『ハブと拳骨』で映画初主演を飾る尚玄。宮崎あおい、石田えりらと共演する。 |
終戦後の1960年代後半の沖縄を舞台にし、混沌とした時代をたくましく生きる家族の姿を、地元と本土の闇組織の争い、アメリカとの複雑な共生から描く映画『ハブと拳骨』(6月21日公開)。その暗転していく運命を背負う家族を演じるのは、国民的人気の実力派女優・宮崎あおい、石田えり、韓国映画にも主演する虎牙光揮、そして本作が映画初主演となる尚玄。昨年の東京国際映画祭のコンペティション部門に出品、今年はゆうばり映画祭フォーラム部門の招待作品となり、これまでに高い評価を受けている本作だが、ORICON STYLEのインタビューに登場した尚玄は「悲しみのなか生きていく家族の姿には、希望やカタルシスもある」と映画に込めるメッセージを語る。
沖縄出身の尚玄は今回、原案・音楽・クリエイティブディレクターを務める田中雄一郎とプロデューサーから主演の話を受け作品に参加。監督らとともに脚本の作成段階から携わり、シナリオハンティングにも同行するなど、故郷の生命力あふれる時代を描く本作に並々ならぬ意気込みで挑んだ。
■映画初主演での役柄への不安
「初めはちょっと不安でした。監督、スタッフも同じだったと思います。脚本を作っていく段階から、もっと感情を表に出さなければいけないと監督にいわれていました」
そんななか監督に演出の相談をしながら、一方では兄役の虎牙光揮との役作りも進める。
「兄貴との関係性を作るのが難しかったんです。兄弟の距離感ってあるじゃないですか。クランクイン前は虎牙さんの家に行って脚本の読み合わせをしたり、お互いの役柄の立ち位置を相談したり、極力ふたりで過ごすようにしました」
さらに役柄を演じる際に別の苦労も――。主人公は三線の達人なのだ。
「それまで三線には触ったことがなかったんですけど、1年かけて練習しました。中途半端だったら吹き替えにする、と監督にいわれ、どうしても自分で演じたかったので必死でした(笑)」
その結果、劇中では物語の要所ごとに見事な三線の弾き語りを披露している。もちろん吹き替えなしで。
■宮崎あおいと石田えりとの共演で!?
そうして完成した本作は、これまでの映画祭ですでに高い評価を受けている。しかし、尚玄はシナリオハンティングの段階から参加したことに「あまりできない経験。本当に今回は恵まれていた」としながら、思い入れのある作品だけに自身への評価は厳しい。
「過去の自分を役者として見るわけですから、厳しい採点をしがちです。今から見ると演技的にこうすればよかったというのがたくさんあります。でも、この映画についていえば、僕の等身大の魂をぶつけることができた作品だと思います」
終戦後の沖縄のひとつの家族の姿を描きながら、そこには今の時代へのメッセージを込める。尚玄は「家族や友人にちょっとやさしくしてあげたいと思える映画です」と語る。
| 【撮影Q&A】 ロケは? ロケ地はタイ。食事はおいしいし、いいことがたくさんありました。エネルギッシュな感覚が好きですが、ノスタルジックさを感じたりもしました。 撮影での思い出は? 撮影初日がいきなり妹(宮崎あおい)にベッドで謝るシーンだったんですが、リハーサルで感情が入りすぎてしまい、その後が続きませんでした…。監督から「感情の持って行き方を練習しないと」とダメ出しされ、思い出に残っています(笑) 好きなシーンは? 映画の最後のシーンです。家族の思いがそれぞれ表情に出ていて、悲しみとともに生きていくなかにも希望とカタルシスがあります。 次の出演作品は? 来年春公開予定の『カフーを待ちわびて』(http://kafu-movie.jp/)。玉山鉄二さんと共演します。 |
1978年生まれ。沖縄県出身。
日本のみならず海外のファッション・ショー、雑誌などでモデルとして活躍。
俳優としては、映画『トーリ/心の刀』(浅野忠信監督)でデビュー以降、『アコークロー』(岸本司監督)、倖田來未、DREAMS COME TRUE、BONNIE PINKらのPV、テレビ朝日系ドラマ『快感職人』では主演を務める。
昨年から連続してミラノコレクションにも参加、テレビCM『NTT DoCoMo2.0タクシー編』、JT『Sevenstars』にも登場している。
2008/06/20