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液状化被害の浦安で映画撮影 「こういう時だから」と市民が後押し

 東日本大震災の発生から1ヶ月が過ぎた11日、地震の影響で大規模な液状化被害が出た千葉県浦安市内で撮影中の映画『カルテット!』(三村順一監督)のロケ現場を取材した。同作は3月29日にクランクイン。屋内セットを使うシーンを先行して撮り、1日から市内各所での撮影が始まった。4人家族の父親役で出演する細川茂樹は「撮影は中止か延期になると思っていたら、浦安市民の方々から『こういう時だからこそ進めて欲しい』という声を聞いて、熱くなりました。いい作品ができる」と確信を口にした。

市民の声で撮影へ、東日本大震災で被害を受けた千葉県・浦安市内で映画『カルテット!』のロケを行った(左から)細川茂樹、鶴田真由、高杉真宙、剛力彩芽 (C)ORICON DD inc. 

市民の声で撮影へ、東日本大震災で被害を受けた千葉県・浦安市内で映画『カルテット!』のロケを行った(左から)細川茂樹、鶴田真由、高杉真宙、剛力彩芽 (C)ORICON DD inc. 

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■「みなさんに楽しんでもらえる作品を」迷いとショックを振り払い撮影

 同作は、テレビドラマ『海峡を渡るバイオリン』(2004年、フジテレビ系)や映画『Little DJ 小さな恋の物語』(2007年)の原作者として知られる浦安市在住の作家・鬼塚忠の同名小説が原作。バイオリン奏者を目指す中学生の主人公・開(高杉真宙)、派手な行動で周囲を騒がせる高校生の美咲(剛力彩芽)、父の失業をきっかけに不仲になっていく両親(細川、鶴田真由)の4人家族が、カルテット(四重奏団)を結成し壊れかけた絆を取り戻していく姿を描く。

 鶴田は「今、撮影している場合なのかと、いまでも迷いはある。多少の変更はあるものの撮影は順調に進んでいて、浦安市のみなさんに支えていただいているなぁと思う。地元のエキストラの方が楽しそうにしてくれているだけで嬉しい」と話した。

 物語上、細川はピアノ、鶴田はチェロ、美咲はフルート、高杉はバイオリンと、それぞれの演奏シーンが見せ場になる。映画初主演を務める高杉は、楽器をフォーカスしても顔が映り込んでしまうため、撮影に備えて約2ヶ月みっちりバイオリンの特訓もした。「まだビブラートや腕をまっすぐに伸ばすところがうまくできなくて…」と恐縮していたが、「素晴らしいですよ」(細川)、「上手だね」(鶴田)と“両親”はベタ褒め。

 バイオリンの練習も大変だったが、14歳の高杉にとっては「ニュースの映像で見たり、聞いたりしてたのとは全然違っていた…。建物や電柱が傾いたりしていて、怖いと思った」と浦安市の惨状にショックを隠せないでいた。そんな“息子”を気遣い、細川は「地元の人たちにどういう言葉をかけたらいいのか、何をするのが正しいのか、迷います。でも、僕たちの仕事は、みなさんに観て楽しんでもらえる作品を作るしかない。この作品を通じて、素敵な家族像を伝えて、家族を見直すきっかけにしてもらえたら」。そんな“父”の言葉に、“家族”は頷きあっていた。


■市民もエキストラで参加し撮影を応援「復活することを願っています」

 この日、撮影が行われた総合公園は、目の前に海が広がり、通常ならデイキャンプも楽しめる市民のいこいの場。比較的新しい高層マンションが立ち並ぶベイエリアにあり、深刻な液状化に襲われた一帯は、土砂が液状化して噴出した跡がみられ、道はデコボコ、乾燥して白っぽくなった泥砂に覆われていた。あちらこちらで道路の補修などの工事が行われているが、復旧までにかなり時間がかかりそうだ。

 こうした状況下でも地元から多数のエキストラが参加し、映画の撮影が行われている。1歳の女児をベビーカーに乗せ通行人役を演じた浦安市富岡在住の夫婦は「浦安がすごく好き。大きなダメージを受けてしまったが、ここを離れるつもりはないし、復活することを願っています」と話していた。浦安市今川在住の20代の主婦も「先週上下水道が再開して、やっと生活は落ち着いてきました。撮影協力をしながら地元の人たちとコミュニケーションできて楽しい」と笑顔をみせていた。

 同作は、浦安市と浦安観光コンベンション協会が後援、浦安市商工会議所ほかの協力を得て、浦安市市政30周年記念プロジェクトとして、2012年春公開予定。

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