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“キモさ”こそ芸人の真骨頂 脈々と受け継がれる“キモい系”芸人
出川や江頭は、キモさを客観的に分析し、戦略的なキャラ作りを徹底
一方、キモい系芸人のベテラン勢たちは非常に息が長く、キモさが当たり前のキャラになっている。バナナマンの日村勇紀は、アザラシだかトドの写真の横に顔写真が並ぶだけで十分に笑いが取れ、特に小学校低学年の子どもたちのウケが良い。フットボールアワーの岩尾望はルックスと比較してオシャレすぎるところがまたキモいとされるが、一部の女性たちにはそれが“カワイイ”と評されることさえあるという。アンガールズの場合は、一時期は一発屋芸人になりかけたが、田中の“キモネタ”で見事復活。再浮上してから現在まで、そのキモキャラでポジションを確保し続けている。ノンスタの井上裕介に関しては、それほどキモいルックスでもないのだが、その勘違いのイケメン・ナルシストぶり、モテキャラを気取るあたりがキモいとされ、その徹底ぶりは大人でも笑えるのは事実。
そのほか、出川哲朗や江頭2:50のような雑誌『anan』(マガジンハウス)の「抱かれたくない男ランキング」の上位常連者など、彼らが現在でも第一線で活躍できるのは、持ち前のキモさを客観的に分析し、戦略的なキャラ作りに徹底しているからだと思われる。つまり、自分のキモさを最大限に引き出そうと日々努力をしているのだ。ブレることなくキモさ=オリジナリティを貫き通してるところに視聴者からの支持も得られ、結果として現在のポジションに留まることができているのだと言えるだろう。
たけしも明言「ブサイクは芸人最高の武器。顔だけで笑える」
一般的には「キモい」と言われることは否定の対象だが、そもそも芸人にとってはむしろ勲章であり、当たり前のウリであった。「吉本新喜劇」にしても、あからさまにおかしな容姿をしていたり、滑稽なしぐさをして笑わせるのが常套手段。多少まともなルックスの場合は、あえてとんでもないメイクをしたり、カブリものまでして観客の笑いと取る。要するに芸人はキモくてナンボ、バカにされたり、罵倒されてナンボ、の世界のはずなのだ。ましてや生まれ持ったキモさであれば、それは立派な芸人の才能とも言え、オリジナリティなのである。あとは、そのキモさ=才能をどこまで磨いていくことができるかにかかっているわけだ。
昨今のイケメン・オシャレ芸人が悪いわけでも何でもないが、基本的に芸人は“キモい”ものであり、そこにこそ芸人の真骨頂があるのだということだけは忘れないでおきたい。そろそろ、イケメンをウリにしたり、コジャレたファッションをする若手芸人たちに辟易してきた感もある。子どもから年寄りまで、誰でも理解のできる“キモい芸人”枠は、これからも需要が高く、脈々と受け継がれていくだろう。
(文:五目舎)