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天海祐希インタビュー『良いことも悪いことも、打たれることも調子に乗ることも(笑) 全部含めて必ず意味がある』

 映画やドラマなど数多くの作品で主演を努めてきた天海祐希。2016年は、4年半ぶりのドラマ主演(フジテレビ系『Chef〜三ツ星の給食〜』)で主題歌をユーミンとデュエットしたことでも話題に。そんな今のエンタテインメントシーンを牽引する女優である天海に、新たな年への想いを聞いた。2017年最初の主演作『恋妻家 宮本(こいさいか みやもと)』についても語ってくれた。

年齢を重ねると連ドラ主演が難しくなる現状

――『恋妻家 宮本』はいろいろな世代の人物が登場するので、幅広い年齢層の方が楽しめる作品だと思いました。そのなかで50歳同士の夫婦を中心に物語が展開されていきますが、夫の陽平を演じた阿部寛さんとは久々の共演ですよね?
天海祐希ジムが一緒なので偶然お会いすることもあれば、テレビCMでもご一緒していたのでわりとお目にかかる機会はあったんです。親戚のお兄ちゃんみたいに思っていて(笑)。1996年に放送されたドラマ『橋の雨』(フジテレビ系)が、私にとって初めての民放ドラマ出演作で、許嫁役が阿部さんだったのですが、「20年経って夫婦役でご一緒できるなんて思わなかった」と今作の現場ではふたりで話したりしました。
――当時を思うと感慨深いものがありますよね。
天海祐希年齢を重ねていくと連ドラの主演がどんどん難しくなっていきますが、阿部さんは連ドラ主演を何年も続けていらっしゃいます。私もありがたいことに主演をいくつかやらせていただくなかで、阿部さんががんばっているから私もがんばろうと思える部分もあるんですよね。そんな話も阿部さんと今作の現場でたくさんしました。人としても役者としても阿部さんは心から信頼できる先輩です。

――阿部さんが演じた陽平さんは良い人だけど優柔不断で少しイラっとする面がありますよね(笑)。
天海祐希イラっとしますよね(笑)。優しくて良い人ですけど、私が演じた妻の美代子にとってはいろいろ思うところも。ただ、今作には愛おしい人たちがたくさん出てくるので、自分の周りがこういう人たちばかりならいいのにと思うんです。もがきながら人生を一生懸命生きている人ばかりでみんな素敵ですから。

若い頃は白黒ハッキリつけたがることも多かった

――美代子さんを演じるにあたり気をつけた部分はありますか?
天海祐希よくそういった質問をいただくのですが、具体的に答えたことでそこを中心に観られてしまうのが苦手なんです。ですので、気をつけた部分というよりは、阿部さんが大きな体で小さな心を持った宮本陽平を愛おしく演じてくださったおかげで、自然と側に寄り添う気持ちで演じることができたんじゃないかなと思います。脚本を書いてくださった遊川和彦監督からも的確な指示をいただいたので、とても演じやすかったです。「とにかく疲れた感じで」と現場で遊川さんがおっしゃって、「私、疲れているんだけどな……」なんて思ったり(笑)。背が高くて目立ってしまう私と阿部さんは、冴えない中年男と平凡な主婦に見えるように徹底して役作りしていたように思います。

――遊川監督とはドラマ『女王の教室』『演歌の女王』(日本テレビ系)など何度もお仕事されていますね。
天海祐希遊川さんは、人生のちょっとした出来事のクスッと笑ってしまう瞬間や、人間ならではの切なさや愛しさなんかを大事にしていて、そういったことを盛り込んで脚本を書いてくださるんです。今作は重松清さんの小説『ファミレス』から宮本陽平と美代子のお話をピックアップしていて、優しいことや正しいことなど、こうであって欲しいという遊川さんの想いが脚本から伝わってきました。大事なことは全て台本に書かれているし、読めば読むほど理解できます。顔見知りのスタッフさんも多かったので、とても楽しい現場でした。
――陽平さんの台詞にある“正しさより優しさ”という言葉には考えさせられるものがありました。
天海祐希そうですね。私も若い頃は白黒ハッキリつけたがることも多かったのですが、年を重ねるにつれてグレーであることや曖昧であることは決して悪いことじゃないんだと思えるようになりました。優しいことは優柔不断に見られたり中途半端に思われることもありますが、それでも優しさが必要なときが絶対にあります。白か黒かでコテンパンに誰かを叩くのではなく、グレーにしておいてあげて、いつかそのグレーが自分にとっては白だった、黒だったと気がつけばいいことだと思っていて。正しいことだけが正解じゃなく、優しいことも大事なんだと観てくださる方が感じてくださったら嬉しいです。

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