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二階堂ふみインタビュー『出会いと…自分が柔軟でいられることが大事』
辛いユーモアみたいな感じがすごく好き
二階堂 ワークショップで初めてご挨拶して、その後も何度かお会いする機会がありました。今回のお話をいただく一週間くらい前にも、知り合いの結婚式で偶然お会いして。そこで私、「映画に出演させてください」って営業していたんですよ。山下監督の隣に座って、しかも監督を奥に追い込んで逃げられないようにして。そうしたら一週間くらい経ってから、今回のオファーをいただけたので“よかった!”って思ったんですけど(笑)。
――山下映画については、どんな印象を?
二階堂 山下監督の作品は、ほとんど観ています。突き詰めると重くなるようなテーマを、カラッと軽く、バーンと見せることのできる方というか。ちょっとピリっとした、辛いユーモアみたいな感じがすごく好きです。今回の『味園ユニバース』も、そういう映画だなと思いました。
――本作で映画単独初主演を果たした渋谷すばるさん、ハマリ役でしたね。
二階堂 冒頭の(公園で渋谷さんが『古い日記』を絶唱する)シーン、すごかったです。けっこう現場がざわついていたんですけど、渋谷さんが歌った瞬間、シーンとなったんですよ。みんなが聴き入っちゃって! 本当に素敵でした。ただそこに居るだけでかっこいい。背中を見せるだけで人を焚き付けることができる、言葉に頼らない役者さんというのか。ご一緒できてうれしかったです。
――今回、二階堂さんが演じられたカスミは、渋谷さん扮する一時的に記憶を失った男に“ポチ男”と名づけ、面倒を見る役どころでした。どのような役へのアプローチを?
二階堂 大阪弁を話すキャラクターということがまず大きかったですね。標準語と大阪弁、言葉が違うだけでこんなにも印象って変わるものなんだなって。彼女の優しさや柔らかさみたいなものが、いい感じで大阪弁に隠れるというのか。“表面カリッ、なかじゅわ〜”みたいな表現があるじゃないですか。大阪弁と重なり合うことで、そんなに甘くならず、そのじゅわっとした感じがポチ男といるときや(カスミがマネージャーを務める)赤犬のメンバーといるときに出たりして。その感じがいいなって思いました。
自分から滲み出てくるものがあった
二階堂 やってる期間はかなり悪夢だったんですよ(苦笑)。例えば「しょーもな」っていう言葉ひとつでも、山下監督はシーンによっていろいろなニュアンスを見せたいと。本当にそう思っているとき、照れ隠しのとき、歓喜の言葉のときもあって。なかなか難しかったですね。大阪出身の人に言わせると「アホちゃうか?」って愛のある言葉だそうですが、標準語を喋る人間にはよくわからないじゃないですか? そういう大阪独特の感覚は、撮影していた約1ヶ月間、大阪に滞在したことで身につけていけたのかなって気がします。
――大阪の風景はいかがでしたか?
二階堂 ずっと西成のホテルにスタッフの方たちと一緒に泊まっていたんですよ……。
――えぇっ、日本一ディープな街・西成に!? それは自ら志願して?
二階堂 着いて気がついたら西成でした(笑)。撮影のしおりに「街行く人とむやみに目を合わせないように」って書かれていました。撮影中は、スパワールドに行ってから、商店街をちょっと入ったところにあるお好み焼屋さんに寄って。そこで、釜山で英会話教師をしているアメリカ人と仲良くなったりしました。大阪滞在中にすごく友だちが増えましたね(笑)。
西成はワールドワイドでした! 英語を喋る人がたくさんいるし。お好み焼屋のおじさんとか、英語の発音がめっちゃ良くて、ちょっとした異国の地でしたね。日本じゃないみたいな場所でしたけど、いつの間にかホームタウンみたいになっていて。自分自身がその街に染まっていくというのか、それが地方ロケ撮影の好きなところなんです。1ヶ月も滞在していると、自分からも体臭みたいな感じで滲み出てくるものがあったし、相手の発する大阪独特のユーモアみたいなものも、どんどん感じ取って、対応できるようになっていきました。そういう感じがすごくおもしろかったです。
【特別映像】二階堂ふみの大阪弁が可愛すぎる!
味園ユニバース
監督:山下敦弘
出演:渋谷すばる 二階堂ふみ 鈴木紗理奈 川原克己 松岡依都美
2015年2月14日(土)全国公開
(C)2015「味園ユニバース」製作委員会
【公式サイト】(外部サイト)