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ORICON NEWS
生田斗真インタビュー『俳優として“何もしない”怖さ』
手のひらで転がされていた(笑)
生田まず、新聞紙をかぶって犯罪を犯すというビジュアルに衝撃を受けました。そして、単なるクライムサスペンスではなく、その核に友や仲間を想う気持ちが描かれていて、単純に自分の好みの作品だと思いました。
――劇中でも、新聞紙をかぶった生田さんの姿にはインパクトがありました。演じてみていかがでしたか?
生田やっぱり気持ちが上がりますねぇ(笑)。子どもの頃、仮面ライダーや戦隊モノみたいなヒーローに憧れていたし、覆面レスラーとかもけっこう好きだったから。そういうのってやっぱり、自分ではない誰かになれる瞬間というか、何か大きなことができるんじゃないかっていう気持ちにさせてくれるんです。新聞紙で顔が隠れているから、目以外の表情が何も読み取られないですしね。新聞紙をかぶっているときは目だけの演技だったので、眼光の鋭さとか、その奥にある悲しみとか、そういったものが表現できたらいいなと思いながら演じました。
生田ある意味、3役を演じているようなところがありました。空気が読めなくて使い物にならないIT会社の派遣社員、新聞紙の仮面をかぶって犯行予告をする人間、タコ部屋労働の仲間たちといるときの顔。その3つを演じるのは大変でしたね。でもクランクインしてすぐ、回想シーンのIT会社のところから撮り始めたので、やりやすかったです。次にシンブンシが予告している動画、最後に仲間との関わりという順序で撮っていけたのもよかった。後から監督があえてそういうスケジューリングをしていたと知って、手のひらで転がされていたんだと思いました(笑)。
――ゲイツは“ある目的”を持って、世の中の悪に自分なりの制裁を加えていきます。その気持ちは共感・理解できましたか?
生田あまり役を演じるときに共感する、しないということは考えないんです。それよりも、自分が一番役に寄り添って、行動を理解してあげなければいけないと常に思っています。“ゲイツがその行動を起こしたんだったら、それは正しい”という考え方ですね。
ドラマ初出演時の自分を思い出す瞬間があった
生田昔で言えば、事件現場でレポーターさんが話している後ろでピースしていた人たちとか、劇中ではSNSを炎上させてしまう人たちとか、そういう連中にシンブンシたちが制裁を加えていくんですよね。世間がシンブンシたちを“待ってました”と言わんばかりにカリスマとして崇めていくんだけど、それもそれでどうなんだろうっていうのもあるじゃないですか。そのあたりは、お客さんがどう感じてくれるかすごく楽しみですね。
――ご自身もネットって怖いなと思ったり、何か気をつけていたりすることは?
生田ウソのことが本当のことのようになってしまったりするから、怖いと思いますよ。
――作品の感想をネットでリサーチすることもあるんですか? ネットでの評価を気にしたりしますか?
生田しないですねぇ。言ってしまえば、いいことが書いてあっても、悪いことを書かれていても、仕事をする上であまり影響はないと思うので。なにを書かれても気にしません。だってもうやっちゃったし……って(笑)。
生田福山くんがお芝居をしたことのない新人の子だったので、彼を取り囲むお兄さんたちの優しい光景、みたいな(笑)。福山くんを見ていると、初めてドラマに出たときの自分を思い出す瞬間があって、僕もみんなもすごく優しくしていました。一番最初の現場ってすごく大事だし、せっかくだったらまた映画をやりたいと思ってもらいたかったので。
――お芝居していて印象に残ったことは?
生田プロフェッショナルな俳優さんたちだなと思いました。あるシーンで4人(生田、鈴木、濱田、荒川)が悲しんでいるカットを撮ったんですけど、監督が指示したわけでも打ち合わせしたわけでもないのに、4人全員の悲しがり方が違ったんです。そういうことが、「よーい、ハイ!」って言われた瞬間にパッとできるチームだったので、ちょっと感動しました。
表現過多にしたくない お芝居をしない
生田表現過多にしたくないという意識はどこかにあったかもしれないです。あまり“お芝居”をしないというか。相手のセリフを聞いて楽しい気持ちになる芝居だったとしても、楽しさを表現するための“ウソの芝居”をしなかったんですよね。それはやっぱり、周りの皆さんがうまかったから、というのもあると思います。何もしなくても荒川さんが笑わせてくれるし、岳くん(濱田)を見ていると優しい気持ちになれるし。そういう場面を監督がうまく切り取ってくれた現場でした。
――そういうお芝居は、この役だからこそ?
生田そうですね、役によると思います。たとえば『土竜の唄』は、逆にウザいくらいリアクションする役でしたし(笑)。今回みたいに“何もしない”というのはけっこう俳優にとっては怖いことだと思うんです。でも、そういう繊細な心の表現を求められることが多い作品だったので、そこはひとつのチャレンジでした。
生田監督にそう言っていただけるのはすごくうれしいです。僕はかなり欲張りなほうなので、ハードな作品をやったら次は軽いものをやりたいなとか、軽いものをやったらラブストーリーをやりたいなとか、いろいろなものに手を出したくなるところがあって(笑)。なので、そういう面を認めてくれる人がいるのはありがたいことだと思います。
――ガラッと別人になれる演技力の素になっているのは何なんでしょう?
生田どうなんですかね……。でも、観察するのは好きかもしれないです。人と話すのも好きだし、この人は今どんなことを考えているのだろうとか、今のひと言にはどんな意味があるのかなとか、そういうことは割と考えるほうなので。それがお芝居に生きているかどうかは、わからないですけどね(笑)。
(文:加藤 恵)
予告犯
集団食中毒を起こした食品加工会社に対し、「食い物の扱いも知らないこいつらに、俺がきっちり火を通してやる」と予告。すると食品加工会社で火災が発生した。警視庁サイバー犯罪対策課捜査官・吉野絵里香(戸田恵梨香)は、謎の予告犯=“シンブンシ”の捜査に乗り出す。しかし“シンブンシ”は吉野をあざ笑うかのように、次々と制裁を繰り返していく。果たして「彼ら」の真の目的とは……?
監督:中村義洋
出演:生田斗真 戸田恵梨香 鈴木亮平 濱田岳 荒川良々
2015年6月6日(土)全国東宝系にてロードショー
(C)2015映画「予告犯」製作委員会 (C)筒井哲也/集英社
【公式サイト】(外部サイト)
連続ドラマW『予告犯 -THE PAIN-』
舞台は、映画『予告犯』の約1年後。謎の覆面男・シンブンシが新たに現われる。
ネットユーザーを巻き込んだ劇場型“裁判”を開き、被告人たちに次々と制裁を加えていく新生シンブンシ。
一連の動画投稿は狂騒を駆り立てるだけのように思われたが、そこには驚愕の真実が隠されていた。謎の覆面男によってネット上で繰り広げられる闇の裁判の目的とは?
シンブンシのリーダーを演じるのは東山紀之。シンブンシのメンバー役は桐谷健太、市川実日子、橋本さとしが務める。さらに、彼らを追う警視庁サイバー犯罪対策課の刑事役は、映画版と同じ戸田恵梨香が続投。これまでのドラマ作りのセオリーを覆す、衝撃のクライマックスが待ち受ける。
WOWOWプライム 日曜オリジナルドラマ
連続ドラマW『予告犯 -THE PAIN-』
6月7日(日)スタート(全5話)[第1話無料放送]
毎週日曜 午後10:00から放送
【公式サイト】(外部サイト)