フランスで開催中の「第76回カンヌ国際映画祭」で日本の公共トイレを題材にした映画『PERFECT DAYS』(日本公開未定)の公式上映が行われた翌日(現地時間26日)、監督のヴィム・ヴェンダース、主演を務めた俳優の役所広司、共演の中野有紗、ヴィム監督と共同で脚本を手がけた高崎卓馬が記者会見に出席した。
本作は、16人の建築家やクリエイターが渋谷区内17ヶ所の公共トイレを新たなデザインで改修する「THE TOKYO TOILET プロジェクト」のプロジェクトオーナーを務める柳井康治(ユニクロを展開するファーストリテイリング取締役)から、「日々、公共トイレのメンテナンスをしてくれている清掃員のバックアップしたい」「トイレ利用者の意識改革をしたい」という思いから、映画づくりに発展。
会見でヴェンダース監督は「柳井さんから手紙をもらったところから始まりました。私は東京が好きです。この場所を捉えるならフィクションがいいと思いました。物語つくる必要があります。コロナ禍でも東京に文化的なものが戻ってきている瞬間を捉えたいと思いました。高崎さんと去年の5月にアイデアを交換し、企画のために東京に行き、長編というアイデアをもらって2週間で書き上げました」と、経緯を説明した。
「THE TOKYO TOILET プロジェクト」のクリエイティブディレクターを務める高崎とともに書き上げた本作は、東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山(役所)の日常を描いた物語。平山は、同じようなことを繰り返す日々の中に、新鮮な小さな歓びを感じ、満足している人物。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読み耽(ふけ)るのが、歓び。いつも持ち歩く小さなフィルムのカメラで木々を撮ることも好きだ。ある時、思いがけない再会をして、それが彼の過去に少しづつ光を当てていく。
ヴェンダース監督は「平山さんが大好きなんです。謙虚さがあって何かに役に立つことに喜びを感じている。今、この瞬間に描きたいのはこのキャラクターなんです」と、本作への愛着を語り、「彼には見ることはできない(映画では描かれていない)けど過去があり、今の人生を自分で選択して幸せに思っている。そんなキャラクターが、役所さんがカメラの前に立つと、成長していくんです。ルーティーンを通していろんなものが膨らんできます」と、平山を体現した役所の演技を称えた。
役所は平山の役作りについて、「監督の現場に立って、平山がどういうところに住んでいて、どのくらいのお金を使って生きてきたのかということは伝わってくるので、住んでいる場所や使っているハサミ、歯磨き粉とかから平山さんが僕自身の中に忍び込んできてくれたような気がします。平山を演じる中で迷っている時に、監督からメモでこっちだよと道標をもらうこともありました」と、監督の演出に感謝の言葉を口にした。
また、役所は「平山がうらやましいと監督も言っていました。物欲がなくて、好きな本と音楽を聴いて、眠りにつく。平山が平和でいいなあと僕も思います」「平山みたいな人間が増えてくると世界がもっといい方向に向くと思います」と、本作の主人公がいかに魅力的かを語った。ヴェンダース監督も「平山は1人で生活をしているけど孤独ではありません。全ての生きるものにコンタクトを取っているからです」と、話していた。
主人公の平山に並んで、会見に集まったプレスの関心を集めたのは、田中泯が演じたホームレスだった。ヴィム監督は「田中さんは映っている時間が短かったとしても、この映画の魂です。オファーをした時はこんな小さな役を受けてもらえるか心配でした。でも、(田中さんの存在は)映画にとっては全く小さな役ではありません」と、コメント。
さらに、「平山とホームレスのやりとりが印象的だった」という記者からの質問に役所は「泯さんは木の象徴なんです。そんな彼を見ながら、平山さんもあと一歩でホームレスになった過去があるのかも、ということを考えたり、ホームレスの男が本当に実在するのか、もしくは幻なのかわからない。そんな、自分の分身のような気持ちで撮影していました」と、答えていた。
