俳優の杉咲花が5日、韓国で開催中の「第28回釜山国際映画祭」ジソク部門に正式出品された主演映画『市子』のワールドプレミア上映に映画監督の戸田彬弘、俳優の若葉竜也とともに立ち会った。
映画の殿堂(釜山シネマセンター)で行われた本作のチケットは即完売。上映前の舞台あいさつでは、まず戸田監督が「偉大な映画祭にお招きいただき光栄に思っています。今日が世界初上映と言うことで、どのように伝わるか緊張します」とあいさつ。
続いて杉咲は「アンニョンハセヨ。杉咲花です。自分にとって特別な映画が、ようやく皆さんに見ていただけることができてうれしいです。一緒に見られる機会はなかなかないので緊張するんですけど、楽しみたいと思います」と韓国語を交えたあいさつで会場を沸かせ、若葉も「映画祭はもちろん楽しませてもらっているんですけど、一人の人間としてこの国と釜山という街を楽しんでいます。今夜も楽しい時間を作っていきたいと思いますので皆さん共有してください」と、韓国での上映に対する喜びを伝えた。
本編の上映が終わると、拍手が沸き起こり、観客と一緒に鑑賞をしていた戸田監督、杉咲、若葉が、映画祭の醍醐味でもあるQ&Aを行うため舞台に再び登壇。満席の劇場で鑑賞した観客からの質問を受けた。
最初の質問で「この作品に携わることになったきっかけ」を聞かれると、原作となる舞台の脚本も執筆している戸田監督は「この物語自体が、もともとは舞台の脚本で、それを映画化するという話になり、主演・市子を誰に託すかを考えながら脚本を書いていました。自分としては杉咲花さんにやっていただきたいという思いが強く、お手紙を書かせていただきました」と裏話を披露。
杉咲は「監督からいただいたお手紙がすごく記憶に残っていて、自分の監督人生において分岐点となる作品だと思っていると言われ、この作品にかける並々ならぬ想いを感じました。そして、自分が市子という役を演じられる機会を与えられたことについても深く感動し、震える想いでオファーをお受けしました」とエピソードを語ると、若葉が「僕には(監督からの)手紙はなかったんですけど(笑)」とツッコミを入れつつ「この台本をもらったときに、自分以外の俳優が長谷川という役をやっているのをあまり想像したくないなという想いになりました。そういうことは普段感じることがないので、すごく特別な作品だったんだと思います」と語った。
さらに多数の手があがり、熱心な質問が続いた。「映画を撮影するときに、感情的な部分で消耗することが多かったと思うのですが、実際はどうでしたか?」という質問に杉咲は少し考え込み、一言一言を噛みしめるように「市子として、カメラの前に立つときに、満ち足りていない感覚を持つことが必要な気がしていて、その気持ちに向き合うことに集中していました」と役に入り込んでいた様子を語った。
さらに若葉は、「僕は、市子の人生をお客さんと一緒に見ていくという立場なので、その事実を知った時のリアクションは、本当に新鮮なものじゃないといけないと思っていました。台本を読み込んだり、ここで意図的にこういう声を出そうとか、涙を流そうとかではなく、その時に自分がどんな気持ちになるんだろうということを楽しんで演じました。なので、初めてこの映画を見たときは、自分の想像とは違う表情をしている自分自身を見ることができ、戸田監督に感謝しています」と答えた。
また、上映後ならではの「自分たちが作ったこの映画で、好きなシーン、印象深いシーンを教えてください」と問われると、戸田監督はネタバレともなるであろうシーンを挙げ「この作品は、せりふがないシーンがたくさんあるのですが、中でも、せりふがまったくないこのシーンは杉咲さんのお芝居ひとつにお任せしていて、6分ほどの長尺のシーンを俳優さんのお芝居ひとつに任せて撮っていくといことが非常に楽しくもありました。映画の中で重要なシーンのひとつなので印象に残っています」とコメント。
若葉は「あんなに頑張った北くん(森永悠希)に『いらない』とはっきりと告げる市子のシーン。ただ、あのシーンが好きです。市子のヒーローになるんだと意気込んでいた北くんに、『もう過去の人には会いたくない、なぜならケーキ屋をやるから』と言うシーンは…、僕は何度見ても笑ってしまいます」と、笑いをこらえながら回答し、客席からもシーンを思い出してか、笑い声が。
杉咲は「私は婚姻届けを長谷川君から受け取るシーンは特に印象に残っています。若葉くんとは、今回で3回目の共演になるのですが、自分がどういう風に現場にいたいとか、どう表現したいということよりも、第一に相手のために現場に立ってくださる方で、目を見つめていたら、自分が想像していたものからどんどんはみ出しいき、想像もできなかったところに到達できたシーンになった気がしていて、若葉君には、本当に感謝しています」と明かした。
最後は笑顔で写真撮影。「海外の方にどのように作品を受け取ってもらえるか」と緊張をしていた杉咲、若葉、戸田監督の3人だったが、映画の本質に深く切り込んでくるような質問も多数あり、手応えが感じられたQ&Aになったのではないだろうか。
同映画は、戸田監督が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞、観客から熱い支持を受け再演もされた舞台『川辺市子のために』を映画化。痛ましいほどの過酷な家庭環境で育ちながらも、「生きること」をあきらめなかった川辺市子の、抗えない境遇に翻ろうされた壮絶な人生を描いた物語。
