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オリコンニュース

「次世代メディア」普及の可能性

ブルーレイ登場で変わる?次世代メディア
HD DVDに続き、ブルーレイディスクも市場に登場



 「全く新しいメディア」を主張するブルーレイディスクと、「現行DVDの発展型メディア」をアピールするHD DVD。デジタルハイビジョン時代を睨んで登場した異なる規格を持った次世代メディアは、往年の“ベータvsVHS戦争”を想起させながらも、それとは違う着地点を目指して模索中だ。この年末にはいよいよ両陣営のハードが出揃う次世代メディアの今後の行方を探ってみた。

デジタルハイビジョン時代へ向けた新メディアの登場

 
デジタルハイビジョンチューナー内蔵HDD登載ブルーレイディスクレコーダー
ソニー『BDZ-V9』

 2011年7月24日、5年後のこの日、地上波のアナログ放送が終了し、完全にデジタル放送に取って代わるいわゆる“地デジ”時代が到来する。すでにここ数年、家電マーケットでは、来たる次世代放送時代に向け、デジタルハイビジョン対応のテレビが続々と登場、一般家庭のお茶の間に普及し始めている。

 そんな中、現行のDVDに代わる新しいメディアとして登場してきたのが、HD DVDとブルーレイディスク(BD)という2つの異なる規格である。全く新しいメディアを主張するBD陣営に対し、HD DVD陣営はあくまでもDVDの発展型メディアであることを主張している。

 現行メディアであるDVDの普及率が6割程度とようやく大衆化されてきたこの時期に、なぜ早くも新しいメディアなのかと訝る一般消費者は多いが、その理由は、DVDは記憶容量が少なく、せっかくのハイビジョン放送を高画質のままに録画できないためである。それに対し、次世代メディアであるBDとHD DVDは、現行DVDの3〜5倍の容量を持っているため、デジタルハイビジョン映像を堪能するためには必須アイテムということになる。もちろん、映画をはじめとする映像ソフトや音楽ソフトも高画質・高音質でさらなる臨場感を楽しめるというわけだ。

 ところが、この2つの規格には互換性がない。つまり、消費者はDVDの時と違って、どちらかを選択することを余儀なくされてしまうのだ。これは、消費者にとっては不便この上ない。
 この状況を、過去のビデオにおけるベータとVHSの争いになぞらえて、“次世代メディア戦争”として、ここ数年各マスコミがその争いの顛末をさまざまな形で取り上げてきた。

 現在ハードメーカーにおけるBD陣営はソニー、松下、シャープ、日立、パイオニア、サムスン、デル、アップルなど。一方のHD DVD 陣営は東芝、マイクロソフト、インテルなどが名を連ねるが、ここに来て、勢力図的にはBD陣営の方がいささか分がいいようだ。そのような状況下、いよいよ、11月から年末にかけて、両陣営による普及をかけての商戦が火ぶたを切ることとなったのである。

普及に向けての緒戦となる年末商戦はBD有利!?

 これまでの両陣営の動きを簡単に振り返ってみよう。
 02年2月にソニー、松下を中心とするBD陣営は、DVDとは全く違う新しいメディアとしてBDの規格を発表する。続く03年には東芝、NECを中心とするHD DVD陣営が、現行DVDの発展系メディアとしてのHD DVDの規格をDVDフォーラムに提出し、承認される。

 同じ年にソニーは標準価格45万円という世界初のBDレコーダー『BDZ-S77』を各社に先んじて発売し、翌04年にBD陣営は、DVDフォーラムに対抗してBDファウンデーションを設立した。
 その後、両陣営が統一規格に向けて歩み寄りそうな場面もあったが、結局は決裂。

 06年3月に東芝がHD DVDプレーヤー『HD-XA1』、7月にはレコーダー『RD-A1』を矢継ぎ早に国内発売したのだ。そしてハード普及のための生命線ともいわれるハリウッドメジャー映画会社のソフト争奪戦や勢力図の再編を経て、いよいよこの11月から年末商戦に突入した。

