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イケメン俳優同士のラブシーンが増える背景
“深読みさせる”から“直接的なラブシーン”に
時代によって変動しながらも脈々と受け継がれていく男色描写
「そんな作品はこれまでにもあって、邦画でいうと激しいバイオレンスのなかの男同士の関係を描いた『GONIN』(1995年)などが知られていますが、先駆けは1987年に公開されたイギリス映画『モーリス』だと思います。20世紀初頭の同性愛が禁じられたイギリスを舞台に、ケンブリッジ大学内の男性恋愛をあくまで“美しく”描いた本作は、シネスイッチ銀座での単館上映だったにも関わらず、若い女性たちに支持されて異例のロングラン上映を記録しています。このあたりから、“女性が男性同士の恋愛関係を見て楽しむ”という文化が一般化してきたんじゃないかと思います」(前出・スタッフ)
思えば日本では、戦国武将たちが男同士の絆を確かめあう手段でもあり、武家社会の主従関係の価値観も合わさっていたとされる“衆道”と呼ばれた男色は、決して特別な世界ではなく、一般的であった。そして、今も昔もそんな男同士のラブシーンは、女性客を呼ぶためのひとつの表現手法として機能しているのだ。それが昨今では、ライトなBLが一般層にも受け入れられるようになっていく流れのなかで、その表現もよりオープンになり、今旬の人気イケメン俳優らを起用したメジャー作品のなかでも描かれるようになってきている。男性にとっても、こうした見慣れた俳優たちが演じることで“生々しさ”がなくなり、お芝居として抵抗感なく見ることができるようだ。
ただ、その一方で、昨今の“男同士のラブシーン”をトピックにした宣伝文句には若干、飽和状態気味の感も出始めている。作品数や内容の過激具合などが時代によって変動しながらも、こうした表現が今後も脈々と受け継がれていくことは間違いないだろう。ただし、当然のことだが、そこには常に時代に即した新しさやアイディアが求められている。