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関西出身“女芸人”の全国ブレイクが少ないワケ
一時期は話題になっても、全国区に定着する関西女芸人は少ない
全国区になるには東京で継続的な人気を得なければなれないが、そこで重要になるのが同性に受け入れられることだろう。たとえば女性からの絶大な支持を誇る渡辺直美は、SNSなどを駆使して自身のファッションや恋愛ネタを発信しているが、自虐とお笑いなど彼女のキャラクター性をまっすぐに表現するスタイルが好評。“女らしさ”も嫌みにならず、女性からも“かわいい”“センスがいい”と羨望の眼差しが向けられる存在になっている。
一方、関西の女芸人で見ると、おもしろさの根源である関西弁が、同性から“強すぎる”と感じられてしまうことがある。もちろん、関西弁自体は芸人たちが発信元になってバラエティでもおなじみであり、東京人も日常のなかで普通に使っていたりもする。勢いよくまくし立てる口調やぐいぐいと迫る感じがその特徴であり、親しみやすさの象徴であるのだが、女性にとってはクセやアクの強さが、どこか近寄り難さを生んでしまい、親近感や共感から遠ざかってしまうこともある。
とくにそれが同性からであると、“ズケズケと食い込んでくる”といったイメージは拭えず、一生懸命さやがんばってる感さえも“強さ”となって、なんとなく馴染みにくさを感じさせてしまう。東京進出当初は勢いやインパクトでおもしろがられても、次第に距離ができてしまっているのが現状ではないだろうか。
愛媛県出身ではあるが唯一、関西弁の女性ピン芸人で孤軍奮闘している感もある友近も、ネタではコテコテの関西弁でコテコテのキャラも登場するが、“大御所演歌歌手・水谷千重子”などは友近本人とは一線を画して演じている。キャラクターに憑依することで、自身のパーソナルな面では“強さ”を感じさせず、ソフトな印象を残しているのだ。
同性の共感を得られるか、いかに受け入れられるかがキーポイント
すでに下ネタトークがウケて全国区のバラエティ出演が増えているあたりは、まずはブレイク路線に乗っていることが見て取れるが、そこから定着できるか、時流に乗って先達がぶちあたった壁を乗り越えることができるかは、これから同性にどうアプローチしていくかにかかっていると言えるだろう。
“西の大ボス”との異名も持つあの上沼恵美子でさえ、1994年、1995年と『紅白歌合戦』(NHK総合)の女性司会を担当したとき、「『第45回NHK紅白歌合戦』(1994年)で出場歌手との面談の際、横を向いて目を会わせてくれない方が4、5人いた」と『あさイチ』(NHK総合/2015年12月25日放送より)で語っており、さらに「その人たちはいまだに大っキライです」と述べるほど、“東京のハードル”は高いのである。
関西出身の“女”であることをウリにして、どこまで女性からの反感を買わずにひとつの“キャラ”として確立させることができるのか。東京さらには全国進出へ向けたキーポイントは、そのあたりにありそうだ。