 先陣を切って11月11日には、ゲームだけでなくBDプレーヤー機能も搭載した『プレイステーション 3』が発売になる。15日には松下のBDレコーダー『ブルーレイディーガ DMR-BW200』と『ブルーレイディーガ DMR-BR100』の2機種が登場。
 さらに22日には、マイクロソフトのゲーム機『Xbox360』用の外付けHD DVDドライブが発売。

 12月8日には満を持してソニーのBDレコーダー『BDZ-V9』『BDZ-V7』が発売される。先行した東芝のハードも含め、年末年始商戦の各社のスタートダッシュは、次世代メディアの勢力図を決定づけることになるのだろうか?
 「まだ勝ち負けを判断するのは早急ですが、先行する東芝さんよりも安い価格で登場し、しかもハイビジョンテレビのシェアが高く、ディスプレイで売場を圧倒するBD陣営はかなり強いと思います」
  そう話すのは、家電流通の専門誌『IT&家電ビジネス』編集部の川添聡志氏だ。
 事情をよく知る専門家筋のなかには、家電ユースとPCユースなど、それぞれの特徴に応じてユーザーの棲み分けがなされ、共存するとの見方があるのも事実であるが、予想以上に早く決着がつくかもしれないとの予測を川添氏自身は持っているという。
 では、実際に、双方の規格が2011年に向けてユーザーを獲得し、次世代メディアとしての存在感を誇示するにはどのようなファクターが必要となってくるのだろうか?

『プレイステーション 3』でスタートダッシュなるか?

 現行のDVDは96年に登場したが、約6割の普及率を獲得するまでにほぼ10年かかっている。一方、次世代メディアのHD DVDとBDは、5年後の2011年に地上波アナログ放送が終了し、完全デジタルハイビジョン化が始まるという追い風があるため、かなり急速に普及していくのではとの期待感もあるが、普及率の段階的な上昇の予測は、DVDの軌跡になぞらえて見ていくとわかりやすそうである。

 DVDが96年に登場し、その売れ行きが伸び出したのはソフトのレンタルが本格的にスタートした3年後の99年だった。
 00年に入ると低価格ソフトが発売され始め、さらにDVDプレーヤーが搭載されたゲーム機・プレイステーション2の登場が普及率アップの大きな要因となった。
 当時DVDプレーヤーは平均価格が5万円前後だったのに対して、PS2はゲームもできて3万9800円という価格だったのは大きいだろう。

 その後も02年のサッカーワールドカップ開催頃からレコーダー需要が伸び、05年にはレコーダーが低価格化し、普及率も約6割に到達した。
 さて、今回のHD DVDとBDの普及率上昇のためのカギを見ていくと、レンタルや低価格ソフト、低価格ハードといった要因は当然予測できるものの、それらは少なくとも市場が成熟していく1〜3年後と見るべきではないだろうか。

 そうなると、今回まず注目すべき要因は、やはり11月に発売になる『プレイステーション 3』の動向である。青紫色半導体レーザーの量産の不備により、初回出荷数がかなり減るという情報はあるものの、BDプレーヤー機能搭載で4万9980円という価格はユーザーにとってかなり魅力的である。
 「再生環境が増えていけば、ソフトの売上も勢いづいていくでしょうから、プレイステーション 3の発売は大いに期待できると思います」と前出の川添氏も言う。

 ソニーとしても、12月のレコーダー発売を前に年末商戦の動向を察知できる点で、PS3は重大な試金石になると考えているようだ。
 一方のHD DVD側は、同じゲーム機であるマイクロソフトのXbox360用の外付けHD DVDドライブをぶつけてくる。ゲーム機の人気度からいってPS3に断然分がありそうだが、市場の活性化という点では注目すべきだろう。
 次に注目すべき点は、ソフトのタイトル数とコンテンツのアピール度だろう。

