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アジアのエンタメ最新ビジネス!

第3回「東京アジア・ミュージックマーケット」開催
「実践的でリアルなTAM」をキーワードに1200人が集う

 『東京国際映画祭』唯一の音楽協賛企画として、グローバルなビジネス展開を目指してスタートした「2006 3rd TAM」(主催:(財)音楽産業・文化振興財団)。今年は、10月24〜25日、海外でビジネスのOUT/IN事業に携わっている業界最前線の実務者を講師に迎えたカンファレンスやアジア各国の10組によるライブパフォーマンスで盛況裏に終えた。

キーワードは「より実践的でリアルなTAM」

  PROMIC、A.C.P.C.が共催したカンファレンス『ライヴ・エンタテインメントビジネスの成り立ちと潮流』

 「正確な情報の提供、相互信頼関係が築けるネットワークの一助を目指し」、今年で3回目を迎えた「東京アジア・ミュージックマーケット(TAM)」は、10月24、25日の2日間にわたり開かれた。会場は東京渋谷区代官山の複合エンターテインメントビル「UNIT」。内容は、カンファレンスとライブ。初日は、中国音像(レコード)協会(会長・劉国雄)と(社)日本レコード協会(会長・佐藤修)の共催で行われた。

 特別海外セッション1のテーマは、「中国音楽市場最新情報 C-POP動向を中心に…」。講師は中国音像協会秘書長・王炬(Wang Ju)氏。5月に上海で行われた『中国国際オーディオ・ビデオ・インターネット配給総合展示会 2006』に続く講演であった。内容は「中国音楽産業の現状と音楽の潮流」の最新版だ。「中国における音響映像業の行政管理と許認可制度」は、政治体制の違いを反映し、すべて許認可が必要であることが一目瞭然といったチャート図も提示され、貴重な情報であった。

 ちなみに、05年のレコード製品販売額は、前年比44.2%と大幅に増加した。主な要因は、CDとDVDの販売増であった。ただしVCDが44%、カセットテープが25%を占めている。数量は約4億9000万枚、金額では36.15億人民元(約538億円)。携帯音楽サービスパック市場も急成長しており、40億元に達し、08年には、72.6億元に急増すると予測している。

 「オリジナル楽曲の力」と題して、アーティスト9組が紹介された。興味深いのは「無料のランチ」と称する「インターネット楽曲」の人気だ。CD販売前に無料で楽曲をダウンロードできるシステムだ。人気楽曲ベスト10もあり、NHK『みんなのうた』にもなった「ネズミがお米を愛するように」(楊臣剛)は04年のベスト2にランクインしていた。

 王氏の講演はパワーポイントを使いながら行われ、私は二度目の聴講だったが、日本側参加者には、情報共有の絶好の機会になったと思う。続く国内セッションでは、マーク横澤氏( BMB海外営業部)がモデレーターを務め、「今後のアジア戦略に必要なこと」をテーマに、3組のパネリストが登場し、実体験に基づいた報告がもたらされた。

 「L’arc〜en〜Cielの海外展開」(大石征裕・マーヴェリックディーシー代表取締役社長、関根直樹・SME社現場担当)、「BoAの日本での成功について」(栗田秀一・レインボーエンタテインメント代表取締役社長、伊藤豪英・AVT社現場担当)、「中国における音楽産業育成について」(寺田明弘・AGHD社コーポレート企画本部戦略室執行役員、菊池一仁氏(作曲家))の三題だったが、まさに実践的でリアルであった。

 例えば、エイベックスの北京進出にあたり、作曲家&音楽プロデューサーの菊池氏、松浦勝人社長の陣頭指揮のもと、5人の音楽クリエイターが2ヶ月間、現地合宿したことなど。また横澤氏は、現在、中国国内で通信カラオケ事業の立ち上げに取り組んでいる真っ只中で、複雑な許認可の取得に尽力している。ポニーキャニオンからロックレコードを経て現職にある横澤氏は、音楽業界のアジア戦略について豊富な体験と貴重な情報の持ち主であると思う。

 2日目の基調講演は、韓国文化コンテンツ振興院と共催で、パク・ソンテ氏(作曲家)による「韓国音楽エンタテインメント・コンテンツの未来」であった。勢いづく韓国パワーの海外戦略を理解できた。続く国内セッション2は、 (社)全国コンサートツアー事業者協会(A.C.P.C./会長・永田友純)と初の共催。テーマは「ライヴ・エンタテインメントの成り立ちと潮流」(モデレーター・反畑誠一)。

