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加熱式たばこもくさい?「においも副流煙もない」たばこは実現するのか…誕生10年の現在地

 様々な規制や健康懸念、またスメハラに代表されるにおい問題などによって喫煙人口が減少している現在。そんな状況からか、紙巻たばこを吸う人はジリジリと減り、「加熱式たばこ」へ移行する人が続々。この5年で、加熱式たばこのシェアは約3倍にまで伸びたという。とはいえ、「加熱式たばこもくさい、嫌だ」という声は止まない。誕生から10年、加熱式たばこはどうなっていくのか?


9月5日に全国発売されるインフューズドたばこ「ウィズ2」

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■約3人に1人が「加熱式たばこ」を選択、でも“独特なにおい”を嫌う人も…

 現在では、紙巻たばこを吸う人が66%、加熱式たばこを吸う人が34%。今や喫煙者の約3人に1人が加熱式たばこを選択していることになる(JT推計による)。だが吸わない人からは、「紙巻たばこよりはマシだが、加熱式たばこも独特のにおいがあって気になる」「副流煙は変わらないだろう」という声も根強い。

 一口に“加熱式たばこ”と言っても、実はいろいろと種類がある。まず、におい一つとっても変わってくるので、一度ここで整理してみたい。よく、“電子たばこ”と総称されるが、これは厳密にいうとリキッドタイプのみが該当する。

【高温加熱式たばこ】<アイコス、グロー、プルーム・エックスなど>
特長:たばこ葉の詰まったスティックを「加熱」して吸う。紙巻たばこのように「燃焼」させないためタールは発生しない。独特のにおいはあるが、発生するのは煙でなくたばこ葉由来の成分を含む水蒸気。

【低温加熱式たばこ】<プルーム・テック(現在は販売終了)など>
特長:グリセリンと水などからできたリキッドを「加熱」し、そこから上がる蒸気をたばこカプセルに通過させて吸う。たばこのにおいはほとんどなく、発生するのは煙でなくたばこ葉由来の成分を含む水蒸気。

※フレーバーの付いたリキッドを蒸発させて吸う「ベイプ」は、日本ではニコチンが含まれるものは販売不可であり、「たばこ」ではない。

 おおまかにいうと上記のとおりで、いわゆる「加熱式たばこもにおいは気になる」と言われているのは、“高温加熱式たばこ”のことであろう。たしかに、代表的なデバイスであるアイコス、グロー、プルーム・エックスにはそれぞれ独特なにおいがあり、とくにコロナ禍以降、他人のにおいに敏感になった人々から嫌われがちだ。この10年で各社はデバイスを進化させているが、この高温加熱式たばこのにおいは低減できないものなのだろうか。

 プルーム・エックスを販売するJTによれば、残念ながらそれは難しいようだ。「紙巻のように燃焼させなくても、機構上たばこ葉を加熱したにおいは出ます」とのことだった。

加熱式たばこと言っても、様々な種類や特性がある

加熱式たばこと言っても、様々な種類や特性がある

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 とはいえ、加熱式たばこ全般が、紙巻たばこのにおいや健康懸念を低減するために生まれたものであることは事実だ。なかでも、周囲の人の健康までを脅かす副流煙(燃焼部分から立ち上る有害物質を含んだ煙)への批判は大きく、対応する必要があった。この10年の趨勢(すうせい)を見てきたJTのブランドマネージャー・嶋根崇駿氏は、次のように語る。

 「健康懸念や周囲へのたばこのにおいの配慮の観点から、加熱式たばこは生まれてきました。黎明期から比べても、現在では健康リスクの低減は当たり前です。ただ、よく誤解されがちなのですが、加熱式たばこは高温加熱式でも低温加熱式でも、燃焼に伴い発生する副流煙はありません。また、紙巻たばこと比べて健康懸念物質は大きく低減しています」

 「副流煙がない」加熱式たばこの登場は、たばこを吸わない人にとっても、吸う人にとっても歓迎すべきものだろう。さらに気にすべきは「においが気になる」と言われる高温加熱式たばこの独特のにおいだが、実はここにも突破口はあった。それが、“低温加熱式たばこ”である。

 前述のとおり、プルーム・テックに代表される低温加熱式たばこは、リキッドを加熱して蒸気を吸い込むもの。たばこ葉自体を加熱しないため、たばこのにおいはほとんど出ない。このほど、JTが新ブランドを立ち上げて発売したインフューズドたばこ『ウィズ2』は、「においも副流煙もない」との報道に大きな注目が集まった。同社は、高温・低温のわかりにくさを解消するため、低温加熱式たばこを「インフューズドたばこ」として新たに打ち出していくことにしたのだ。

■“低温加熱式”なら髪や服にもにおいがつかず、壁紙の着色もないのは本当か?

