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在阪テレビ局×動画配信サービス、元フジテレビのテレビマンが目指す“win-win”

 在阪テレビ局の朝日放送(ABCテレビ)と動画配信サービス「DMM TV」がタッグを組み、新作ドラマを企画制作・放送&配信していくことになった。仕掛けたのは、ABCテレビのプロデューサー・清水一幸氏と、DMM TVのオリジナルコンテンツ制作責任者・久保田哲史氏。2人ともかつてはフジテレビでドラマ制作に携わっていた。両者が組む狙いは? 双方にどんなメリット“win-win”があるのか?

ABCテレビと「DMM TV」によるドラマ共同企画プロジェクトがスタート(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.

ABCテレビと「DMM TV」によるドラマ共同企画プロジェクトがスタート(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.

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――定額制動画配信サービス(SVOD)ではオリジナル作品の強化が各社の重要な差別化戦略になっていますが、昨年12月1日にサービスを開始したばかりで最後発となるDMM TVも独自コンテンツとしてのドラマ制作に乗り出した、ということなのでしょうか?

【久保田】そうですね。DMM TVのメインターゲットは、男性。加入者を増やす、継続して利用してもらうためにも、アニメを軸に漫画や2.5次元、バラエティーなどのコンテンツの充実、新しいコンテンツの開拓が急務としてある中、縁あって一緒にドラマを作ることになりました。

――おふたりとも元フジテレビでお互いを知っている、という“縁”ですか? 清水さんはプロデューサーとして『のだめカンタービレ』や『最高の離婚』『東京ラブストーリー』(2020年版)など、久保田さんはディレクターとして『離婚弁護士II』『医龍-Team Medical Dragon-』『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』などを手がけられました。

【清水】それは大きいと思います。フジテレビを退社した後、「何か一緒にできたらいいですね」という話をさせていただいていました。僕は、元々、朝日放送からフジテレビに行ったので出戻りなんですが(笑)、朝日放送にはフジテレビでいうFODのような自社の配信プラットフォームがないんですね。自分たちが作ったコンテンツの、放送以外での出しどころとして、配信サービス各社と連携していきたいと思っている中で、DMM TVが新たに立ち上がって、そこに久保田先輩がいる! 相談しない手はないですよね(笑)。

【久保田】DMM TVからすれば、テレビ局のアーカイブは本当に魅力的なんです。ほんの数年前までドラマはテレビ局が作るものであり、テレビ局しか作っていなかった。各テレビ局が持っているアーカイブの中からDMM TVのユーザーに向けて提供したいコンテンツを調達したいと思ってもなかなか難しいものがある。提供してもらえるなら何でもいいというわけでもなくて、仮に大ヒットした『silent』の配信権を購入できるとしても、ブランディング・ターゲティングの観点から今はプライオリティが低いと判断すると思う。

 それよりも親和性を感じていたのが、在阪テレビ局が力を入れている深夜ドラマでした。他局との差別化に試行錯誤しながらいろいろチャレンジしていて、今、一番勢いがあると思っていたんです。ちょうどABCテレビに清水がいて、1月期に放送された『アカイリンゴ』をDMM TVで配信させてもらうことになりました。さらに、4月期からこちらのニーズも踏まえてドラマを共同企画していけることになって、感謝しかないですよね。

【清水】僕らはかつてフジテレビのドラマ制作センターという部署で一緒に仕事をしていて、その後、時期はちょっと違いますけど、2人ともコンテンツ事業の部署に転属になっているんです。久保田さんは国際ビジネス、僕はFODなどのコンテンツ制作・配信を担当していました。2人ともドラマを作るところから売るところまでひと通り経験しているんです。だからお互いの手の内もわかっているので、話も早かったですよね。共同企画の第1弾は『サブスク彼女』に決まりました。これをきっかけに1年ぐらいはしっかりと腰を据えて取り組んで、「ABC×DMM TV」らしさを印象付けられるような作品を作っていきたいと思っています。

【久保田】DMM TVとしては、Netflixが、Netflixにしかないコンテンツを制作して差別化を図っているように、視聴者からもクリエイターからも愛されるDMM TVらしさを早く確立して、DMM TVに企画や作品がどんどん集まってくるようにしたい。それには一つひとつの積み重ねていく必要がある。その第一歩をABCテレビさんともに踏み出せるのは心強いです。

(左から)朝日放送グループホールディングス コンテンツ開発局長 ・清水一幸氏、DMM.com プレミアム事業部コンテンツ戦略兼オリジナル制作責任者・久保田哲史氏(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.

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――ABCテレビにとってDMM TVと組む狙いは?

【清水】地上波で放送して視聴率が取れれば、広告収入が上がるというビジネスが成り立たなくなってきています。放送外の新たな事業に取り組んでいかざるを得ないというのもありますが、僕はコンテンツにとって、人に観てもらえないことが一番残念なことだと思うんです。関西ローカルの日曜深夜に放送しただけで終わってしまうのが寂しすぎる。TVerで配信されるようになったのはありがたいことですが、十分ではありません。さっきも言ったように、自社の配信プラットフォームがないため、少しでも多くの人に見てもらえる環境を自分たちで作っていかなければならない。もうドラマを作っていればいいだけというわけにはいかいないんです。

 そのドラマもテレビ局が作りたいものを作って放送すればいいという時代ではありません。フジテレビ時代も今もいろいろな配信プラットフォームとコラボレーションを試みてきましたが、各プラットフォームによって求めるものが違っていて、少女漫画原作の胸キュンだったり、ドロドロ愛憎劇だったり、そんな中DMM TVは男性向けを打ち出していますよね。いろんなオーダーに応えていきたいと思っています。これまで地上波のドラマでは家族向けだったり、女性向けだったりを意識することはあっても、DMM TVが打ち出しているような男性向けのドラマというのは新しいチャレンジでもあります。DMM TVで配信されることによって、いままで手が届かなかった人たちの目に触れる可能性が広がる。それをメリットとして感じるべきことなんじゃないかと思っています。

――長年テレビ業界で活躍されてきたおふたりが影響を受けた作品や人物は?

