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Z世代が「キティひとすじおじさん社員」や「推し不在の誕生会」に反応…“企業TikTok”成功の秘訣

 企業が消費者とコミュニケーションを図るにあたって、SNSは欠かせないものとなっている。中でもZ世代をはじめとする若者層が多く利用するのがTikTokだが、有効活用できている企業は少ない。そもそもTikTokはスキマ時間に楽しむものであり、企業が狙いたい商品やサービスの“宣伝”との相性は良くないともされる。多くの企業がTikTokやZ世代戦略に苦戦する中、継続的な再生数を獲得しているサンリオ商品企画部の取り組みを聞いた。

TikTokでZ世代から注目集めるおじさん社員(C)2023 SANRIO CO.,LTD.  著作(株)サンリオ

TikTokでZ世代から注目集めるおじさん社員(C)2023 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

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■Z世代にアピールしたいが…、TikTokの運用に苦戦する企業

 インターネット広告が、マスコミ4媒体(テレビ・新聞・ラジオ・雑誌)の広告費を上回ったのは2021年のこと。なかでもSNS広告の伸長が著しく、広告のみならず公式アカウントを商品やサービスのプロモーション、ブランディングに活用する企業は多い。

 昨今では、特にZ世代戦略としてTikTokに力を入れる企業が増えている。とはいえ、瞬間的にバズった投稿や仕込んだキャンペーンのタイミングでは話題にはなるものの、“一発屋”に終わるケースがほとんど。移り変わりの早いトレンドを常にキャッチアップし、ショート動画で楽しさを継続して提供するTikTokの運用に苦戦する企業は多く、“バズらせ屋”なるTikTok運用代行会社も林立している。

 そんななか、社員自らが運用するTikTokの数少ない成功事例の1つが、「サンリオ商品企画部」のアカウント(@sanrio_planner_official)だ。2022年3月に開設し、1年間で8.5万フォロワー、累計1,314万再生を達成。コンスタントに数万のいいねが付いており、視聴者の64%がZ世代(18歳〜24歳)だという。同社社員たちがキャラクターやグッズを楽しむ様子などが週1〜2本投稿されており、思わず笑顔になるその内容には「平和な会社…」「私もサンリオで働きたい」「ハンギョドンのグッズをもっとお願いします!」など、好評のコメントが並んでいる。

 「私たちは商品企画部なので、商品のアピールがSNS運用のミッションです。しかし、宣伝的な商品訴求は楽しさや面白さが重視されるTikTokでは、どうしても敬遠されてしまう。ユーザーの1人のような立ち位置を心がけ、『私たちもちょっと混ぜてね』と一緒に楽しみながら、結果的に商品にも気付いてもらえたらという気持ちで投稿しています」(サンリオ企画部・白鳥瑠希さん)

“サンリオ社員あるある”では多くのキャラクターや社員が登場(C)2023 SANRIO CO.,LTD.  著作(株)サンリオ

“サンリオ社員あるある”では多くのキャラクターや社員が登場(C)2023 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

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 サンリオ商品企画部のTikTokチームは、白鳥さんをリーダーに昨年入社の新人社員4人で構成されている。

 「リアルなZ世代である4人の感性を全面的に信頼しています。TikTokの投稿内容については、私よりも決定権がありますね(笑)。当初は上司から『この動画、面白いの?』と理解してもらえなかったこともありましたが、再生数などの手応えから会社全体で協力してくれるようになりました」

 公式ではあるが、あくまでユーザーと近い感覚で。その姿勢は『ハローキティ本人不在の誕生日』というショート動画に現れている。

 「Z世代には、“推し不在”の誕生日会を楽しむカルチャーが定着しています。誕生日会に推し本人はおらず、応援するユーザーだけでグッズやケーキなどを並べて祝うというものです。上司からは、『公式なんだから、キティを登場させたほうがいいのでは?』と提案されたのですが、それでは推し活の意味合いが変わってしまうし、ユーザーさんとの心の距離も離れてしまう。『私たちもみんなと同じように、キティがいなくても全力でお祝いしています』ということをお伝えするためにも、“本人不在”はこだわりたかったところです」

■“キティひとすじ営業Kさん”、推し歴30年の“ペックル部長”…おじさん社員と好相性

 一方、「サンリオ社員あるある」動画などは、公式だからこそ実現したコンテンツだ。

 「商品紹介がメインではないエンタメ型の動画なのですが、サンリオ社員であれば何かしらグッズを身に付けているので、『ちらっとでも映ればアリかな』ということで制作しました。サンリオファンではなくても企業の裏側に興味のあるユーザーさんに響くようで、あるある動画の投稿後はフォロワーさんもぐぐっと増えました」

 ダンディーな髭面でハローキティのエプロンやヘアバンドをまとった“キティひとすじ営業Kさん”、あひるのペックル推し歴30年の部長…といったおじさん社員たちのノリノリな登場もウケている。

 「サンリオ=ふわっとかわいらしいイメージがあるので、そこはギャップを狙ってみました。営業Kさんはすごくノリノリで協力してくれましたし、“ペックル部長”もTikTokに登場して以来、部下にいろいろとイジられてるようですが(笑)。ユーザーさんに楽しんでいただきたいというエンタメ精神のある社員が多いので、みなさん楽しんで参加してくれています」

 企業系TikTokの成功ケースとしてよく挙げられるタクシー会社・三和交通も、おじさんダンス動画で話題となった好例だ。TikTokとおじさんの相性は意外といいのかもしれない。

サンリオ商品企画部TikTok(C)2023 SANRIO CO.,LTD.  著作(株)サンリオ

サンリオ商品企画部TikTok(C)2023 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

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 多くの企業と同様に、サンリオ商品企画部もZ世代のファン獲得と商品の認知拡大を目的にTikTokを運用している。長年にわたって若年層を惹きつけてきたサンリオだが、Z世代戦略には課題意識を持って臨んでいるようだ。

 「かつては、可愛いグッズやキャラクター=サンリオ、という時代もありましたが、今は推しの対象となるキャラクターもコンテンツも膨大にあります。その中から選んでいただくには、いかにサンリオという会社に親しみを持っていただけるかが重要だと感じています」

 秒でスワイプされるショート動画のごとく、新たなトレンドが次々と生まれては消える今、老舗コンテンツといえども安泰ではなく、ユーザーとの継続的なコミュニケーションは欠かせない。

 「ユーザーさんに寄り添い、笑顔になっていただく時間…そんな“サンリオ時間”をもっと増やしていこうと取り組んでいます。サンリオといえばキャラクターグッズというイメージがあるかもしれませんが、楽しさを提供できるエンターテイメント企業でありたいという考えと、TikTokの相性は良かったのかもしれません」

 宣伝を嫌うZ世代に直接的な消費行動を促すのは難しい。しかし日常のスキマ時間に入り込み、Z世代の心理を理解したコミュニケーションを図ることで、共感と愛着と信頼関係を築くことはできる。

 「何より私たち自身、フォロワーさんのコメントにいつも励まされたり、アイデアをいただいたりしています。いつかフォロワーさんに感謝を伝えられるような商品企画もしてみたいですね」

(文:児玉澄子)

(C)2023 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ
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