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(更新: ORICON NEWS

【連載3】SMAPきょう25周年 記者が見た5人の真実 PART1

5人はイメージを共有し、自由自在の対応力を発揮した

 何百とある彼らの曲の中に、“空”をテーマにしたものはいくつもある。「さかさまの空」「オレンジ」「夜空ノムコウ」「かなしいほど青い空」……。彼らの“歌唱”についても思うのだが、SMAPの5人がカメラの前に立つとき、必ずそこに確固たる“イメージの共有”がある。スーパープロフェッショナルな彼らは、作り手の意図を瞬時に汲み取り、“夏”や“空”や“花”の景色を心に描く。デビューして最初の5年は6人で、それ以降は5人で。“いろんなこと”を乗り越えながら、かけがえのない景色を共有してきた。そんな5人だからこそ、5人にしか歌えない歌があって、5人でしか描けない空の色がある。

 5人での撮影は、だからちょっとしたライブのようだ。写真撮影を苦手とする中居は、「笑顔で!」というオーダーにこそなかなか応えてはくれないものの、リーダーのシャイな部分を補うように、木村が不意に予想外の動きをしたりして(さっきの花束リレーのエピソードみたいに)、それがいいアクセントになっていく。笑顔を牽引していくのは常に香取で、どうしても「できるだけくっついてほしい!」というこちらの要望に、草なぎという相棒と一緒になって、きっちり対応してくれた。短い撮影の中でも、草なぎと香取のじゃれ合いには、いつも和まされたものだ。また、こちらの投げるテーマに一番繊細に反応するのが稲垣で、たとえば木村がトリッキーな動きをしたときは、それをうまく生かすような表情を見せたり、自由自在の対応力で常に全体のバランスを取っていた。

SMAPであることに苦しみ、愛し、SMAPという人生を生きてきた

 解散が決まってから、気づけばSMAPの過去のライブ映像に手を伸ばしている。彼らのダンスの見所は、なんといってもそのフォーメーションの多彩さだ。90年代半ば、“全員が主役を張れる”アイドルが画期的だったことは言うまでもないが、シングル曲に関しては歌割りもほぼ平等で、ダンスもセンターがくるくると変わる。だからこそ、森且行が脱退した時や、稲垣の活動自粛時にその穴を埋めることはさぞ大変だったことだろう。でも、ライブで、同じ空間にいて、同じ景色を見たことのあるファンならわかる。SMAPの5人は、SMAPを愛し、メンバーを信頼し、全身全霊でSMAPという人生を生きている。SMAPであることに傷つき、苦しみ、もがき、でも必死でファンの元に“音楽”を届けている。そう、SMAPのホームは、バラエティでもドラマでも映画でもなく、紛れもなく“ライブ”なのだ。SMAPが一番かっこいい場所。SMAPが、その肉体を通して、ファンと共に“音を楽しむ”場所。ライブで、彼らの魂が燃焼する。その光景を目に焼き付け、“生きる喜び”を感じられたからこそ、ファンは、彼らの中に揺るぎない“見えない絆”があることを確信しているのだ。

 様々な取材現場で、奇跡のような5人の輝きを目の当たりにできたこと。SMAPのライブで、彼らの心からの歌と言葉が聴けたこと。それらの思い出は、これから先もずっとずっと宝物として、心の中でかけがえのない輝きを放つだろう。
 25年前の9月9日、SMAPの物語は始まった。そしてこれからも、SMAPと私たちの物語はずっとずっと続いていく。
(文/菊地陽子)

【連載番外編】
『記者が見た5人の真実 PART2〜中居正広と木村拓哉の素顔〜』に続く

【連載第1回】
『SMAP解散がもたらした喪失感 終わらないことは“残酷”なのか?』
【連載第2回】
『SMAPにとっては“異色”だった国民的ソング「世界に一つだけの花」』
【連載番外編】
『記者が見たSMAPの真実 PART3 〜稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾の素顔〜』

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