映画監督の是枝裕和氏が率いる「分福」に所属し、是枝作品等で監督助手を務めてきた川和田恵真監督による商業映画デビュー作『マイスモールランド』の凱旋上映を記念して13日、東京・新宿ピカデリーで舞台あいさつが行われた。映画初出演にして、初主演を務めた嵐莉菜、川和田監督、そして、サプライズゲストとして是枝氏が登壇した。
今回の凱旋上映は、嵐が山路ふみ子映画賞をはじめ、報知映画賞、毎日映画コンクール、キネマ旬報映画賞、高崎映画祭などで新人賞を受賞したことと、作品としても昨年のベルリン国際映画祭アムネスティ国際映画賞スペシャル・メンション(特別表彰)をはじめ、国内外数々の映画賞を受賞したことを記念して実施された。
川和田監督は「この映画が公開した時(2022年5月)に、ここで舞台あいさつをさせていただきました。観ていただいた皆さんのお蔭でこうして再上映することができて、本当にうれしく思っております。観ていただいた方が、何か自分にできることはないかと考える機会にしたいという想いで上映会のご提案をいただいたりもして、公開から時間が経った中でも、映画を作って伝えることの大切さを、日々感じることができています」と観客席を見つめ、感無量の表情であいさつ。
本作の主人公、自分の居場所(アイデンティティ)に葛藤しながら、成長していくクルド人の少女・サーリャを演じた嵐は「想像以上の反響があり、映画賞を受賞できることも想像していなかったので、評価していただけたことがとても光栄で、こんなに幸せなことはないです」と、笑顔でコメントした。
「『マイスモールランド』で、お芝居の基礎から、クルドの文化まで、たくさんのことに触れてきて、たくさんの学びを得た」という嵐。モデルとしても活躍する彼女だが、本作への出演を通して感じた俳優としての醍醐味について「役を通して、いろいろなことを学べることに、すごく魅力を感じました」と語った。
嵐とは本作のオーディションで初めて会ったという川和田監督は「最初、会う前に思っていた、すごく華やかな子だなという印象は今も変わっていないんですけれど、さらに一緒に過ごした時間の中で気さくな子なんだなとわかって。いろんなことで笑い合える関係になれたのはうれしいです。そして何より、やっぱりお芝居になったときに見せてくれる表情ですね。お芝居では、会う前に想像していたのとはまったく違う強い魅力を見せてもらえたなと思っています。莉菜さんのお芝居を信じて、一緒に最後までいくことができました」と、嵐の俳優としてのポテンシャルに大きな信頼を明かした。
世界各国の国際映画祭に出席し、「各地でたくさんの出会いがあって。場所は違っても、描いている物語の核となる部分では、言葉を超えて伝わることができるんだと思った」と語る川和田監督。「釜山国際映画祭では、莉菜さんと2人でレッドカーペットを歩いたことが一番の思い出」との監督の言葉に、嵐も「韓国の方々がすごく温かく優しい笑顔で迎え入れてくれて。Q&Aでは、とても集中して、大切にこの作品を観てくださったんだなぁと感じる質問もたくさんいただけました。すばらしい光景を見られたので、連れて行ってくれた監督には感謝しています」と振り返った。
同映画は、川和田監督が所属する「分福」の企画会議から始まり、是枝監督からの応援もあって実現した作品。舞台あいさつの途中で登場した是枝監督が「こんなふうに凱旋で上映をしていただけるというのは、なかなかないこと。まず何よりもこういう形でまたお客さんに観ていただける機会をもらえるということが、作品にとっても、キャスト、監督、関係者にとっても、本当にうれしい出来事。おめでとうございます」と、花束とともに2人にお祝いの言葉を贈ると、嵐は「びっくりしました…なんだか泣きそうになってしまって…。是枝監督とは釜山国際映画祭でもお会いしたんです。またお会いできる機会があって、すごくうれしいです」と思いがけぬサプライズに目をうるませた。
「本当に企画の最初から是枝監督が応援し続けてくれたおかげで、5年以上かかったんですが、実現することができました。本当にありがとうございました」と感謝を伝える川和田監督に、是枝監督は「ずいぶん時間がかかったので、もっと早くできれば良かったなぁとは思っているんですけど、考えようによっては、時間がかかったことによって、この作品が嵐さんと出会えたというふうにも考えられる。やっぱり、そういう出会いに恵まれて、生まれるべきタイミングで生まれた作品が強い作品なんですよね。そういう意味では、この作品は本当に強い、いい映画になったんじゃないかなと思っています」と応えた。
さらに是枝監督は、映画界での大きな一歩を踏み出した2人に「デビュー作で、これだけ注目を集めるというのは、もちろん本当に作品がすばらしいこともありますが、いろんな人の縁に恵まれていただいている評価だと思います。この次だよね。2人とも、今回の受賞がピークじゃない形で、この先のキャリアを重ねていってほしいと思っています。一作一作、前へ進んでください」とエールを送った。
『マイスモールランド』の凱旋上映は2月24日(金)まで。川和田監督は「この映画作りを通して、とても大きなものを自分自身もらったので、今度それをまたどう次につなげて作っていくかということを、これから考えていきたいなと思います」と抱負を述べつつ、「本作は自分にとって、これが最初で最後になっても絶対に作る! という思いを持ってきたものです。この作品をもっと届けたいという気持ちも強いので、まだまだ多くの人に伝えていきたいなと思っています」と、本作への熱い想いを吐露。
嵐は「川和田監督と皆さんと作り上げた作品が、こうして大切に長く興味を持っていただけることが何より幸せ。自分にとって、本当に人生が変わった大切な作品です。川和田監督とまたこの場に立てるように、私も頑張っていきたいなと思っています」と、こみ上げる思いに涙ぐみながら、未来を見つめていた。
