俳優の岡田准一（42）が映画批評家らが優れた人材や作品を表彰する『第32回日本映画批評家大賞』の特別主演男優賞を受賞し16日、都内で行われた授賞式に出席した。

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　『ヘルドッグス』での演技を評価されての受賞で、アクションと演技の融合を実現させた岡田のため、特別主演男優賞が用意された。落ち込んでいる時期だったそうで「今回の受賞を聞いた時は救われた気持ち。『特別に賞を作って岡田にあげたい』と選考理由を聞いて救われる思い。20代のころに大好きな映画に携われる時に夢を1つ持ちました。世界に日本の映画で売れるものを作りたい、と。日本人が日本人の映画として誇ってもらえる映画を作れるようになりたい。そういう思いでアクションや格闘技で本物を学ぶと自分に課してやってきた。役者さんや監督が気づいてくれたりして、作り手にも回ることになった。悩んでいる日々も賞をいただいて救いになりました」としみじみ。

　さらに、「もう1つ救い」があったそう。主演男優賞を受賞した中井貴一から「会いたい」と連絡を受け、楽屋にあいさつに行くと中井から「君に渡したいものがある」と時計を渡されたといい、「知られている方もいると思いますけど、この時計は高倉健さんが中井貴一さんに渡した時計だということです。それを中井貴一さんは『今、君の活躍、君のやっていること、君の思いを受けて、これを君に託します』とおっしゃって渡してくれました」と明かした。

　「僕なんかがもらっていいのか」と逡巡もしたという。岡田は、中井がメイクが崩れないように、どんなに熱くても水は一滴も飲まないエピソードを明かしながら、「僕はそれをスゴいなと思いながらも隠れてチビチビと水を飲んでいた…。自分に渡してくださっていいのか」と照れ笑い。「役者の中にも物語があって、つなげていくものがある。自分が、そこの場所にいられる喜びと、つなげて行かなければいけない責任と、皆さんに誇ってもらえる映画が作れるように悩みながらですが精進していけたらと心に誓いました。もっともっと面白い日本映画を作れるように頑張ります」と決意を新たにした。

　時計をどうするかについて質問されると岡田は「大事な時に。日々、不安になる時だったり、映画に必要とされていないのかなって思うことや、最善を尽くそうと思ってもうまくいかない時があると思う。そういう時につけていけたら」と語っていた。

■第32回日本映画批評家大賞　受賞結果（敬称略）
作品賞：『メタモルフォーゼの縁側』（狩山俊輔監督）
主演男優賞：中井貴一『大河への道』
主演女優賞：板谷由夏『夜明けまでバス停で』
助演男優賞：窪田正孝『ある男』
助演女優賞：吉岡里帆『島守の塔』
監督賞:三宅唱監督『ケイコ 目を澄ませて』
ドキュメンタリー賞：『夢みる小学校』（オオタヴィン監督）
アニメーション作品賞：『夏へのトンネル、さよならの出口』（田口智久監督）
アニメーション監督賞：湯浅政明監督『犬王』
新人監督賞：竹林亮監督『MONDAYS／このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』
新人男優賞（南俊子賞）：坂東龍汰『フタリノセカイ』
新人女優賞（小森和子賞）：伊東蒼『さがす』
脚本賞：吉田恵輔『神は見返りを求める』
編集賞（浦岡敬一賞）：小林譲 竹林亮『MONDAYS／このタイムループ、上司に気づかせないと終 わらない』
ワタシタチのトキワ荘賞：一般財団法人手塚治虫文化財団
特別賞（松永武賞）：立川志の輔『大河への道』
特別主演男優賞：岡田准一『ヘルドッグス』
ゴールデン・グローリー賞（水野晴郎賞）：風吹ジュン『裸足で鳴らしてみせろ』
ダイヤモンド大賞（淀川長治賞）：宮本信子『メタモルフォーゼの縁側』