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ビートたけし×西島秀俊“映画愛”対談『網目のように広がる解釈×笑顔に救われるけど現実は…』
あんなたけしさん、いままで見たことがなかった
たけし(監督と)話していると、いろいろと質問してくるから「谷崎潤一郎って知ってる? 監督、ああいう感じ好きなんじゃないかな? 谷崎文学、おもしろいよ」って言ったら、すぐ集めて読んでいたね。で、いきなり『瘋癲老人日記』を持って尋ねてきて「たけし、これやらないか?」って(笑)。
西島(笑)フットワークが軽いですね。
たけし「ちょっと待ってくださいよ」って(笑)。「オレ、テレビもやっているし、そんなスケジュールないですよ」って言ったら「いやいや、先のことだから」なんて言ってたけど。けっこうそういう日本のエロスとか、文化の表面的じゃない、人間の底辺に流れている性的なことに興味があるみたいだったね。
西島そうですね。
西島わからないですよ(笑)。僕だって、本を読んでやっとわかりました。こういう遊びをしていたんだって。
たけし監督本人がそういう話を聞いて、夜中じゅう考えたことを、明くる日の撮影に託してくるわけだから。いまどきいない監督だよね。オタクといえばオタクだけど(笑)。
たけし急に靴下を投げ捨てて、っていうのは、現場で監督とふたりで考えてね。
西島あのシーンは僕も驚きました、聞いていなかったので。でも、感動しましたね。あんなたけしさん、映画のなかでもいままで見たことがなかった。素晴らしかったです。
西島僕は、ラストの笑顔にちょっと救われるんですよね。でも結局、現実は……。
たけしラストシーンから逆算するとね、美樹をワインバーのウェイトレスにしたらどうだ? ってストーリーが一瞬、頭に浮かんだんだけどね。まあ、これはオレの見方なんだけど。解釈の仕方がたくさんある。その点においては、おもしろい映画だなあと思うよ。
(文:石村加奈/撮り下ろし写真:逢坂 聡)
女が眠る時
滞在初日、プールサイドで異様な存在感を放つ、初老の男・佐原(ビートたけし)と若く美しい女・美樹(忽那汐里)のカップルに目を奪われる健二。その日以来、健二は彼らを見かけるたびに後をつけ、部屋を覗き見るようになっていく……。
監督:ウェイン・ワン
出演:ビートたけし 西島秀俊 忽那汐里 小山田サユリ リリー・フランキー
2016年2月27日(土)公開
(C)2016 映画「女が眠る時」製作委員会
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