 実際、外部機関と協力して様々なにおいの調査を行ったが、紙巻きたばこが臭気強度4(強いにおい)に対して『ウィズ2』は1(やっと感知できるにおい)。髪や服につくにおいも同様だ。また、歯への着色は紙巻きを20とした場合1〜2、壁紙の着色に至っては紙巻きを9とした場合0.5以下だったという。

 「健康懸念物質に関しても、『ウィズ2』は紙巻たばこの約95〜99%まで低減しています。プルーム・エックスでも90〜95%は低減しているのですが、さらに低い数字となりました。調査では毎月、定期的にモニタリングを行っています。結果からは、健康リスクを低減できる可能性があると言えるのですが、加熱式たばこは歴史が浅い。まだ研究段階であり、はっきりとした結論に至っていないというのが現状です」

インフューズドたばこ「ウィズ2」と5種のフレーバー

インフューズドたばこ「ウィズ2」と5種のフレーバー

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 副流煙がなく、たばこのにおいもほぼない。周囲の人への健康懸念も最小限に抑えられているとすれば、“加熱式=インフューズドたばこ”こそ、今の時代にピッタリな発明かもしれない。素人目には、これがもっと広まれば、吸わない人が不快に思うことは減るし、吸う人が肩身の狭い思いや不便を感じる機会も減る。終わりのない非喫煙者VS喫煙者の議論にも一石を投じることになるように思える。

 だが一方で、初代プルーム・テックに始まり、現在もインフューズドたばこを販売しているのは、国内でJTのみ。シェアの大きい海外の企業、アイコスのフィリップモリス、グローのブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンにもない。なぜか。

 「海外では選択肢がシンプルであり、紙巻たばこと加熱式たばこ(プルーム・エックスやアイコス)以外に市場の余地がないのです。一方、日本ほど高温加熱、低温加熱など多くの種類が出ている国はありません。日本は異常なほどニーズが細かくて新しいものが好まれ、結果としてカテゴリ数が多くなる傾向があります。これはビールや家電でも言えますね。また、日本は人々が密集して物理的距離が近いため、海外よりもにおいに焦点があたり、それを改善する商品が望まれやすいのではないでしょうか。このへんに、海外のたばこ企業がインフューズド商品を出さない理由があるのではないかと推測します」

 とはいえ、10年前にJTが発売したプルーム・テック(低温加熱式)は苦戦し、アイコスやグロー(高温加熱式)に水をあけられた苦い過去がある。当時、アイコスなどは紙巻たばこの代替品となりうる吸いごたえがある一方、プルーム・テックにはそれがなかった。実はそこで奪われた加熱式たばこのシェアは、現在まで影響しているらしい。『ウィズ2』は「たばこのにおいもほぼなく、副流煙もない」という点は時代に合っているとはいえ、勝算はあるのだろうか。

 「プルーム・テックを発売した当時とはまた状況が異なり、今は『加熱式たばこもにおいは気になる』と言われるほど、においへの意識が高まった。つまり、プルーム・テックは10年ほど早すぎたんですね。今こそ時代が追いついたと見ていて、吸う人にも吸わない人にも受け入れられやすいのではないかと考えています」

 先を行き過ぎたがゆえに消え、そして今、満を持して発売されるインフューズドたばこ『ウィズ2』。においや着色などの問題も大幅に低減されているほか、早速手にしたユーザーからは利便性の高さも注目されている。高温加熱式たばこの場合は一度吸い始めたら最後まで吸い続けることになるが、『ウィズ2』は途中でやめることができ、無駄にもならない。たばこ休憩で一吸い、二吸いして職場に戻ることが可能で、時間的にも自由になった。使い勝手が向上したことはもちろん、においのなさから「自宅で吸うときも、これなら妻から許してもらえる」と好評のようだ。

 「吸わない人には配慮を、そして吸う人には多様な選択肢を。様々なニーズがある日本の会社であるからこそ、今後もたばこ問題に真摯に向き合っていきたいです」と、思いを述べる。

 紙巻たばこ主流の時代から、吸う人と吸わない人の間では様々な軋轢があったが、その要因である健康懸念やにおいなどは、高温加熱式たばこ、そしてインフューズドたばことなって、どんどん解決に近づいているように見える。喫煙者はこうした製品の特性を理解し、周囲の状況に応じて選択できるといいだろう。たばこにおいても“ガラパゴス”である日本、嗜好品を楽しみ、快適に過ごすにも、多くの選択肢があるのだ。

(文:衣輪晋一)

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