なお、公式上映前に行われた日本向けの取材に応じた田中は「映像に捉えられたものは全部その場でやったもの。私のスピリットそのものです」と、コメントしていた。
本作は、16人の建築家やクリエイターが渋谷区内17ヶ所の公共トイレを新たなデザインで改修する「THE TOKYO TOILET プロジェクト」のプロジェクトオーナーを務める柳井康治(ユニクロを展開するファーストリテイリング取締役)から、「日々、公共トイレのメンテナンスをしてくれている清掃員のバックアップしたい」「トイレ利用者の意識改革をしたい」という思いから、映画づくりに発展。
会見でヴェンダース監督は「柳井さんから手紙をもらったところから始まりました。私は東京が好きです。この場所を捉えるならフィクションがいいと思いました。物語つくる必要があります。コロナ禍でも東京に文化的なものが戻ってきている瞬間を捉えたいと思いました。高崎さんと去年の5月にアイデアを交換し、企画のために東京に行き、長編というアイデアをもらって2週間で書き上げました」と、経緯を説明した。
「THE TOKYO TOILET プロジェクト」のクリエイティブディレクターを務める高崎とともに書き上げた本作は、東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山(役所)の日常を描いた物語。平山は、同じようなことを繰り返す日々の中に、新鮮な小さな歓びを感じ、満足している人物。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読み耽(ふけ)るのが、歓び。いつも持ち歩く小さなフィルムのカメラで木々を撮ることも好きだ。ある時、思いがけない再会をして、それが彼の過去に少しづつ光を当てていく。
ヴェンダース監督は「平山さんが大好きなんです。謙虚さがあって何かに役に立つことに喜びを感じている。今、この瞬間に描きたいのはこのキャラクターなんです」と、本作への愛着を語り、「彼には見ることはできない(映画では描かれていない)けど過去があり、今の人生を自分で選択して幸せに思っている。そんなキャラクターが、役所さんがカメラの前に立つと、成長していくんです。ルーティーンを通していろんなものが膨らんできます」と、平山を体現した役所の演技を称えた。
役所は平山の役作りについて、「監督の現場に立って、平山がどういうところに住んでいて、どのくらいのお金を使って生きてきたのかということは伝わってくるので、住んでいる場所や使っているハサミ、歯磨き粉とかから平山さんが僕自身の中に忍び込んできてくれたような気がします。平山を演じる中で迷っている時に、監督からメモでこっちだよと道標をもらうこともありました」と、監督の演出に感謝の言葉を口にした。
また、役所は「平山がうらやましいと監督も言っていました。物欲がなくて、好きな本と音楽を聴いて、眠りにつく。平山が平和でいいなあと僕も思います」「平山みたいな人間が増えてくると世界がもっといい方向に向くと思います」と、本作の主人公がいかに魅力的かを語った。ヴェンダース監督も「平山は1人で生活をしているけど孤独ではありません。全ての生きるものにコンタクトを取っているからです」と、話していた。
主人公の平山に並んで、会見に集まったプレスの関心を集めたのは、田中泯が演じたホームレスだった。ヴィム監督は「田中さんは映っている時間が短かったとしても、この映画の魂です。オファーをした時はこんな小さな役を受けてもらえるか心配でした。でも、(田中さんの存在は)映画にとっては全く小さな役ではありません」と、コメント。
さらに、「平山とホームレスのやりとりが印象的だった」という記者からの質問に役所は「泯さんは木の象徴なんです。そんな彼を見ながら、平山さんもあと一歩でホームレスになった過去があるのかも、ということを考えたり、ホームレスの男が本当に実在するのか、もしくは幻なのかわからない。そんな、自分の分身のような気持ちで撮影していました」と、答えていた。
なお、公式上映前に行われた日本向けの取材に応じた田中は「映像に捉えられたものは全部その場でやったもの。私のスピリットそのものです」と、コメントしていた。
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2023/05/27