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新海誠監督作品でヒロイン抜てきの原菜乃華「退路を断って、俳優として生きていく覚悟ができた」

 新海誠監督の最新作、映画『すずめの戸締まり』でヒロインに抜てきされた原菜乃華。1700人を超えるオーディションで選ばれ、物語のヒロイン・鈴芽(すずめ)をみずみずしく演じた。現在19歳だが、6歳から子役として活動し、近年はドラマ『ナイト・ドクター』や『真犯人フラグ』など注目作品に出演し、活動の幅を広げている。代表作のひとつになるであろう映画『すずめの戸締まり』へ挑んだ思いと変化、今後について聞いた。

新海誠監督作品でヒロイン抜てきの原菜乃華 (C)ORICON NewS inc.

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■声優初挑戦で掴んだヒロインの座 「最後に新海監督に言われた言葉は、一生忘れません」

――オーディションの最終選考と称したドッキリでヒロイン決定を告げられ、涙したと伺いました。オーディションには、どのような気持ちで挑んでいたのでしょうか?

原菜乃華:大好きな新海監督の作品ということで、「やりたい!」という強い気持ちはありつつも、正直に言うと「受からないだろうな」と思っていました(笑)。でも、とにかくやれることは全部やろうと思って、たくさん準備して、“当たって砕けろ”という気持ちで挑みました。

――どんな準備をしたのでしょうか?

原:事前にオーディション用の台本と映像をいただいたので、とにかく台本を読み込んで、毎日たくさん映像を見ました。セリフ出しのタイミングやテンポ、どれぐらいの尺の間に当てはめなければいけないかを練習していきました。

『すずめの戸締まり』(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会 

『すずめの戸締まり』(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会 

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――新海監督はオーディションから原さんのことを褒めていたそうですが、ご自身ではあまり手応えのようなものはなかったのですか?

原:監督をはじめ、みなさんがたくさん褒めてくださったんですよ。「こんなに褒められたら期待してしまう」と思いました。でも、みなさんにそうかもしれないし、うぬぼれちゃダメと言い聞かせていました(笑)。本当に素敵な空間で、貴重な体験をさせていただいたので、終わった後マネージャーさんに電話して、「落ちても悔いはありません」って伝えたのを覚えています。

――新海監督から言われたことで、印象に残っている言葉はありますか?

【原】ラストのシーンを撮り終え、「すずめを菜乃華さんに担ってもらえて本当によかった」って言ってくださったんです。その言葉は一生忘れないと思います。終わってしまうさみしさもあって、涙が止まらなかったですね。

■アフレコを通して変わったコンプレックスへの思い「苦手だった自分の声を、好きになることができました」

新海誠監督作品でヒロイン抜てきの原菜乃華 (C)ORICON NewS inc.

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――実際の演技と、声の演技の違いは感じましたか?

原:感情が高ぶるシーンの時にあえて抑えるのは、実写ではなかなか使わない感覚で難しかったです。あとは、声を吹き込んだ後に実際に録った音をすぐ流してくださったので、自分で聞きながらどうするべきか考えていきました。思ったより伝わっていなかったり、綺麗に聞こえない部分を、みなさんにアドバイスをいただきながら、とにかく何度もやって作り上げていった感じです。

『すずめの戸締まり』(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会 

『すずめの戸締まり』(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会 

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――声のお仕事は実写の演技とは違って「実際にやれないことを表現しないといけない」というのが難しいイメージもありますが、走るシーンなどはどのように作りましたか?

原:アクションシーンは心拍数をあげていきたいとおもって、アフレコ前にその場で駆け足をしたり、ピョンピョン跳んだりしてから臨みました。扉を閉めるシーンは、実際に手を前に出して手をひねりながら声を出したり、落ちるシーンも膝の力をぬいて軽く上下しながら演じました。

――特に印象に残っているセリフやシーンはありますか?

原:たくさんあるんですけど、草太さん(松村北斗)とすずめが、移動中の新幹線で小声で話すシーンは特に好きです。2人の関係性がグッと縮まるシーンですし、テンポ感もよくて、くすっと笑えるコミカルな感じがお気に入りですね。

――もともと、ご自身の声はあまり好きではなかったと伺いました。出来上がった作品をみて、気持ちに変化はありましたか?

原:ありました。「好きになった!」と言えるほどではないのですが、新海監督がこんなに褒めてくださるんだから、きっとそんなに悪くはないって思えるようになりました。自分の声を少し好きになれたきっかけの作品になったと思います。

――原さんから見た、映画『すずめの戸締まり』の魅力は?

原:すずめはバックボーンにシリアスなものを抱えていますが、日々と向き合って生きています。作品全体から明日への活力をもらえる内容になっていると思います。周りの人はもちろんですが、自分のこともちゃんと大切にしなきゃいけないと思わせてくれる作品なので、たくさんの方に見ていただけたらうれしいですね。

■節目節目で思い悩んだ俳優への道「一本に絞って、お芝居でやっていこうと決めました」

新海誠監督作品でヒロイン抜てきの原菜乃華 (C)ORICON NewS inc.

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――19歳にして、俳優として13年のキャリア。すごくしっかりしていらっしゃる印象ですが、これまでの俳優生活を振り返って、俳優という仕事と向き合う気持ちは変化しましたか?

原:いやいや! 芸歴なんて、あってないようなものです(笑)。ただ、お仕事への向き合い方はかなり変化しましたね。高校進学や、大学へ進学するかどうかを考える節目で、この先お仕事としてやっていって良いのだろうかということを、すごく考えました。オーディションは落ちることが当たり前みたいな時期もあったので、この先どうしようか悩みました。

――最初に悩んだのは、高校進学のタイミングですか?

原:そうですね。私は運動が苦手で、勉強が特別できるわけでもないですし、小さい頃から褒めてもらえるものといえばお芝居だったんです。当たり前にお芝居があったので、それがなくなることがすごく怖くて。

――今は、俳優としてやっていく覚悟を決めたのでしょうか?

原:はい。この作品はもちろんなのですが、『ナイト・ドクター』や『真犯人フラグ』、『ナンバMG5』や『村井の恋』など、続けて素敵な作品とご縁があったことも大きかったです。大学進学もギリギリまで迷ったんですけど、いくつものことを両立できるほど器用ではないなと思って。退路を断って、この道一本でがんばろうと思っています。

――ご自身で退路を断って、俳優一本という環境になってみていかがですか?

原:学校という“居場所”がなくなったことへの不安はあります。でも、自立していかないといけないし、きっとみんながぶつかる壁だと思うから、大人にならないとなって思ってます。あとがなくなったことで、よりお仕事に貪欲になれているかもしれないですね。

『すずめの戸締まり』(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会 

『すずめの戸締まり』(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会 

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――俳優としての自分の強みは、どんな部分だと思いますか?

原:えー、なんだろう。自分ではわからないですね(笑)。きっと、みなさんが褒めてくださるところが強みだと思うので、たくさんの方の声に耳を傾けて、その部分を長所にして伸ばしていけたらと思っています。

取材・文/辻内史佳
写真/MitsuruYamazaki

『すずめの戸締まり』 原作・脚本・監督:新海誠   声の出演:原菜乃華 松村北斗      深津絵里 染谷将太 伊藤沙莉 花瀬琴音 花澤香菜 神木隆之介      松本白鸚  キャラクターデザイン:田中将賀 作画監督:土屋堅一 美術監督:丹治匠 音楽:RADWIMPS 陣内一真 (C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会 

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  • 『すずめの戸締まり』(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会 
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