2025年1月15日、78歳で逝去した映画監督デイヴィッド・リンチ。デビュー作『イレイザーヘッド』(1977年)以来、“カルトの帝王”の異名を取り、唯一無二の映像世界で世界中の映画人と観客を魅了し続けた。長編映画はわずか10本。その最後の長編映画となった『インランド・エンパイア』(2006年)が、リンチ監督自身の監修による4Kリマスター版『インランド・エンパイア 4K』として、2026年1月9日より新宿ピカデリーほか全国順次公開されることが決定した。 本作は、監督・脚本・撮影・音楽・編集までリンチ自らが手がけた最も濃密な一作。主演を務めたのはローラ・ダーン。映画の主演に抜てきされた女優が、現実と虚構の境界を失っていくさまを描く悪悪夢のような不条理劇。リンチは内容を「トラブルに陥った女の話(about a woman in trouble)」とだけ説明している。公開当時から賛否を巻き起こし、現在も伝説的作品として語り継がれている。
2025/12/09