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小松菜奈インタビュー『いつも悔しい思いをしている… 女優なんだとやっと思えるようになった』

『黒崎くんの言いなりになんてならない』で、ドSな“黒悪魔”こと黒崎晴人(中島健人)と、女子生徒の憧れ“白王子”こと白河タクミ(千葉雄大)の狭間で翻弄されながら、自分自身も変わろうとしていくヒロイン・赤羽由宇を好演した小松菜奈。クールでミステリアスな彼女が、等身大の女の子に初挑戦した同作への想いを聞いた。

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「テンションを高くして」と注意された

――これまでのミステリアスな役どころから一転、黒悪魔と白王子にあたふたと翻弄される姿がキュートなヒロインですね。
小松これまで悪い役やしっとりした役が多かったんですけど、自分のなかでは幅広く、いろいろな作品に出てみたいという思いがありました。そんななかで、コメディっぽい役はまだやったことがなかったので、今回のお話をいただいたとき“あ、おもしろそうだな!”って。昔から、人を笑わせるのが好きだったんです。家でお母さんがごはんを作っているところに、おばあちゃんになって近づいて「今日のごはんは何かね?」とか(笑)。お母さんも仕方なく相手してくれていたと思うんですけど、笑ってもらえるのがうれしかったんです。

――念願の役どころは、楽しんで演じることができましたか?
小松キャストが全員集まって最初に本読みをしたときは、自分のキャラがわからなくて、ひとりだけついていけてない感がすごかったんです。監督にも「もうちょっとテンション高くやって」と言われて。こういうドタバタキャラは初めてだったし、やっぱり動かないとしっかり役になりきれなかったりするので、なかなか難しかったです。でも、撮影はキャストの方々やスタッフさんのお陰で楽しくやらせていただきました。
――昨年末に放送されたスペシャルドラマから今回の映画へ。台本を読んでどんなヒロイン像をイメージされましたか?
小松ドラマのハイテンションな感じから、映画では役的に落ち着いた感じがしました。最初は引っ込み思案というか、自分では何もできない女の子だったんですけど、黒崎くんと白河くんに出会ってからは、自分からなんとかしよう、ひとりでなんとかしなきゃって思うようになっていきます。だんだん由宇にも自信が生まれてくるというか、ひとりの女性としてキレイになっていく、成長していく姿が、観てくださる人に伝わればいいなと思っていました。

こんなに活き活きと表現できたのは初めて

――強引に迫ってくる黒崎くんと、優しくときめかせてくれる白河くん。対照的なふたりとの胸キュンシーンは、どのように作っていきましたか?
小松リハーサルでは、どっちにもときめいている感じで演じていたんですけど、メリハリがあった方がいいかなって思いました。それで監督と話し合って、白河くんに対しては乙女なドキドキ感で、黒崎くんに対しては小学生として見るような感じにしたんです。差をつけた方がドキドキ感もあるし、観てくださる人もおもしろいんじゃないかって。やっぱり由宇ちゃん目線で作品を観てくれる人も多いと思うから、観客の視点は大事にしたいと思っていました。そういう話ができたときに、やっと自分のなかで腑に落ちたというか“こんなふうにやっていけばいいのかな”って気づいたんです。現場では、中島さんと千葉さんが演じてくれたことで、人間味のある黒崎くんと白河くんになっていたので、ふたりの表情や行動を自然に受けることができたというか。考えて表情とかを作るとわざとらしく見えるかな? と思っていたんですけど、由宇だったら? ということを考えて、お芝居ができたと思います。

――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
小松スタッフさんたちも現場ですごく笑ってくれたりしたので、今日はどんなふうにおもしろくさせよう? とか、いろいろ考えるのが楽しくて! こんなに活き活きとキャラクターを表現できたのは初めてです。たぶん自分に似ていたから、演じやすかったんだなって思います。夜中まで撮影があったり、次の日も早かったりしたけど、スタッフもみなさん明るくて、共演者のみんなと一緒にいるだけで疲れが吹っ飛ぶというか。みんなが本当の同級生だったらよかったのに! って思いました(笑)。現場の一体感というか、通じ合えている空気感は、作品にも出ていると思います。ドラマと映画を同時に撮ったので、毎日が濃くて、昨年撮った作品のなかでも、すごく楽しかった思い出の現場です。

――完成作をどうご覧になりましたか? 小松さんの胸キュンシーンを教えてください。
小松いわゆるキュンとするシーンも実際キュンとしていたんですけど、黒崎くんが自分の気持ちを素直に伝えられなくて、ピアノのシーンで見せる意外な表情には“あ、こんな顔もするんだな、いいな”ってキュンとしました。シロ(白河)は、ドラマより映画の方がだいぶグイグイくる感じで(笑)、淋しい顔だったり、強気な顔だったり、映画ではそういう繊細な表情が見えて、そこにキュンとしました。

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