 パネリストに、海外から孫恵民(韓国・MUNBO international代表理事)、太和田基(中国北京在住・音楽制作プロデューサー&コーディネーター)の両氏、日本側は、経験豊かな市川義夫(キャブ代表取締役)、遠山豊(プロマックス代表取締役)の両氏が出席。今年オープンしたばかりのSeoul−AX(ソウル、定員2000)、the Star Live(北京、星光現場、定員1500)を動画資料つきで紹介した。「情報不足な韓国、中国のライヴ事情を踏まえ、ビジネスの基本は、国は違っても相互信頼が大事であることが改めて確認できたと思う」(榎本和友・PROMIC理事長)と評価された。

中国、韓国、マレーシア、モンゴル、台湾のアーティストが競演

 もう一つの目玉であるライブ・ショーケースは2日間で10組のアーティストが出演した。初日は、マレーシア1組と韓国から3組、中国から2組。トップバッターはマレーシアのヒップホップDJ3人のユニット、THE STYLUSTIKS。「ショーアップされたパフォーマンス」(「TAMメールマガジン」を長期にわたって連載した関谷元子氏)が面白かった。その後、ドラマ『春のワルツ』の主題歌を歌っているYUNA(韓国)が登場した。まだ17歳。キュートなルックスと素晴らしい歌唱力。日本デビューが予定されている。三番目は、アルゼンチン育ちのタンゴ・ユニット、ORIENTANGO(韓国)。

 バイオリン奏者、サニーのセクシーなパフォーマンスが魅力的だった。視覚障害を乗り越えて演奏活動を続ける韓国最高のハーモニカ奏者、Jeon Jedukも来日し、参加した。そして、ブリティッシュロックをベースとするサウンドを持つ中国のトップグループ、果味Vcと、サイケデリックなロックに中国民俗音楽の要素を取り入れた壮大なサウンドを持ち味とする冷酷仙境もそれぞれパフォーマンスを披露した。

 2日目のライブは、モンゴルと台湾のアーティストが登場。モンゴル伝統音楽のエリート集団、大空のメロディー(SKY MELODY)のパフォーマンスに魅せられた。民族衣装を身にまとい、馬頭琴やシルクロードを経て欧州へ渡り、バイオリン、ベース、サックスのルーツとなった古楽器の幻想的な演奏や独り二重唱、ホーミーを堪能できた。客席にはモンゴル出身力士の姿も見かけた。80年代、ワールドミュージック・ブームで脚光を浴びたアジアの音楽。時を経てデジタル時代の到来により、音楽と映像を同時に楽しむ環境が整った。大空のメロディーには、21世紀のエンターテインメントを感じた。

 モンゴルからのもう一組は4人組のロックバンド、CHONO。欧州や米国ツアーの経験もあるという実力派。活動範囲が国際的であるところに学ぶ点があった。

 フィナーレは、台湾出身のチャン・チェン・ユエとMC HotDog。チャン・チェン・ユエはバンド、Free9を帯同し、淡々とパフォーマンスを披露した。アジア各地で何千人もの観客を動員する大物アーティストを目当てに来場したファンで満員の盛況。兵役で音楽活動を中断せざるを得ない時期を越えてのステージで、これは日本のアーティストにはない環境だ。彼らはこの後、マレーシア、アメリカ、中国本土、年末には香港でライブが予定されている。続いてチャン・チェン・ユエの呼び込みで登場したMC HotDogとチャンとの共演となり、観衆の盛り上がりは最高潮に達した。

 2日間の参加者数は、初日がカンファレンス430人、ライブ150人。2日目のライブは400人に達した。「カンファレンスは、昨年からPROMIC賛助団体と提携し、テーマ設定には従来にない切り口で望むことができました。RIAJ(日本レコード協会)、A.C.P.Cなど各団体のご担当の熱意があったればこそ。今後のテーマ設定にとても参考になりました。財団の重要な継続事業として推進していく所存です」と主催者を代表して榎本理事長は述べていた。

 香港中国返還から9年。「ASIA  MIDEM」に代わる音楽見本市として期待されてスタートした「TAM」。関係者の並々ならぬ尽力で3回目の幕を無事閉じた。中国、韓国など東アジアを軸にアジアの音楽市場は、ますます世界から脚光を浴びることになるであろう。

 一方では未だに、海賊商品の横行、著作権保護問題などのマイナスイメージが拭えていない。しかしアジアは、オリジナル音楽と優れたアーティストの宝庫である。ビジネスモデル、法整備では先進国の日本が、如何なるコンセンサスでアジア事情と取り組んでいくべきか、重要な時期にあると思う。TAMが掲げる「相互信頼に基づいた正確な情報の共有」を再確認し、次回の開催に向け業界は協調していくべきであろう。
 文/反畑誠一(音楽評論家・立命館大客員教授・A.C.P.C.理事)


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