映画『鉄男』(1989年)でのセンセーショナルな劇場デビュー以後、世界中に熱狂的ファンを持ち、多くのクリエイターに影響を与えてきた塚本晋也監督(※塚は旧字の点あり)の最新作『ほかげ』(11月25日より全国順次公開)が、イタリアで開催される「第80回ベネチア国際映画祭」オリゾンティ・コンペティション部門(新鮮で革新的な作品で構成)への正式出品が決定した。
『斬、』以来、5年ぶりの出品に、塚本監督は「こうしてまた、最古の映画祭に呼んでいただけること、たいへん光栄に思います。終戦後の片隅に生きる人々の祈りが、べネチアの皆さんにも届くことを願っています」。戦争に翻ろうされる主人公を演じた趣里も「『ほかげ』がべネチアに招待されたというニュース、本当にうれしく思います」と、コメントを寄せている。
塚本監督はこれまでにも、『野火』(2014年)、『斬、』(18年)が2作連続でコンペティション部門に出品されたことがあり、『六月の蛇』(02年)ではコントロコレンテ部門(現・オリゾンティ部門)で審査員特別大賞、『KOTOKO』(11年)はオリゾンティ部門で最高賞のオリゾンティ賞を受賞するなど、同映画祭とは縁が深い。
本作では、戦場の極限状況で変貌する人間を描いた『野火』、太平の世が揺らぎ始めた幕末を舞台に生と暴力の本質に迫った『斬、』の流れを汲み、戦争を民衆の目線で描き、戦争に近づく現代の世相に問いかける。
主演は、今年後期の連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)のヒロインにも抜てきされた、趣里。孤独と喪失を纏いながらも、期せずして出会った戦争孤児との関係にほのかな光を見出す様を繊細かつ大胆に演じる。片腕が動かない謎の男を演じるのは、映像、舞台、ダンスとジャンルにとらわれない表現者である森山未來。飄々としながらも奥底にうごめく怒りや悲しみを、唯一無二の存在感で示す。
趣里が演じる、戦争で家族をなくし、焼け残った居酒屋で体を売って生きている女と交流を深めていく戦争孤児役に、『ラーゲリより愛を込めて』(22年)や大河ドラマ『青天を衝け』(21年)に出演した子役・塚尾桜雅。復員した若い兵士役に、PFFグランプリ受賞作品『J005311』の監督でもある河野宏紀。そして、映画監督、俳優としても活躍する利重剛、大森立嗣も出演している。
今回のベネチア国際映画祭は、審査員長に『ラ・ラ・ランド』や『バビロン』のデイミアン・チャゼル監督、昨年度の同映画祭で銀獅子賞と新人監督賞を受賞した『サントメール ある被告』のアリス・ディオップ監督、マーティン・スコセッシが製作総指揮を務めた『チャンブラにて』のジョナス・カルピニャーノ監督を迎え、現地時間8月30日〜9月9日に開催。塚本監督と森山、塚尾は公式上映に参加予定。
■「第80回ベネチア国際映画祭」出品についてのコメント
▼塚本晋也監督
こうしてまた、最古の映画祭に呼んでいただけること、たいへん光栄に思います。オリゾンティ部門は、これまで作った何本もの作品が上映された、馴染みのあるセクション。肩の力を抜いて、楽しく参加させていただきたいと思います。そして、終戦後の片隅に生きる人々の祈りが、べネチアの皆さんにも届くことを願っています。
▼居酒屋の女役:趣里
『ほかげ』がヴェネチアに招待されたというニュース、本当にうれしく思います。戦後の日本を舞台にしたこの作品がヴェネチアの皆様の目にどう映るのでしょうか。今からとても楽しみです。
▼片腕の動かない謎の男役:森山未來
『ほかげ』が評価され、個人的には初めてのベネチア映画祭への参加がこの作品であることを心からうれしく思います。べネチアの日差しと、島なみの揺らぎを楽しみにしています。
▼戦争孤児役:塚尾桜雅
今回、塚本監督の映画に参加できて本当にうれしかったです。趣里さんや未來さん、また凄い俳優さん達とご一緒できてたくさん勉強させていただきました。べネチア国際映画祭に参加させていただくこともうれしく思います。緊張もしますが楽しみにしています。
▼復員した若い兵士役:河野宏紀
この映画の本当の意味での悲しみと痛みと塚本監督の優しさが、世界に届きますように。本当におめでとうございます。
『斬、』以来、5年ぶりの出品に、塚本監督は「こうしてまた、最古の映画祭に呼んでいただけること、たいへん光栄に思います。終戦後の片隅に生きる人々の祈りが、べネチアの皆さんにも届くことを願っています」。戦争に翻ろうされる主人公を演じた趣里も「『ほかげ』がべネチアに招待されたというニュース、本当にうれしく思います」と、コメントを寄せている。
塚本監督はこれまでにも、『野火』(2014年)、『斬、』(18年)が2作連続でコンペティション部門に出品されたことがあり、『六月の蛇』(02年)ではコントロコレンテ部門(現・オリゾンティ部門)で審査員特別大賞、『KOTOKO』(11年)はオリゾンティ部門で最高賞のオリゾンティ賞を受賞するなど、同映画祭とは縁が深い。