【久保田】2人に共通して言えるのは、大多亮さんじゃないですか。現フジテレビの専務取締役の。

――『東京ラブストーリー』(1991年)をはじめ、トレンディドラマというジャンルを確立したプロデューサーの1人ですね。2015年にNetflixが日本に上陸する時、最初に共同制作のタッグを組んだのもフジテレビでした。

【清水】大多さんは2009年にドラマ制作センターからデジタルコンテンツ局長に異動になって、フジテレビのインターネットビジネスを先導された方でもあります。これからのテレビ局はネットとテレビをうまく組み合わせて新しいサービスを開発していかなければいけないんだ、という発想を持てたのも大多さんの影響だと思います。コンテンツを作る時は、とにかく本気で面白いものを作れ、ヒットするもの作れという人ではあったので、そこの大切さも叩き込まれましたね。

――共同企画第1弾の『サブスク彼女』は、山本中学氏の同名漫画(ニチブンコミックス/日本文芸社)が原作。本作に期待していることは?

ドラマ化決定『サブスク彼女』1巻書影(C)山本中学/日本文芸社

ドラマ化決定『サブスク彼女』1巻書影(C)山本中学/日本文芸社

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【清水】タイトルは男性向けですが、中身は「本命に選ばれない」むなしさを抱えている女の子たちの悲哀を描いていて、若い女性にも観てもらえそうな原作。DMM TVがターゲットにしている男性が、“サブスク彼女”を利用してみたいと思うのか、“サブスク彼女”になった登場人物たちをどう見るのかは、正直なところ蓋をあけるまでわからないですね。

【久保田】確かにタイトルからエロを連想したり、DMM TVぽいなと思っていただけそうですし、内容は女性目線なので、どんな反響があるか、すごく楽しみです。愛されたいけど、がっかりするくらいなら割り切った関係でいいと思う気持ちは男女問わず共感する人は多いんじゃないかと思う。レンタル彼女を描いた『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS)が話題になったように、今の若い子たちが気になるテーマなんじゃないかと思いました。

【清水】『明日、私は誰かのカノジョ』は、配信でかなり再生されたみたいですね。僕は、かつて制作した『翼の折れた天使たち』(2006年、フジテレビ)というドラマに似ているな、と思ったんだですけど、ファッションの流行が繰り返されるようにドラマもそういうところがあって、『silent』も同じように障がいを持つ男女の恋愛を描いたドラマが昔、あったなって(笑)。『サブスク彼女』も、“彼女までサブスクできるって時代だなぁ”“今っぽい”と思えるけど、時代に左右されない普遍的な強さのある作品にできたらと思います。

(左から)朝日放送グループホールディングス コンテンツ開発局長 ・清水一幸氏、DMM.com プレミアム事業部コンテンツ戦略兼オリジナル制作責任者・久保田哲史氏(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.

(左から)朝日放送グループホールディングス コンテンツ開発局長 ・清水一幸氏、DMM.com プレミアム事業部コンテンツ戦略兼オリジナル制作責任者・久保田哲史氏(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.

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――この共同企画の大枠としては男性をメインターゲットにしつつ、女性にも見られる割と刺激的な作品をいかれるんですか?

【久保田】そうですね。DMM TVは始まったばかりのサービスですし、ABCテレビも関西ローカルの深夜枠で、ドンと置くだけでたくさんの人に見てもらえる環境じゃない。やっぱり見てもらわないといけないので、視聴者の興味を引きつけるようなフレーズは必要だと思います。今回は『サブスク彼女』のタイトルがキャッチーだな、と思いました。

【清水】何らかの形で話題にしていきたいですよね、例えば今回はタイトル、今回はここまでエロをつきつめます、などと各作品でフックを作りながらイメージを確立していけたらいいなと思います。

【久保田】ビル・ゲイツも言っていたじゃないですか、「コンテンツイズキング」(コンテンツが最も重要である)って。

【清水】現代のサブスク世代の人たちにも興味を持ってもらえるようなコンテンツを追求し続けていくしかないですよね。

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  1. 1. 紺野彩夏主演、山本中学の漫画『サブスク彼女』実写ドラマ化 ABCテレビ×DMM TVの共同企画
  2. 2. ドラマ『サブスク彼女』望月歩・寺本莉緒・内藤秀一郎・逢沢りなの出演を発表
  3. 3. 在阪テレビ局×動画配信サービス、元フジテレビのテレビマンが目指す“win-win”

関連写真

  • ABCテレビと「DMM TV」によるドラマ共同企画プロジェクトがスタート(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.
  • (左から)朝日放送グループホールディングス コンテンツ開発局長 ・清水一幸氏、DMM.com プレミアム事業部コンテンツ戦略兼オリジナル制作責任者・久保田哲史氏(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.
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  •  第1弾作品は紺野彩夏主演、『サブスク彼女』5月7日より放送・独占配信開始 (C)山本中学/日本文芸社
  • ドラマ化決定『サブスク彼女』1巻書影(C)山本中学/日本文芸社
  • ドラマ化決定『サブスク彼女』2巻書影(C)山本中学/日本文芸社

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