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三谷幸喜脚本の本領発揮?『真田丸』と『新選組!』“敗戦の将”を描く共通点
戦国時代の名将・真田幸村の生涯を描くオリジナル物語
幸村を演じるのは、スター俳優・堺雅人。近年では『リーガルハイ』(フジテレビ系)や『半沢直樹』(TBS系)など、大ヒットドラマの主演を務める堺が、お茶の間に実力を知らしめた『新選組!』、人気を確固たるものとした『篤姫』(2008年)に続いての8年ぶりの大河ドラマ出演とあって、早くも注目を集めている。さらに幸村の兄・真田信幸を演じるのは、朝ドラ『まれ』のほかドラマ、映画にひっぱりだこの大泉洋。その正室・小松姫役は話題作への出演が途切れることなく続く吉田羊。人気と実力を兼ね備える、いま旬のスター俳優たちが勢揃いする。
『新選組!』でみせつけた敗戦の将の魅力
しかし物語が進むにつれ、甲州勝沼の戦いに敗れて、土方と江戸に引き上げてからの第48、49(最終)話での、変わり果てたその姿には大いに圧倒された。斬首直前、偽名を使って逃げ延びようとしているところに、かつての部下が連れて来られたシーンでは、戸惑う部下に、勇自ら「お久しぶりです」と声をかけた。そのときの声のトーンと表情には、鳥肌が立ったものだ。若き隊士らを率いてきたリーダーとしての貫禄、武士の忠義を貫くためには、死をも辞さぬ覚悟を腹に据えた男の冷静さ。鳥のさえずりや木々のそよぎに目を細め、仏像のように穏やかな表情で迎えた主人公の最期は、今でも忘れられない名場面だ。『真田丸』の主人公には、どんな見せ場が用意されるのか? 近年、明快な当たり役が続いただけに、堺の本領発揮にも期待が募る。
『真田丸』からブレイクは?“草の者たち”に注目
撮影終了した後も、定期的に集まっているというキャストたちのチームワークの良さは、激動の幕末期に青春をともに生きた若者たちの熱気と見事にマッチし、作品に活気を与えた。またキャストだけではなく、スタッフも含めた制作チームが一丸となり、ドラマを盛り上げようという、タイトルの“!”にふさわしい、作品から伝わってくる勢いは、舞台演出家として、さまざまなカンパニーを盛り上げてきた、三谷氏の手腕と言えるのかもしれない。
先日発表された『真田丸』のメインキャストのなかで、とくに楽しみなのは、幸村に仕え、真田家を陰から支える、草の者たちの存在だ。幸村の父・昌幸(草刈正雄)に才能を見出され、大坂の陣でも暗躍する猿飛佐助役には、藤井隆。大河ドラマ初出演の藤井と、佐助をはじめ忍びの者たちを束ねる出浦昌相役の寺島進ら、個性派俳優たちの芝居が盛り上がれば、作品全体のおもしろさも一気に高まるはず。『新選組!』では、堺雅人が新選組総長・山南敬助役でブレイクしたが、『真田丸』では藤井隆の俳優としての飛躍に注目したい。