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映画『TAJOMARU』田中圭インタビュー

田中 圭


 ドラマ・映画への出演が引きも切らず続く若手俳優・田中圭。初の時代劇に挑戦した同作では、主人公・多襄丸=直光の人生を一変させるキーパーソン・桜丸役を演じる。今回の芝居では何を目指し、役者・田中圭の可能性はどこまで広がっていくのか。“今”の声を聞いた。


俳優・田中圭(C)ORICON DD inc. 

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◆憐れな男をどう表現するか悩んだ現場


(C)ORICON DD inc.

――『TAJOMARU』出演の話を最初に聞いた時はどう思いましたか?

【田中】 プロデューサーから「いままでやったことがないような悪役をやってみて欲しい。桜丸をお前が演じるとどうなるか見てみたい」と言われ、新しいことへの挑戦、新境地に挑む喜びでワクワクしました。


――桜丸をどう演じようと思いましたか?

【田中】 僕は桜丸を主人を裏切って成り上がろうとするただの悪い奴ではなくて、芋を盗まなければならないくらい不幸な生まれで、恩や愛を受けてもむなしさを感じている憐れな男だと思ったし、それをどう表現したらいいのか、それがすごく難しくて。自分の台詞、芝居をどう見せるか、どう見えるか、悩みながら現場にいました。そういう役柄は初めてだったから、撮影中は不安だらけで。でも、完成した映画を見て、ちゃんと桜丸として可哀相な男に見えたから、ホッとしました。桜丸には、愛着があるし、自分が演じた役の1つとして、ずっと残り続けるキャラクターになったと思います。


――時代劇ならではの所作も難しかったのでは?

【田中】 室町時代の次期管領職・畠山家の家臣としての立ち居振る舞いはやっぱり難しかったですね。現場で先生の所作指導を受けながら、完璧にはできないまでも、何とか頑張りました。でも、あの衣装を着て、カツラをかぶって、ビシッと背筋を伸ばすだけで「よ〜し、撮るぞ! よ〜し、やるぞ!」と役に入っていけました。もともと衣装に着替えてメイクをするとスイッチが入るんです。逆にそういうのがないとスイッチが入らないくらいなんですけど(笑)。


――クライマックスで小栗・多襄丸との立ち回りは圧巻でした。

【田中】 立ち回りも僕、初めてで。いざやってみると、殺陣って腕の動きというより、足さばきだなと思いました。現場では、空き時間に小道具さんから刀を借りて自主練習していました。幸い、エキストラの方の中にも殺陣が達者な方が多かったので、いろんな人にどうしたらかっこよく見える? どうしたら強そうに見える?と聞きまくって、ずっと刀を振っていました。それが意外とよかったのかな。


◆あえて“時代を読まず”にやりたいことを貫きたい


将軍・足利義政(萩原健一)とのワンシーン(C)2009「TAJOMARU」製作委員会

――また、時代劇に出演したいと思いましたか?

【田中】 これまで、時代劇を避けていたわけでも毛嫌いしていたわけでもなくて、本当に出演する機会がなかったんですよね。今回、松方弘樹さんとか、萩原健一さんとかいろんな意味でプロフェッショナルな方からお話が聞けたり、お芝居をご一緒できたのはすごい貴重な経験でしたし、今後また時代劇をやってみたいと思うし、今、この時期に、この作品に関れてよかったと素直に思います。


――事務所の先輩でもある小栗さんと共演した感想は?

【田中】 この映画の撮影中は、敢えて芝居の話はしなかったんですよ。このシーンはこう演じたい、こう演じたらどうだろうとか、役者同士で演技について話し合ったりするんですけど、旬君とはそういうのを一切しなかった。というか、言葉にしなくてもお互いに考えていることが分かる、通じ合っている感じがあったんです。


――役柄の上で対立するからですか?

【田中】 いや、役柄は関係なくて。旬君は、仕事がなかった時期の僕を知っている。本番の芝居で会話できるのをすごく喜んでくれる人なので、僕自身もそれに応えたいと思っていました。


――「時代を読めない奴は無駄死にする」という桜丸の台詞を、現代に生きる役者・田中圭はどう受け止めますか?

【田中】 僕もこの台詞を言っていて、カッコいいなと思いました。その通りだと思うし、逆に、だからこそ時代を読みたくない気もするし。役者・田中圭としては、時代を読めているけど、「読まないぞ、俺は」みたいな気概を持っていたい。たとえ、時代に逆行するようなことでも、自分たちのやりたいことを貫く姿勢がすごく好きだから。今日思っていることが、明日もそう思っているかどうかわからないけど(笑)。最近、ドラマ『官僚たちの夏』で共演している佐藤浩市さんのように、どの役やっても違うんだけど、どの役やっても“佐藤浩市”というのも、すごいなって素直に思っています。


田中圭

1984年7月10日、東京都出身。2003年ドラマ『ウォーターボーイズ』で注目を集め、以後『世界の中心で愛を叫ぶ』(04年)、『白夜行』(06年)、『タイヨウのうた』(06年)、『僕の歩く道』(06年)、『魔王』(08年)、『銭ゲバ』(09年)、『官僚たちの夏』(09年)などのドラマに出演。映画は『東京大学物語』(主演/06年)、『バックダンサーズ!』(06年)、『包帯クラブ』(07年)などに出演。公開待機作に、岸谷五朗が初監督した『キラー・ヴァージン・ロード』、『ブラック会社に勤めてるんだが、もう限界かもしれない』がある。


>>多襄丸を演じる小栗 旬のインタビューはこちら

『TAJOMARU』

(C)2009「TAJOMARU」製作委員会

【ストーリー】
戦乱の世が近づく室町末期。次期管領職を約束された名門・畠山家の長男・信綱(池内博之)と、次男・直光(小栗旬)の仲を引き裂いたのは、大納言が遺した金塊をねらう八代将軍・足利義政(萩原健一)の一言だった。このままでは、畠山家の家督も管領職も、弟に持っていかれてしまうと焦った信綱は、阿古姫を襲い、力ずくで自分のものにしてしまう。それを知った直光は、すぐさま阿古姫を取り戻すが、兄を敵に回し、追っ手を放たれる身に。直光は「死ぬときは二人一緒」と、阿古姫を連れて逃げる。付き従ったのはわずかな家来のみ。幼少時代からの忠臣・景時(近藤正臣)と、幼い頃、屋敷に盗みに入って捕らえられ、直光に助けられて以来、畠山家の家臣として兄弟同然に育ってきた桜丸(田中圭)。しかし翌日には、景時は何者かによって無残に切り殺され、桜丸も行方知れずになっていた。

何不自由ない家柄に生まれながら、大盗賊「多襄丸」を名乗ることになった男。血肉を分けた兄、弟のようにかわいがってきた家臣、そして心の底から愛した女・・・。誰よりも信じていた者たちのまさかの裏切りによって一変した人生。どんでん返しに次ぐどんでん返し。ひっくり返る信頼と裏切り。見えない真実に翻弄される多襄丸が、最後にたどり着く場所とは?

監督:中野裕之
脚本:市川森一 水島力也
原案:『藪の中』芥川龍之介
出演:小栗旬 柴本幸 田中圭 やべきょうすけ池内博之 本田博太郎
松方弘樹 近藤正臣 萩原健一

公式サイト



関連写真

  • 俳優・田中圭(C)ORICON DD inc. 
  • 映画『TAJOMARU』のワンシーン(C)2009「TAJOMARU」製作委員会 
  • 映画『TAJOMARU』9月12日全国公開(C)2009「TAJOMARU」製作委員会 

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