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韓国ミュージカル特集:K-POP&韓流ドラマの後を追う?話題作『マイ・バケットリスト』日本上陸
K-POP、韓流ドラマ、韓国映画が固定ファンを持ち、一時期の勢いは衰えているものの日本エンタテインメントシーンに定着しているのに対して、そのクオリティが評価を受けながらも日本でマーケットが確立されていない韓国ミュージカル。毎年数本が日本上演されながらもコアファンと出演するK-POPアイドルファンからの広がりがなかなか見られない。そんななか、この2月に上陸する新作『マイ・バケットリスト』は、その社会性と話題性からシーン定着への礎となることへの期待も寄せられている。再三の参入にも関わらず、壁を超えられていない韓国ミュージカルの現状とは?
若手クリエイターが集い先鋭的な新作が続々と生み出されている
その一方、本国韓国では若者を中心に熱い人気を誇り、日本マーケットへの再三の参入が続けられながらも、なかなか定着が果たせていないのがオリジナル脚本による韓国ミュージカルだ。その歴史は新しく、2000年代に入ってじわじわと現地で盛り上がり始め、同後半くらいからは若手クリエイターによる新作が続々と登場し、大きなムーブメントとなって活況を呈するとともに、日本にも上陸。日本で劇場公開される韓国映画の本数にはおよばないものの、1ヶ月ほどの公演期間の演目が毎年コンスタントに数本ほど日本上演されている。
日本で韓国直輸入の専用劇場オープンも一般層への定着は叶わず
現地の人気作をタイムリーに、その熱気をそのまま日本へ持ってくることで注目され、韓国までミュージカルを観に行くコア層を含む一定のファンを作り上げたものの、マーケットとして定着させるほどの一般層を巻き込む規模には至らず、同劇場は契約期間の満了とともにオープンから1年ほどで幕を閉じた。
しかし、K-POPや韓流ドラマほどのマーケットにはなっていないものの、専用劇場のクローズ後もコンスタントに日本上演されているのは、やはりそこにニーズがあり、エンタテインメントとしてのクオリティと日本におけるポテンシャルがあるから。一度観るとハマる観客も多い韓国ミュージカルは、ジャンルとして形容し難い作品も多いのだが、そこにはK-POPでおなじみの歌とリズム、キレのあるダンスが入り、韓流ドラマのコミカルな笑いと涙、韓国映画のどギツイ表現やストーリーテリングなど、韓国が得意とするエンタテインメント要素も顔を出す。王道をベースにしながら実験的なアイディアを盛り込んだ、若い才能によるオリジナルの先鋭的な作品があふれている。
社会性と話題性を有する新作上陸が韓国ミュージカル定着の礎となるか
10代の病気の若者の生きることと死ぬこと、そして希望という普遍的なテーマを掲げる同作は、2014年の初演から翌年、翌々年と韓国で再演を重ねるなかで、青少年のための“生命尊重”キャンペーン、病院でのチャリティコンサート、オリジナルミュージカル曲が自殺予防キャンペーンの一環として起用されるなど、公益性のあるイベントとのコラボなど社会性を有するさまざまな展開で注目を浴びた。
(文:編集部・武井保之)