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松坂桃李主演、江戸末期に天然痘と闘った町医者の実話を映画化 役所広司、芳根京子が共演

 俳優の松坂桃李が主演、役所広司芳根京子が共演する映画『雪の花 ―ともに在りて―』が来年(2025年)1月24日に劇場公開されることが決定。江戸時代末期を舞台に、数年ごとに大流行して多くの人命を奪う天然痘と闘った一人の町医者の実話を描いた、吉村昭の小説『雪の花』(新潮文庫)を、黒澤明監督のもとで助監督を務め、そのDNAを受け継ぐ小泉堯史が監督を務め、実写映画化した。

松坂桃李(中央)主演、役所広司(右)、芳根京子共演、映画『雪の花 ―ともに在りて―』2025年1月24日公開決定

松坂桃李(中央)主演、役所広司(右)、芳根京子共演、映画『雪の花 ―ともに在りて―』2025年1月24日公開決定

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 故・吉村さんが1988年に発表した『雪の花』の主人公は、天然痘の絶対確実な予防法が異国から伝わったと知った福井藩の町医者・笠原良策。京都の蘭方医・日野鼎哉に教えを請い、また私財をなげうち種痘の苗を福井に持ち込む。良策はかつてない予防法成功のためにさまざまな困難にもあきらめず、妻・千穂の支えの中で流行病と闘い続けた。自らの利益を顧みずに、天然痘に侵された日本を本気で救おうと立ち上がった、実在の知られざる町医者・笠原良策が、生きる希望を与えてくれる物語。

 主人公・笠原良策を演じる松坂は、映画『真田十勇士』(16年)、映画『居眠り磐音』(19年)以来の時代劇。「非常に身が引き締まる思いです。時代劇に参加するのは『居眠り磐音』以来。約5、6年の時間が経っていますが、小泉堯史監督のもとで 演じさせてもらえるということが、僕にとっては非常に光栄でした。今回、再共演となる役所広司さんはじめ、すてきなキャストの方々と共演させてもらえたのは何より心強かったです」と撮影を振り返る。

 さらに、「わからないものほど怖いものはない、そんな未知の病と戦った一人の町医者がつないだ希望。懸命に命と向き合う笠原良策の姿を『雪の花』という作品を通して観ていただきたいです」とコメントを寄せている。

 京都の蘭方医・日野鼎哉(ひの・ていさい)役を役所が演じる。小泉監督とは『峠 最後のサムライ』以来のタッグとなり、松坂とは映画『日本のいちばん長い日』(15年)、『孤狼の血』(18年)、大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(19年、NHK)、ドラマ『VIVANT』(23年、TBS)と5度目の共演となる。

 「小泉監督の作品にはどんな形でも参加したいと思っていたので、声をかけていただき、ぜひ参加させてほしいとお答えしました。松坂くんとは何度かご一緒していますが、良策という役は本当に心の澄み切った青年で、松坂くんにぴったりだと思いました。今の時代があるのも、いろいろな人たちが命をかけて頑張った結果なのだろうなと、そんな想いをこの映画を通して感じていただきたいです」と意気込みを語っている。

 良策の妻・笠原千穂を芳根が演じる。松坂とは『居眠り磐音』以来2度目の共演となる。

 「小泉堯史組に参加するのは2度目だったのですが、千穂という素晴らしい役に呼んでいただけてとても光栄でした。と同時に、自分に務まるのかすごく不安でしたが、小泉監督から優しさと強さを大切にしてほしいと導いていただきました。今回は殺陣や太鼓、調薬など、撮影前から毎日必死に役作りを準備してきましたが、時間をかけた分、より丁寧に演じられたと思います。松坂桃李さん演じる良策ともすてきな時間を積み重ねることができました。こういった歴史があるから今があるということをぜひ感じていただきたいです」とコメントしている。

吉村昭『雪の花』(新潮文庫)

吉村昭『雪の花』(新潮文庫)

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 監督を務める小泉は、1970年に黒澤プロに参加。『影武者』(80年)以降、『乱』(85年)、『夢』(90年)、『八月の狂詩曲』(91年)、『まあだだよ』(93年)で助監督を担当。脚本作りから準備、撮影、仕上げまで黒澤明監督に師事、黒澤映画のさまざまな手法を学び、黒澤監督の遺作脚本『雨あがる』(2000年)で監督デビューを果たた。『博士の愛した数式』(06年)、『蜩ノ記』(14年)、『峠 最後のサムライ』(22年)といった上質な日本映画を製作し続けている。小泉監督のコメントは以下のとおり。

 「映画監督として、歴史の上で出合った実在の人物は、『明日への遺言』の陸軍中将・岡田資。『峠 最後のサムライ』の長岡藩家老・河井継之助。そして、この度の『雪の花』福井藩町医者・笠原良策。いづれも、己を無に帰し、事に当たった男たち。小林秀雄さんは『無私の精神』で、次のように書いています。

 『実行家として成功する人は、自己を押し通す人、強く自己を主張する人と見られがちだが、実は反対に、彼には一種の無私がある。空想は孤独でも出来るが、実行は社会的なものである。有能な実行家は、いつも自己主張より物の動きの方を尊重しているものだ。現実の新しい動きが看破されれば、直ちに古い解釈や知識を捨てる用意のある人だ。物の動きに順じて自己を日に新たにするとは一種の無私である』と。

 江戸末期、福井に生きた町医者・笠原良策に、無私の美しい精神を感じます。努力を積み重ね、勇気を持ち、己を捨てて誠実に働く良策の姿は、永遠に価値ある歴史を生み、現在に生きる私たちの心に、強く働きかけてくれます。歴史は、決して進歩するものではありません。歴史は自然と共に、いつも同じものと戦っているのです。

 今や、品位を敢えて失わせようとする文化が、消費と手を結び、勝手気ままに振る舞っています。それによって破壊されるのは、道義的な美しさです。言葉や行ないの立派さは、美しさがあればこそ、時の移り変わりに、耐えることが出来るといいます。良策との出合いは、歴史を鑑とし、少しでも良きものになれるかもしれないと、私たちに希望や勇気を示し、道を清々しく照らしてくれるのでは、と思っています」

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