本作が出品されたジソク部門は、2017年から設定されていたキム・ジソク賞を独立させ、昨年新設された部門で、新人をのぞけば唯一のコンペティション部門となる。今年は9本の作品の中から最大2作品にキム・ジソク賞が送られる。これまでに、『羊の木』(吉田大八監督)、『義足のボクサー』(ブリランテ・メンドーサ監督)がキム・ジソク賞を受賞している。授賞式は10月13日を予定している。
映画の殿堂(釜山シネマセンター)で行われた本作のチケットは即完売。上映前の舞台あいさつでは、まず戸田監督が「偉大な映画祭にお招きいただき光栄に思っています。今日が世界初上映と言うことで、どのように伝わるか緊張します」とあいさつ。
続いて杉咲は「アンニョンハセヨ。杉咲花です。自分にとって特別な映画が、ようやく皆さんに見ていただけることができてうれしいです。一緒に見られる機会はなかなかないので緊張するんですけど、楽しみたいと思います」と韓国語を交えたあいさつで会場を沸かせ、若葉も「映画祭はもちろん楽しませてもらっているんですけど、一人の人間としてこの国と釜山という街を楽しんでいます。今夜も楽しい時間を作っていきたいと思いますので皆さん共有してください」と、韓国での上映に対する喜びを伝えた。
本編の上映が終わると、拍手が沸き起こり、観客と一緒に鑑賞をしていた戸田監督、杉咲、若葉が、映画祭の醍醐味でもあるQ&Aを行うため舞台に再び登壇。満席の劇場で鑑賞した観客からの質問を受けた。
杉咲は「監督からいただいたお手紙がすごく記憶に残っていて、自分の監督人生において分岐点となる作品だと思っていると言われ、この作品にかける並々ならぬ想いを感じました。そして、自分が市子という役を演じられる機会を与えられたことについても深く感動し、震える想いでオファーをお受けしました」とエピソードを語ると、若葉が「僕には(監督からの)手紙はなかったんですけど(笑)」とツッコミを入れつつ「この台本をもらったときに、自分以外の俳優が長谷川という役をやっているのをあまり想像したくないなという想いになりました。そういうことは普段感じることがないので、すごく特別な作品だったんだと思います」と語った。
さらに多数の手があがり、熱心な質問が続いた。「映画を撮影するときに、感情的な部分で消耗することが多かったと思うのですが、実際はどうでしたか?」という質問に杉咲は少し考え込み、一言一言を噛みしめるように「市子として、カメラの前に立つときに、満ち足りていない感覚を持つことが必要な気がしていて、その気持ちに向き合うことに集中していました」と役に入り込んでいた様子を語った。
さらに若葉は、「僕は、市子の人生をお客さんと一緒に見ていくという立場なので、その事実を知った時のリアクションは、本当に新鮮なものじゃないといけないと思っていました。台本を読み込んだり、ここで意図的にこういう声を出そうとか、涙を流そうとかではなく、その時に自分がどんな気持ちになるんだろうということを楽しんで演じました。なので、初めてこの映画を見たときは、自分の想像とは違う表情をしている自分自身を見ることができ、戸田監督に感謝しています」と答えた。
また、上映後ならではの「自分たちが作ったこの映画で、好きなシーン、印象深いシーンを教えてください」と問われると、戸田監督はネタバレともなるであろうシーンを挙げ「この作品は、せりふがないシーンがたくさんあるのですが、中でも、せりふがまったくないこのシーンは杉咲さんのお芝居ひとつにお任せしていて、6分ほどの長尺のシーンを俳優さんのお芝居ひとつに任せて撮っていくといことが非常に楽しくもありました。映画の中で重要なシーンのひとつなので印象に残っています」とコメント。
若葉は「あんなに頑張った北くん(森永悠希)に『いらない』とはっきりと告げる市子のシーン。ただ、あのシーンが好きです。市子のヒーローになるんだと意気込んでいた北くんに、『もう過去の人には会いたくない、なぜならケーキ屋をやるから』と言うシーンは…、僕は何度見ても笑ってしまいます」と、笑いをこらえながら回答し、客席からもシーンを思い出してか、笑い声が。
杉咲は「私は婚姻届けを長谷川君から受け取るシーンは特に印象に残っています。若葉くんとは、今回で3回目の共演になるのですが、自分がどういう風に現場にいたいとか、どう表現したいということよりも、第一に相手のために現場に立ってくださる方で、目を見つめていたら、自分が想像していたものからどんどんはみ出しいき、想像もできなかったところに到達できたシーンになった気がしていて、若葉君には、本当に感謝しています」と明かした。
最後は笑顔で写真撮影。「海外の方にどのように作品を受け取ってもらえるか」と緊張をしていた杉咲、若葉、戸田監督の3人だったが、映画の本質に深く切り込んでくるような質問も多数あり、手応えが感じられたQ&Aになったのではないだろうか。
同映画は、戸田監督が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞、観客から熱い支持を受け再演もされた舞台『川辺市子のために』を映画化。痛ましいほどの過酷な家庭環境で育ちながらも、「生きること」をあきらめなかった川辺市子の、抗えない境遇に翻ろうされた壮絶な人生を描いた物語。
本作が出品されたジソク部門は、2017年から設定されていたキム・ジソク賞を独立させ、昨年新設された部門で、新人をのぞけば唯一のコンペティション部門となる。今年は9本の作品の中から最大2作品にキム・ジソク賞が送られる。これまでに、『羊の木』(吉田大八監督)、『義足のボクサー』(ブリランテ・メンドーサ監督)がキム・ジソク賞を受賞している。授賞式は10月13日を予定している。
2023/10/06