NPO法人『ねこけん』には、さまざまな猫たちが保護されており、子猫もいれば老猫もいる。さらに、ちょっとばかり個性的な顔立ちの猫たちもいる。いわゆる猫らしい可愛らしさとは一味違い、譲渡までに時間がかかる場合もあるが、「この顔がいい！」と魅力を感じる人も多いよう。「何代も猫を飼ってきた」ような人に特に好まれる“プロ向け”の猫たちについて紹介する。

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■「じ、人面猫？」ガリガリ猫爺さん、意外な愛らしさでファン獲得

　御年12歳の「しぐれ」、通称「しぐ爺」は、まるで達観した人間のような顔つきをした猫。しぐ爺を紹介したYouTubeにも「顔が人間ぽい…」とのコメントが寄せられている。とても個性的な顔に見えるが、『ねこけん』ブログに登場すると、「あの子は誰？」「かわいい！」と一躍人気者になった。

　そんな「しぐ爺」は、『ねこけん』千葉支部長が雨の中コンビニに行こうとしていたところ、びしょ濡れで腰が抜けたようになっているところを発見。「おいで〜」と呼ぶと、ふらふらと寄ってきたしぐ爺を保護したのだという。「今ではふっくらしていますが、当時はガリガリに痩せていて、脱水状態だったということです」（ねこけん代表理事・溝上奈緒子氏）

　この「しぐ爺」、当初は約6歳くらいであろうと思われていたが、のちに12歳程度であることが発覚。予想以上に高齢であったが、あまり動かない様子、達観した人間のような顔つきを見ると、年齢を経た猫であることも納得がいく。

　「しぐ爺」の魅力は顔立ちだけではなく、「とにかく動かない」ところにもあるそうだ。たしかに、YouTubeやブログに投稿された動画では、「※静止画ではありません」と注意書きがされているほど、「しぐ爺」は動かない。それでも、何ともいえない愛らしい風貌、また予想外の鳴き声で、さらにファンを増やしているという。

　「何かとケアに手はかかります。でも、見てのとおりじっとしてあまり動かないので飼いやすさはありますし、味がある（笑）。可愛いは、子猫だけのものではないと思いますね」

　膝の上にすわり、じっと撫でられている「しぐ爺」の動画からは、まさに年齢を経た猫ならではの落ち着きと可愛らしさがにじみ出る。撫でられて気持ちがいいのか、目を閉じる様子はまるで温泉に浸かったおじいさんのようだ。どんな猫だってかわいい…そんなことを思い出させてくれる「しぐ爺」なのだった。

　もう一例。大きな図体のわりに、目も口も小さいしょぼくれ顔の茶トラ猫「かっちゃん」。口の上の「ω」がもりっとしたおちょぼ口で、どことなくしょぼくれた表情がなんとも愛らしい、甘えん坊の男の子だ。

　そんな「かっちゃん」は、実は捨てられた猫だった。ある日突然、飼い主から畑のような場所に放り出されて捨てられたところを、偶然見ていた人に救われたのだという。近くに手を差し伸べてくれる人がいたことが、「かっちゃん」にとっては大きな幸運だった。

　こうして、なんとか生き延びることができた「かっちゃん」。だが、個性派の顔立ちのせいか、なかなか新たな家族が決まらない。とはいえ、『ねこけん』ではまだまだ希望は捨てていない。以前も「かっちゃん」と同じようなしょぼくれ顔で、なかなか縁が繋がらなかった「しょぼぼ」という猫がいたが、ある人に「あんまりかわいくない感じが逆にかわいい」と見染められ、今では愛にあふれた幸せな暮らしを送っているそうだ。

　「かっちゃんは個性的で、すごくかわいい。初心者向けというよりは、プロ向けかもしれません。猫を何代も飼っているような方、その子にしかない唯一のかわいさがわかる人にウケる猫を、私たちは“プロ向け”と言っていて（笑）。しょぼぼも譲渡には時間がかかりましたが、すごくかわいい猫だった。今はご家族に愛され、LINEスタンプまで作ったと聞きました（笑）。かっちゃんにもきっと、個性を見染めてくれる人が現れると思っています」