豪華な出演陣を集めても視聴率が伸び悩み、連ドラの地位が揺らぎ始めている。そんな中、在京キー局がネットせずに製作側が番組販売先を模索するという新しい動きが出てきた。その一例が、毎日放送ほか各地方局にて放送中のシチュエーション・コメディ、“プレイ”シリーズだ。

　“プレイ”シリーズは、2008年10月より放送された『親孝行プレイ』、09年4月からの『子育てプレイ』に続いて、7月から第3弾『子育てプレイ& MORE』が放送中。いずれも深夜帯の放送時間にもかかわらず好評を得ている。

　舞台はとある高級シェアルーム。大家でもある4歳の女の子・アリ（サイガサクラ）が本当の父親探しをする・・・という設定で物語は進む。父親候補として集められたのは、童話作家志望のライター・楠木（阿部力）、営業担当のサラリーマン・町田（戸次重幸）、引っ込み思案の売れないアイドル・涼宮（細田よしひこ）の3人。そのほか、涼宮のマネージャー・北村（山崎樹範）、アリの祖父（温水洋一）など、10人以上のレギュラー出演者が登場し、幼児のしつけや教育などに奮闘する。設定と脚本を担当する池田鉄洋のコント的手法を取り入れた演出で、新しい面白さを番組に盛り込んでいるのも特長だ。

　こうしたシチュエーション・コメディでは、何よりも出演陣の力量が試される。役者のクリエイティビティーが高まれば、面白いものが作れるというのも“プレイ”シリーズが目を向けていることの一つ。

　阿部は「シチュエーション・コメディ作品は初めて」と手探りでの挑戦。「まずは、自分自身が楽しめるように心がけていますが、共演の皆さんの反応の速さに日々鍛えられています」と話す。これと対照的なのは、TEAM NACSのメンバーとしても活躍する戸次。「普通のドラマとは違う、撮影スタイル。とにかくこのシーン、自由にやって下さいといったところは舞台に近くて非常にやりやすい」と喜々として演じている。

　また、21歳の細田は「普通のドラマの撮影だと、誰かが台詞を噛んだり、聴こえづらかったりするとNGになってしまうことが多いが、今回はそういうミスさえも生かそうという試みで、とても新鮮」。戸次や山崎、温水ら経験豊富な役者たちとの共演にも「メリハリのつけ方、調子の変え方がうまい。勉強になります」とかなり刺激を受けているようだ。

　さらに今回は、新たな試みとして、放送では見られないスピンオフ・ミニドラマを東京で公開収録（全6回開催）を敢行。笑い声の入るシチュエーション・コメディというスタイルを最大限に生かし、動作や台詞は役者自らが作り出していく全編アドリブのエチュード形式で、ライブ感あふれる収録を行う。この公開収録の模様は、今秋発売予定のDVDに収録される。

——子育てについて、考えたりすることはありますか？

【阿部】あります。自分に子供が生まれたら、とりあえず、いろんな人と接して、たくさんの愛情を受けて、思いやりのある人間に育ってほしいな。

【戸次】最近、TEAM NACSのリーダー（森崎博之）に子供が生まれたこともあって、自分がもし子育てをするようになったらどうなるか、考えるとものすごく自信がないですね（笑）。＜アレしちゃだめ＞＜コレしちゃだめ＞と言いたくなっても、自分を省みると、アレもしているし、コレもしている。そんな罪悪感を抱えて子供を育てられるだろうかと。

【細田】僕の場合は、女の子と男の子、どっちがいいかなと考えたりします。女の子がいいけど、一緒にいつまでお風呂は入れるのかな（笑）とか、彼氏ができたらショックだなとか、そういう妄想に飛びますね。男の子だったら、どんな子と恋をして、僕の前に連れてくるのかなって。すごい楽しみですけど、子育てはまだまだ先のことだと思っているので、何とでも妄想できる感じです。

——戸次さんと、細田さんは、子育てを考える前に、結婚しないといけませんね。

【戸次】今年の誕生日（11月７日）で36歳になりますけど、僕は負け組です（笑）。今の年齢では、子供の運動会の場所取りで前日から徹夜している予定だったんですけどね。

【細田】僕も！10代の頃は、20歳で結婚するって言っていました。

【阿部・戸次】早っ。

——最後に、『子育てプレイ＆MORE』の見どころは？

【阿部】とにかくアリちゃんがかわいい。撮影中もかわいいな〜って思っているけど、テレビでクローズアップされたアリちゃんの笑顔を観ると、一緒に自分も微笑んじゃう。幸せな時間を与えてもらっているって感じです。

【戸次】役者たちが素に戻っている瞬間が多々あるので、「それはどこだ！？」みたいな、変わった見方もできて面白いと思う。僕は、今の素だったと後から気付くことばかりです。

【細田】役者のミスも拾って、話を展開させて盛り上がっていくので、どこからどこまでが池田さんの脚本で、どこからどこまでが僕らのアドリブなのか、探してみるのも面白いかもしれないですね。その答え合わせはできないんですけど、そういうところも楽しんでもらえたら。