俳優の綾野剛が主演する映画『花腐（くた）し』（11月10日公開）より、降り続く雨の中をさまよう主人公・栩谷（くたに）のシーン写真が解禁となった。本作で綾野は、斜陽の一途にあるピンク映画業界で、5年も映画を撮れずに腐りかけている映画監督を演じる。

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　本作は、『赫い髪の女』（1979年）、『キャバレー日記』（82年）などの日活ロマンポルノの名作や、『遠雷』（81年）、『Wの悲劇』（84年）、『ヴァイブレータ』（2003年）、『共喰い』（13年）など、数多くの脚本を手がけてきた荒井晴彦による4作目の監督作品。

　芥川賞受賞の松浦寿輝による同名小説に“ピンク映画へのレクイエム”という荒井ならではのモチーフを大胆に取り込み、原作の“超訳”に挑んだ意欲作で、映画を夢見たふたりの男とある女優との、切なくも純粋な愛の物語。柄本佑、さとうほなみが共演する。

　タイトルの“花腐し”は万葉集の和歌からの引用で、きれいに咲いた卯木（うつぎ）の花をも腐らせてしまう、じっとりと降りしきる雨を表している。解禁されたシーン写真は、それを体現したような憂いを帯びた印象的なカットばかり。撮影は荒井監督の前作『火口のふたり』（2019年）の劇中で使われたモノクロ写真も手掛けた写真家の野村佐紀子が担当した。