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俳優、海外ソロ、映画劇伴…多才ぶり発揮するRADWIMPS・野田洋次郎
若者からカリスマ的な人気を誇るRADWIMPSにおける野田
RADは今年8月26日のテレビ朝日系『ミュージックステーション』で結成15年、メジャーデビュー11年目にして初の地上波音楽番組出演となったが(『君の名は。』主題歌の「前前前世」(movie ver.)を披露)、2000年代にデビューした多くの邦楽ロックバンドと同様に、テレビ番組への出演など大規模な宣伝展開をあまり積極的に行ってこなかった。それにも関わらず、ここまでのカリスマ的ともいえる人気を獲得するバンドとなったのは、デビューからライブや大型フェスなどに積極的に参加してきたことはもとより、ボーカル・野田が紡ぎ出す唯一無二の歌詞にある。
時には“哲学的”“天才”とも評されるRADの詞は、実体験を野田ならではの感性で言葉にしており、言葉遊びのようでありながら、多くの若者の共感を呼んだ。その一方で、どんなに革新的な作品に挑もうとも、洋楽や邦楽ロックからも影響を受けている彼らの楽曲は、どこかに大衆性を残している。『君の名は。』ではRADならではの詞やサウンドに加えて、こうした大衆性の巧みなバランスで、映画、音楽と相乗効果で互いに好影響を与えている。デビュー11年目で中堅からベテランに差し掛かった時期ではあるが、今回のヒットで、新規ファンを開拓できたのではないだろうか。
表現者として新たな分野へと挑戦していく姿勢
こうした中で、野田はやはりホームであるRADを大切にしながらも、比較的他ジャンルへのチャレンジには柔軟な姿勢が感じられる。たとえば、2012年より始動させたソロプロジェクト「illion」では、兼ねてからの願望であった海外での活動を見据えており、海外でのリリースのほか、イギリスやドイツなどでもライブを開催。また、昨年6月公開の映画『トイレのピエタ』では俳優デビュー作にして主演を務め、「第39回日本アカデミー賞」では新人俳優賞を受賞するなど、ファン以外からも好評価を得た。また、クリエイターとしてもハナレグミやAimer、“酸欠少女”さユリなどへの楽曲提供、プロデュースを行っている。
俳優業に挑む際、野田はRADという確固たる自身の基盤があるからこそ、新たな分野へと挑めると明かしていたが、表現者としての成長は、今後、RADが世に送り出す作品にも色濃く表れてくるのだろうか。11月発売のニューアルバムが待ち遠しい。