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
今回の凱旋上映は、嵐が山路ふみ子映画賞をはじめ、報知映画賞、毎日映画コンクール、キネマ旬報映画賞、高崎映画祭などで新人賞を受賞したことと、作品としても昨年のベルリン国際映画祭アムネスティ国際映画賞スペシャル・メンション(特別表彰)をはじめ、国内外数々の映画賞を受賞したことを記念して実施された。
川和田監督は「この映画が公開した時(2022年5月)に、ここで舞台あいさつをさせていただきました。観ていただいた皆さんのお蔭でこうして再上映することができて、本当にうれしく思っております。観ていただいた方が、何か自分にできることはないかと考える機会にしたいという想いで上映会のご提案をいただいたりもして、公開から時間が経った中でも、映画を作って伝えることの大切さを、日々感じることができています」と観客席を見つめ、感無量の表情であいさつ。
本作の主人公、自分の居場所(アイデンティティ)に葛藤しながら、成長していくクルド人の少女・サーリャを演じた嵐は「想像以上の反響があり、映画賞を受賞できることも想像していなかったので、評価していただけたことがとても光栄で、こんなに幸せなことはないです」と、笑顔でコメントした。
「『マイスモールランド』で、お芝居の基礎から、クルドの文化まで、たくさんのことに触れてきて、たくさんの学びを得た」という嵐。モデルとしても活躍する彼女だが、本作への出演を通して感じた俳優としての醍醐味について「役を通して、いろいろなことを学べることに、すごく魅力を感じました」と語った。
嵐とは本作のオーディションで初めて会ったという川和田監督は「最初、会う前に思っていた、すごく華やかな子だなという印象は今も変わっていないんですけれど、さらに一緒に過ごした時間の中で気さくな子なんだなとわかって。いろんなことで笑い合える関係になれたのはうれしいです。そして何より、やっぱりお芝居になったときに見せてくれる表情ですね。お芝居では、会う前に想像していたのとはまったく違う強い魅力を見せてもらえたなと思っています。莉菜さんのお芝居を信じて、一緒に最後までいくことができました」と、嵐の俳優としてのポテンシャルに大きな信頼を明かした。
世界各国の国際映画祭に出席し、「各地でたくさんの出会いがあって。場所は違っても、描いている物語の核となる部分では、言葉を超えて伝わることができるんだと思った」と語る川和田監督。「釜山国際映画祭では、莉菜さんと2人でレッドカーペットを歩いたことが一番の思い出」との監督の言葉に、嵐も「韓国の方々がすごく温かく優しい笑顔で迎え入れてくれて。Q&Aでは、とても集中して、大切にこの作品を観てくださったんだなぁと感じる質問もたくさんいただけました。すばらしい光景を見られたので、連れて行ってくれた監督には感謝しています」と振り返った。
同映画は、川和田監督が所属する「分福」の企画会議から始まり、是枝監督からの応援もあって実現した作品。舞台あいさつの途中で登場した是枝監督が「こんなふうに凱旋で上映をしていただけるというのは、なかなかないこと。まず何よりもこういう形でまたお客さんに観ていただける機会をもらえるということが、作品にとっても、キャスト、監督、関係者にとっても、本当にうれしい出来事。おめでとうございます」と、花束とともに2人にお祝いの言葉を贈ると、嵐は「びっくりしました…なんだか泣きそうになってしまって…。是枝監督とは釜山国際映画祭でもお会いしたんです。またお会いできる機会があって、すごくうれしいです」と思いがけぬサプライズに目をうるませた。
「本当に企画の最初から是枝監督が応援し続けてくれたおかげで、5年以上かかったんですが、実現することができました。本当にありがとうございました」と感謝を伝える川和田監督に、是枝監督は「ずいぶん時間がかかったので、もっと早くできれば良かったなぁとは思っているんですけど、考えようによっては、時間がかかったことによって、この作品が嵐さんと出会えたというふうにも考えられる。やっぱり、そういう出会いに恵まれて、生まれるべきタイミングで生まれた作品が強い作品なんですよね。そういう意味では、この作品は本当に強い、いい映画になったんじゃないかなと思っています」と応えた。
さらに是枝監督は、映画界での大きな一歩を踏み出した2人に「デビュー作で、これだけ注目を集めるというのは、もちろん本当に作品がすばらしいこともありますが、いろんな人の縁に恵まれていただいている評価だと思います。この次だよね。2人とも、今回の受賞がピークじゃない形で、この先のキャリアを重ねていってほしいと思っています。一作一作、前へ進んでください」とエールを送った。
『マイスモールランド』の凱旋上映は2月24日(金)まで。川和田監督は「この映画作りを通して、とても大きなものを自分自身もらったので、今度それをまたどう次につなげて作っていくかということを、これから考えていきたいなと思います」と抱負を述べつつ、「本作は自分にとって、これが最初で最後になっても絶対に作る! という思いを持ってきたものです。この作品をもっと届けたいという気持ちも強いので、まだまだ多くの人に伝えていきたいなと思っています」と、本作への熱い想いを吐露。
嵐は「川和田監督と皆さんと作り上げた作品が、こうして大切に長く興味を持っていただけることが何より幸せ。自分にとって、本当に人生が変わった大切な作品です。川和田監督とまたこの場に立てるように、私も頑張っていきたいなと思っています」と、こみ上げる思いに涙ぐみながら、未来を見つめていた。
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2023/02/14