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「凄い絵だと思ったら、ガンプラだった」“リアル過ぎる”ジオングで注目を集めたモデラーの矜持

 先月、SNSで作品が公開されると、その圧倒的な迫力と繊細かつリアルな描写で、作品発表と共に大きな反響を呼んだDON-GURIさん(@ten10kozo)の『ジオング』。CGでも絵でもなく、ガンプラを『ガンダムマーカー』で塗装し、このクオリティーに仕上げたことに、多くの人が驚かされた。この『ジオング』以外にも、他のモデラーと異なる作品を生み出し続けている同氏のガンプラへの矜持を聞いた。

写真左/「ジオングメカニクス」 写真右/「ガンダムメカニクス」 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ

写真左/「ジオングメカニクス」 写真右/「ガンダムメカニクス」 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ

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■こだわりは「写真になった時にモビルスーツがどれだけ生き生きしているか」

 いまやガンダムファンのみならず多くの注目を集めているDON-GURIさん。他のモデラーとは一線を画すガンプラ作品を発表しているのには、自身の哲学が大きく影響している。

「おそらく、多くのモデラーさんは、模型そのものを“作品”としていると思います。だから、作品を発表する際、いろいろな角度で撮影されたカットを発表されている。しかし私の場合は違います。私は、『模型の完成』ではなく、それを使った『写真作品』をゴールに設定してます。最初にどういう写真を撮影するのか決めたうえで模型を制作しています。もちろん、写真を撮影する場で思いついたアイデアなどで、アングルを変えたりして写真を撮影することもありますが、基本的にメインカットを狙って制作しています」

 昨年発表した、正面からの構図でとらえた『ジオング』も「発表している写真のカットしか私のイメージにはなかったので、ほかのアングルの写真を撮影しようという気持ちは出てきませんでした」というこだわりよう。そこには、こんな想いがあるという。

「ガンプラの楽しみ方は、もちろん模型としてのカッコよさの追求もあると思います。ただ、私の場合は写真がゴールですので、写真となったときにそのモビルスーツ(MS)がどれだけ生き生きとしているのかが伝わるように、ガンプラ表現をしているつもりです。
 できるだけ平面的でなく立体に見えるように作るなどの工夫を模型の段階で行い、写真撮影ではポージングやライティングに徹底的にこだわって、アニメの世界のイメージが投影された作品にすることを心がけています。やはり、アニメで受けたイメージが、写真からも同じように伝わることを大切にしています。私にとってのガンプラは、アニメなどで受けた『かっこいい』を、自身の追求する『かっこいい』にまで進化させるためのツールですね」

■プラモデルなら“偶然の刹那”を作り上げることができる

DON-GURI氏作品 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ

DON-GURI氏作品 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ

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そんな同氏が考える『かっこいい』を具現化するのに欠かせないのが、ガンプラを塗装するガンダムマーカー。エアブラシではなく、マーカーを選んだのにはこんな理由があるという。

「私は普段からエアブラシの塗装はせず、部分的にガンダムマーカーで色を足し、場合によっては筆塗りで部分塗装しています。ガンダムマーカーを使うのは、エアブラシを使うような環境ではないことが大きな理由です。マンションなので匂いの問題があり手軽に使えるガンダムマーカーを使っています。このほうが片付けも楽ですし、場所も必要ありません。
 また、ガンダムマーカーの強みとしては、部分塗装を気軽に行えることですね。結構細かい部分の塗装も可能ですが、それを筆塗りするのは大変ですし、マスキングしてエアブラシ塗装となるとかなり難しくなります。それを簡単に行えることがマーカーの長所だと思います。ある程度揃えておけば、成型色を活かしつつ、部分的にガンダムマーカーで塗装することで簡単に情報量の多い仕上がりにできます」

 同氏の考えを具現化するのにもう一つ欠かせないのが、撮影へのこだわり。そこにも自身の矜持が詰め込まれている。

「私は写真撮影が趣味で、プラモデル以外の写真の撮影も行っていますが、プラモデルの写真は被写体を自身の思い通りにセッティングできるという利点があります。この点では一般的な写真作品とは大きく異なります。一般的な写真作品は“偶然の刹那”を写真として切り取ったものが多いですが、プラモデルの写真は自分の好きなようにそれを作り上げることができます。大好きなガンプラを自分の考える最高の状態に仕上げ、じっくり撮影して理想のガンダムを写真に残す。この『写真作品』こそ私の心の中にあるガンダムの投影なんです」

 こうやってできた作品は、大きな話題を集めた『ジオング』だけではない。「クリアカラー」のボディに苦戦しながらも、内部構造が透けて見える仕様にした挑戦的な作品『MG RX-78-02ガンダムver.3』『MG ザクIIメカニカルクリアバージョン』など、さまざまな種類の作品を発表。それらは日本のみならず、海外の人々からも賞賛された。

「反響の大きさについては、正直『なぜこんなに?』という思いがありました。でも、自分の最高のパフォーマンスを出せた作品が、これだけ大きな反響をいただいた。これは、自分の感覚が、人の感性に刺激を与えられるものなのだということ、そして自身の感性の方向性が間違っていないという自信にもつながる結果となりました。
 おそらく模型としての完成度だけではこのような反響は得られなかったと思います。写真としての作品に仕上げたことで、模型と写真の両方の技術が融合したことが、たくさんの反響をいただけた大きな理由だと思っています」

 「来年以降、作品で個展を開きたい」と野望を話すDON-GURIさん。と、その前に待望の新作が完成した模様。そこに込めた想いのインタビューも近日公開予定。

関連写真

  • 写真左/「ジオングメカニクス」 写真右/「ガンダムメカニクス」 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ
  • 「ザクメカニクス」 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ
  • DON-GURI氏作品 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ
  • DON-GURI氏作品 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ
  • DON-GURI氏作品 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ
  • DON-GURI氏作品 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ
  • DON-GURI氏作品 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ
  • DON-GURI氏作品 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ
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  • DON-GURI氏作品 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ
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  • DON-GURI氏作品 制作・写真提供/DON-GURI氏 (C)創通・サンライズ
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