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映画『蟹工船』で感じた“縁” 注目の若手俳優・高良健吾インタビュー



 いまから80年前に小林多喜二が発表した小説が原作の映画『蟹工船』(7月4日公開)で、安い賃金で過酷な労働を強いられる労働者の1人を演じた俳優・高良健吾(こうら・けんご)。同作の撮影では、新たな発見とたくさんの学びと「すごい“縁”を感じた」と振り返る。今年はほかに『禅ZEN』、『フィッシュストーリー』、『ハゲタカ』、『南極料理人』(8月公開)と出演作品の公開が相次ぐが、同時に新作へのオファーも絶えない。まさに今、映画界でひっぱりだこの俳優となった彼が、ORICON STYLEの取材で語った。


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◆「あぁ、やっぱり、芝居うまくできないな、オレ」とヘコんだ日々

 カムチャッカ沖で蟹を獲り、船上で缶詰に加工する蟹工船を舞台に物語が展開する映画『蟹工船』では、主演の松田龍平をはじめ、同じ労働者役で、新井浩文、榎本時生、お笑いコンビ・TKOの木下隆行、木本武広ら大勢のキャストと共演した高良。その中には、中学の同級生と高校の同級生がいたという。


 「昔から知っている人、俳優をしていない頃から知っている人たちと一緒に芝居するというのが、なんか楽しかったです。お互いに役者になって、現場で再会するとは思わなかった。栃木で撮影をしていたのに、地元の熊本にいるみたいでした」


 もう一つ、「すごい“縁”を感じた」というのがSABU監督だ。


 「役者になって、最初の現場がSABU監督の『疾走』(2005年)という作品でした。僕はエキストラの通行人でした。『蟹工船』のお話をいただいた時、僕はすごく縁を感じて、SABU監督の作品というだけで出演したいと思いました」。


 SABU監督と“縁”あって“再会”した高良だが、今回の現場で心が揺らいだことを明かす。


 「SABU監督はモニターの前にいて、画にこだわっていました。現場での指示も『もう少しキツそうな目で』とか、その程度で多くは語らず、役者に任せてくれました。だからこそ、自分のやるべきことをしっかりとやらなくてはいけない。さらに、今回の現場でいうと、撮影中に、あ、やっぱり、芝居うまくできねーと思って、けっこうヘコんだ記憶がありますね」。


 旧友との再会など、“縁”に恵まれた『蟹工船』の現場は楽しいだけでなく、役者としての“気付き”も多かったようだ。


◆一番難しいのは“質”を保ち続けること


映画『蟹工船』のワンシーン。写真左の柄本時生とは「もともと仲良しで、すごく共演したかった」という
 今作について各メディアの取材を受けるたびに高良は「毎回思い出すのは、松田さんと初めて絡むシーン」と話す。松田は高良にとって「好きな役者さん」の1人だ。


 「自分にとっても最初の台詞ありのシーンで、すごく緊張した記憶が残っています。足を引っ張らないようにって」。


 また、多くの共演者に囲まれた現場では「みんなの芝居を見ているだけで楽しかった」といいつつも、撮影中は様々な思いが去来した。


 「殴られた時のリアクションで、大袈裟な芝居もできるんだけど、どの程度にしたらいいのかと。あざとくしてもいいけど、わざとらしいのは嫌だし。そういう意味では悩んだんですね」。


 ちなみに、撮影では実際に殴られていたという。


 「痛いんですよね。だから、劇中の痛がり方はリアルといえばリアル。完成した作品を見た時は、もうちょっと痛がってもよかったかなって思ったりしました」。


 原作小説が持つテーマも深い。現代の社会問題、若者の労働問題に対する多くの示唆を与えるものとして再評価されているがゆえに、どう映画化するのかが注目の的にもなっている。脚本を読んでの感想は?


 「本当は笑えないことなのに、笑ってしまう。それはもう感覚が麻痺しているんだと思う。皆で不幸を共有することは、もしかしたら元気が出ることなのかもと思いました」。


 また、物語のように抑圧された状況に自分が追い込まれたら、どうすると思うか聞いた。


 「僕は本当に弱いから、仲間がいたら一緒に立ち上がると思うけど、僕ひとりだったら現場に流されているかも」。


 そして、堰を切ったように高良は話し出した。


 「最近、いろいろな役をやられますよねと言われても、いや、全部僕なんですけどって思うし。演じるにあたって何か意識した?と聞かれても、いつも通りだよって思うし。役になりきるとか、よくわからないし。波に乗っているねと言われても、実感なかったりするし」。


 「今回の現場では再確認できたというか。俺、こういうこと失ってきたなー、いい意味でも悪い意味でも慣れてきたなー、やっぱりいろいろ足りないなー、でも、ちょっと自分を褒めてもいいのかなーとか。それが何かは言いたくないんですけど」。


 「で、どうしたらいいんだろうとか思ったし。それで、やっぱり、単純なんですけど、頑張るしかない、一生懸命やるしかない、そう思うんですよ」。


 短いインタビュー時間の中で、高良は精一杯、本音で話してくれたのだろう。今後、俳優としてのキャリアを重ねていくことによって、また違った“想い”に気付き、新たな境地に至るに違いない。いずれまた何かの作品で、高良の“想い”を聞いてみたい。


高良健吾
こうら・けんご

1987年熊本県出身。2006年に『ハリヨの夏』(中村真夕監督)で映画デビュー。その後『M』(2007年/廣木隆一監督)、『サッド ヴァケイション』(2007年/青山真治監督)、『ひゃくはち』(2008年/森義隆監督)、『蛇にピアス』(2008年/蜷川幸雄監督)、『禅 ZEN』(2009年/高橋伴明監督)、『フィッシュストーリー』(2009年/中村義洋監督)、『ハゲタカ』(2009年/大友啓史監督)など、注目作に立て続けに出演し、一躍注目を集める。今後公開される作品に『南極料理人』(8月公開/沖田修一監督)、『BANDAGE』(2010年/小林武史監督)、『ソラニン』(2010年/三木孝浩監督)などがある。
『蟹工船』

【ストーリー】
船上で蟹の缶詰を加工する蟹工船を舞台に、安い賃金と劣悪な環境下で酷使されている出稼ぎ労働者たちが、非道な現場監督に反旗を翻すべく立ち上がる群像劇。過酷な労働に疲弊し、絶望する労働者たちに「自分たちが変わらなければ何も変わらない」と喚起を促す労働者の1人・新庄役に松田龍平、冷徹な現場監督・浅川役を西島秀俊が演じる。

原作:小林多喜二
脚本・監督:SABU
出演:松田龍平 西島秀俊 高良健吾 新井浩文 柄本時生 木下隆行(TKO) 木下武宏(TKO)ほか
7月4日(土)より全国公開 / 公式サイト

(C) 2009『蟹工船』製作委員会


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  • 高良健吾 
  • (C) 2009『蟹工船』製作委員会 
  • (C) 2009『蟹工船』製作委員会 

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