人気アイドルグループ・なにわ男子の大西流星が出演する映画『この子は邪悪』が9月1日より全国公開。撮影したのは2021年夏。クランクアップした2日後に、“なにわ男子CDデビュー”の発表があり、「ジャニーズJr.として最後、初めて単独で参加した映画、ターニングポイントになった作品」と語っている。

　かつて一家で交通事故に遭い、心に傷を負った少女・窪花（南沙良）。心理療法室を営む父・司朗（玉木宏）は脚に障がいが残り、母・繭子は植物状態に、妹・月は顔に火傷を負った。事故から5年経ったある日、突然、目を覚ました繭子（桜井ユキ）が家に帰って来る。司朗は“奇跡が起きた”と久々の家族団らんを喜ぶが、花は違和感を覚える。一方、街では謎の奇病が広がっていて…。

　大西が演じるのは、母親が謎の奇病にかかり、心神喪失状態に陥ってしまった原因を探る少年・四井純（よつい・じゅん）。司朗の心理療法室にたどり着いた純は、幼なじみだった花と再会し、心を通わせていく。

　「自分に似ている部分がない役柄は初挑戦でした。名前のとおり純粋な子で、年齢は16歳ですが大人っぽくて、尊敬してしまうくらい真っ直ぐで正義感がある。思い立ったら即行動してしまうがゆえの危うさもあるのですが、お母さんを助けたい一心で行動しているんですよね。お母さんへの愛が原動力になっている。生半可な気持ちで原因を探っているわけではないんだ、という強い思いを感じました」

　アイドルグループのメンバーとして活動するキラキラオーラは「隠すように頑張りました（笑）。ライブのリハーサルもありつつの撮影でしたが、つらいこともなく、気持ちを引きずったりもせず、うまく切り替えられていたと思います。現場に入れば、ほかのキャストさんやスタッフさんがすばらしい世界観がつくり出してくださっていて、僕はただそこに身を委ねながらお芝居するだけでした」と、撮影時を振り返る。

■茶髪の時は「似合っている」と自己暗示

　物語の鍵を握るのは、退行催眠だ。その話の流れで、大西は「最近、お芝居で髪の毛を染めることが続いて、めちゃくちゃ心配だったんです。似合ってないな、早く黒に戻したいな、という気持ちを抑えて、皆さんが『いいね』と言ってくださるのを信じて、『似合っているんだ』と自分に言い聞かせていました」と、自己暗示をかけていたことを告白。「クランクアップすると催眠が解けたように、次の日、朝一番に美容室へ行って、黒に戻したくなる」と話した。今年放送されたドラマ『鹿楓堂よついろ日和』『彼女、お借りします』の役が終わるとすぐに黒髪に戻っていた理由は、大西自身の黒髪へのこだわりがあったようだ。

　俳優としての活躍も目覚ましい大西だが、本作を観れば、CDデビュー発表前に、その片鱗を示していたことがわかるだろう。大西は「シーンごとに気持ちを整理して、気づいたことや大事なことを台本に書き込んで、しっかり自分の中に落とし込みながらお芝居することに集中することに挑戦していました。自分はどっちだっけ（？）と一瞬わからなくなるような、新しい自分も体験できました」と、俳優業のやりがいも語っていた。

　「予想外のストーリー」「想定外のラスト」が売りの本作。大西は「一言で表すのが難しいのですが、今まで見たことないような作品に仕上がっていて、一人の観客としても楽しめました。何回か波が来るような映画だと思います。家族を思う気持ちがテーマとしてあるので、多くの方に見ていただきたいです」と、呼びかけている。

　本作は、映画『嘘を愛する女』や『哀愁しんでれら』、『先生、私の隣に座っていただけませんか？』などを生み出した、映像企画とクリエイターの発掘プログラム『TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2017』の準グランプリ作品。監督・脚本は、ドラマ『ネメシス』、映画『ノイズ』などの脚本を手がけ、「さよなら、ムッシュ」などの小説も執筆し、本作が長編監督3本目となる片岡翔が務めている。