものはない”というくらいに、ネタが細かなディテールにわたって“渉猟”されている感もあり、これまで見てきたようなものまね芸人たちの努力と実績に支えられ、飛躍的なスキルアップが行われてきた。お茶の間でも長く愛され続けているものまね芸。これからも新世代芸人たちの登場や活躍とともに、決して廃れることのない“鉄板コンテンツ”としてわれわれを楽しませてくれることだろう。