本作では、戦場の極限状況で変貌する人間を描いた『野火』、太平の世が揺らぎ始めた幕末を舞台に生と暴力の本質に迫った『斬、』の流れを汲み、戦争を民衆の目線で描き、戦争に近づく現代の世相に問いかける。
主演は、今年後期の連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)のヒロインにも抜てきされた、趣里。孤独と喪失を纏いながらも、期せずして出会った戦争孤児との関係にほのかな光を見出す様を繊細かつ大胆に演じる。片腕が動かない謎の男を演じるのは、映像、舞台、ダンスとジャンルにとらわれない表現者である森山未來。飄々としながらも奥底にうごめく怒りや悲しみを、唯一無二の存在感で示す。
趣里が演じる、戦争で家族をなくし、焼け残った居酒屋で体を売って生きている女と交流を深めていく戦争孤児役に、『ラーゲリより愛を込めて』(22年)や大河ドラマ『青天を衝け』(21年)に出演した子役・塚尾桜雅。復員した若い兵士役に、PFFグランプリ受賞作品『J005311』の監督でもある河野宏紀。そして、映画監督、俳優としても活躍する利重剛、大森立嗣も出演している。
今回のベネチア国際映画祭は、審査員長に『ラ・ラ・ランド』や『バビロン』のデイミアン・チャゼル監督、昨年度の同映画祭で銀獅子賞と新人監督賞を受賞した『サントメール ある被告』のアリス・ディオップ監督、マーティン・スコセッシが製作総指揮を務めた『チャンブラにて』のジョナス・カルピニャーノ監督を迎え、現地時間8月30日〜9月9日に開催。塚本監督と森山、塚尾は公式上映に参加予定。
■「第80回ベネチア国際映画祭」出品についてのコメント
▼塚本晋也監督
こうしてまた、最古の映画祭に呼んでいただけること、たいへん光栄に思います。オリゾンティ部門は、これまで作った何本もの作品が上映された、馴染みのあるセクション。肩の力を抜いて、楽しく参加させていただきたいと思います。そして、終戦後の片隅に生きる人々の祈りが、べネチアの皆さんにも届くことを願っています。
▼居酒屋の女役:趣里
『ほかげ』がヴェネチアに招待されたというニュース、本当にうれしく思います。戦後の日本を舞台にしたこの作品がヴェネチアの皆様の目にどう映るのでしょうか。今からとても楽しみです。
▼片腕の動かない謎の男役:森山未來
『ほかげ』が評価され、個人的には初めてのベネチア映画祭への参加がこの作品であることを心からうれしく思います。べネチアの日差しと、島なみの揺らぎを楽しみにしています。
▼戦争孤児役:塚尾桜雅
今回、塚本監督の映画に参加できて本当にうれしかったです。趣里さんや未來さん、また凄い俳優さん達とご一緒できてたくさん勉強させていただきました。べネチア国際映画祭に参加させていただくこともうれしく思います。緊張もしますが楽しみにしています。
▼復員した若い兵士役:河野宏紀
この映画の本当の意味での悲しみと痛みと塚本監督の優しさが、世界に届きますように。本当におめでとうございます。
このニュースの流れをチェック
- 1. 趣里、森山未來が出演、塚本晋也監督の“終戦企画”『ほかげ』公開決定
- 2. 塚本晋也監督の最新作『ほかげ』ベネチア国際映画祭出品決定 趣里、森山未來らが出演【コメントあり】
- 3. 濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』ベネチア国際映画祭コンペ出品
- 4. 9歳の子役・西川玲がベネチアの映画ファンを魅了 濱口竜介監督『悪は存在しない』に出演
- 5. 濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』ベネチア国際映画祭で初上映 8分間のスタンディングオベーション
- 6. 塚本晋也監督『ほかげ』ベネチア国際映画祭で初上映「想像以上に大事なことを伝えられた」と手応え
- 7. 塚本晋也監督『ほかげ』ベネチア国際映画祭にて最優秀アジア映画賞受賞 審査員「このような映画は観たことがない」と絶賛
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- 9. 濱口竜介監督、ベルリンに続いてベネチアでも“銀”の快挙 “金”への意欲は「少しもない」
- 10. 趣里主演、塚本晋也監督『ほかげ』「第36回東京国際映画祭」出品決定 アジア初上映
- 11. 濱口竜介監督の新作『悪は存在しない』4・26公開、ポスタービジュアル解禁
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2023/07/25