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塚本晋也監督が松田龍平に感服「なかなかいない俳優」



 俳優の松田龍平塚本晋也監督が2度目のタッグを組む映画『悪夢探偵2』(12月20日公開)。日本だけでなく世界30ヶ国で上映され高い評価を受けた前作に続くシリーズ2作目では、芳醇な人間ドラマを描きつつ人間の内面に巣食う恐怖に迫る。そんな本作が放つ独特な世界観と映像世界は、息がぴったりとあった2人の信頼関係から作り上げられているようだ。

『悪夢探偵2』 12月20日よりシネセゾン渋谷ほか全国順次公開(C)NIGHTMARE DETECTIVE 2 FILM VENTURER 

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 他人の夢に入る能力をもつ主人公・影沼京一役の松田は、今作でも世の中や周囲の人間に対して心を閉ざす特異なヒーローを演じる。そのリアリティがありながら異彩を放ち、観るものを強烈に惹きつける人間像は、松田だからかもしだせるものかもしれない。今作に挑むにあたっては、松田自身もその役を楽しみにしていたという。

■摩訶不思議なことにリアリティをもたす存在感


松田「『悪夢探偵』がすごく楽しかったんで、今作も楽しみにしていました。(役作りは)頭で考えるというよりも、京一という役がすでに体にしみ込んでいるので、前作を見直すこともなかったですね。また新たに台本をもらって、塚本監督と一緒にやれるという気持ちで挑みました」

 一方、『悪夢探偵』シリーズの監督、原作者であり、企画製作の全般を自ら手がける塚本は、『悪夢探偵』は松田あっての作品といいきる。

塚本監督「夢のなかに入るという摩訶不思議なことにリアリティをもたすことができる存在感の俳優さんってなかなかいらっしゃらないんですけど、松田さんにはその存在感と神秘性があり、前作のときから満足していました。今作では、よりリラックスしていたと先ほど聞いて、さらに強いエネルギーのようなものを感じていた理由がわかりました。今回、悪夢探偵をさらに神秘的で深い存在にしてくれました」

 塚本監督は、松田を「すごい俳優」としながら、前作からの成長ぶりにも言及し絶賛する。一方、松田は、独特の映像表現が注目される塚本監督の撮影現場について、その雰囲気を語ってくれた。


松田「前作では、こんな現場ならいくらでもというくらい毎日撮影に行くのが楽しくて。それがなんなのかわからないんですけど……。塚本さんも役者をされているからかもしれませんが、すごく安心感があります。『悪夢探偵』ではなくても、ぜひご一緒したいですよね。すごく不思議な方です」

 不思議な人という言葉が、その雰囲気にマッチする塚本監督が今作で描くのは“人間の内面の怖さ”と“怖がる人の怖さ”だ。

塚本監督「どういうものが怖いんだろうと、自分の怖いものをどんどん羅列しながら、それがなぜ怖いんだろうと掘り下げて撮っているんですけど、はっきりとしたテーマを導き出そうというのではなく、自分が恐怖にもだえている感じをそのまま映画にしちゃったような作品なんです。その怖さって、どこかで好きだったりするんですよね。怖いのはいやなんですけど、必要なものみたいな気もしています」

■自然にたどり着いた、感情を揺さぶるラストシーン



『悪夢探偵2』
12月20日よりシネセゾン渋谷ほか全国順次公開(C)NIGHTMARE DETECTIVE 2 FILM VENTURER
http://www.akumu-tantei.com/

 また、毎回明確な映像コンセプトをもって作品に挑む塚本監督の今作のデザインを聞いてみると、夢と現実とのわかりにくさという。

塚本監督「映像のコンセプトを明瞭に語るのは、僕の楽しみのひとつなんです(笑)。『悪夢探偵』は、夢と現実を本来ははっきりわかるようにさせるべきかもしれないんですけど、僕としてはそれを曖昧にしたい気持ちがあって。もともと現実も夢のようなものかもしれない、という気持ちが常にあるんで、現実の世界も色を脱色したような世界にしたいというのが、シリーズ2作ともにありました。夢が深まるほうがモノクロの度合いが強くなっています。一方、現実もやはり少し脱色していて、過去の古い現実はモノクロになります。また、夢でも自然が映るシーンでは、わりと自然の色のままでカラーの時があります」

 恐怖の連鎖がほかに類をみない世界観を描き出す『悪魔探偵2』。そのクライマックスでは、京一の人間的な一面が描かれ、観るものの感情を揺さぶる。そのシーンについてはお互いに語り合う。

塚本監督「あのシーンは、最初から決めていたわけではなくて、なんとなく描いているうちに自然にそうなったんです。とくに話し合ったわけではないのに、松田さんがよくぞあそこまで理解してくれたと驚きました」

松田「最後のほうだったので、それまでの流れがあるから自然に、という感じですね。僕は泣こうと思っても泣けない役者ですから(笑)」


松田龍平:PROFILE
1999年に映画『御法度』(大島渚監督)でデビュー。ブルーリボン賞、日本アカデミー賞、ゴールデンアロー賞など数々の新人賞を受賞。2002年に『青い春』(豊田利晃監督)で主演、その後も『恋の門』(2004年)『NANA』(2005年)『悪夢探偵』(2007年)『アヒルと鴨のコインロッカー』(2007年)『伝染歌』(2007年)など多くの話題作に出演。映画のほかテレビドラマ『ハゲダカ』(2007年)『あしたの喜多善男』(2008年)にも出演。その演技力が高く評価される。


塚本晋也:PROFILE
日本大学芸術学部在学中に劇団を主宰。同校卒業後、CF制作会社のディレクターを経て、1985年に劇団・海獣シアターを結成する。1986年に映画制作を再開し、1989年に『鉄男』でローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞。世界中から高い評価を受ける。俳優としても多くの映画、テレビドラマに出演するほか、監督作である『六月の蛇』『悪夢探偵』の小説版を自ら執筆するなど、その活動は多岐にわたる。

 

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