 タイトル数は現在HD DVDは約40本前後、BDが年内で約60本、07年3月までで89本のラインナップを予定している。問題のコンテンツのアピール度だが、売上に大きな影響を及ぼすであろうハリウッドメジャー系のソフトが、ユニバーサル以外すべてBD陣営から出ることになってしまった(パラマウントとワーナー・ブラザースは両陣営から出る)。8月に開催されたBDの発表会では、同陣営に属する各社が結束の固さをアピールし、勢いを示していたが、今後ソフトメーカーの勢力図がどのように動くかによっては、また流れが変わる可能性もある。

ハイビジョンテレビの普及がハード普及のカギ

 さて、以上述べてきたファクターは、DVDが普及していく過程でも重要な役割を果たしたが、今回、当時と違って最も強力な要因になるであろうと言われているのが、テレビの買い換え需要とレコーダー購入の相関関係である。

 「すでにハイビジョンテレビを持っている方はもちろんですが、ブラウン管からハイビジョンへ買い換えるお客さまが、一緒にレコーダーを買うというケースはかなり増えると思います」と言うのは、秋葉原の石丸電気本店でビジュアル商品を担当する関根克則氏。

 2011年の地上波アナログ放送終了までに買い換えを余儀なくされる消費者は、テレビ購入のタイミングでBDやHD DVDのレコーダーを買う可能性が間違いなく増えていくと話す。
 「家電量販店の店頭では、ずらりとハイビジョンテレビが並びますが、その中でシェアが高いのは、松下、ソニー、シャープですから、一緒にレコーダーを買うということになると、BD陣営が強いという根拠はここにもありますね」(川添氏)

 現在、各家電量販店では、ハイビジョン映像の良さをアピールするために、同じサイズのテレビを2台並べ、次世代メディアとDVDを比較してユーザーに見せている。
 「店頭で並んでいる映像を見比べれば、そのクオリティの違いは一目瞭然です。日本はレコーディングユースが高いので、きれいな映像を見たユーザーは、それを保存したいときっと思うはずです」(関根氏)

 売場を訪れる人々は、BDやHD DVDそれぞれのスペック自体にはそれほど興味はなく、店頭で実際に目にした美しい映像を保存できるメディアとして徐々に認知しているというのが実情のようだ。
 一方では、ソニーが主張するように(P53の囲み記事参照)、パーソナルな映像や画像もハイクオリティなままでディスクに残せる家庭用メディアサーバーとしての使用を志向するユーザーもいる。そういう人たちに対する店頭での演出も販売促進には必要であろう。

 さて、HD DVDか? それともBDか? 業界内でも様々な憶測を呼び、ふたを開けた結果がどうなるのかは大いに注目されるところだが、現在のところ、一般ユーザーにとっては、“BDvsHD DVD”の二者択一という考え方は希薄という印象が強い。
 テレビ買い換えのタイミングと選択肢、自分のライフスタイルに合ったハード機能や使い勝手、現在所有しているハードの後継機であるかどうか、そして価格などさまざまなポイントをもとに、各メーカーの機種をじっくり比較して、「買うか」「待つか」を決めるというのが現実なのかもしれない。

 10月31日の日刊工業新聞紙上で東芝の上席常務で、HD DVDの旗降り役である藤井美英氏は「負ける気がしない」と強気のコメントをしていたが、その言葉の裏には何か秘策があるのだろうか。今後、HD DVD陣営で孤軍奮闘する東芝がどのような戦略を取ってくるかで、また新たな動きも出てくるかもしれない。
 いずれにしても、次世代メディアのシェア争奪戦は、まだまだ始まったばかりで、現時点での予測は難しいというのが今回の結論だ。

 今後どのような経過をたどっていくのか、注目していきたいが、結果はどうあれ、新しいメディアがエンターテインメント市場をさらに盛り上げ、ユーザーが充実したハイビジョンライフを送れることを何よりも望みたい。
(取材・文/伊波達也)










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