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湯浅政明監督『犬王』、トロント国際映画祭で公式上映

 湯浅政明監督による劇場アニメーション『犬王』(配給:アニプレックス、アスミック・エース)が、米アカデミー賞の前哨戦となる「第46回トロント国際映画祭」のスペシャル・プレゼンテーション部門に正式出品され、現地時間9月11日午後1時半頃(日本時間12日午前2時半頃)に公式上映が行われた。

新作アニメーション映画『犬王』の北米プレミアとなった「第46回トロント国際映画祭」でオンラインインタビューに応じた湯浅政明監督キャスト発表第2弾 (C)2021 “INU-OH” Film Partners

新作アニメーション映画『犬王』の北米プレミアとなった「第46回トロント国際映画祭」でオンラインインタビューに応じた湯浅政明監督キャスト発表第2弾 (C)2021 “INU-OH” Film Partners

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 北米プレミアとなるトロント国際映画祭での上映で、湯浅監督はオンラインインタビューに参加し、「犬王の“時代や境遇に負けない自分の生き方を貫き通す姿勢”が、今の、共感を得る行動をしなければならないというプレッシャーを感じている人には勇気を与えるのではないかと思いました」と作品への思いを語った。

 同作は、「平家物語 犬王の巻」(著:古川日出男)を原作に、室町時代に人々を熱狂させた実在の能楽師・犬王と、そのバディである琵琶法師・友魚の友情の物語を、湯浅監督×野木亜紀子(脚本)×松本大洋(キャラクター原案)×大友良英(音楽)らクリエーター陣の変幻自在のイマジネーションで描くミュージカル・アニメーション。

■Q&A

【Q】劇場アニメーション『犬王』は古川日出男著「平家物語 犬王の巻」を原作としていますが、犬王という“伝説”の人物を描くにあたって、映画のインスピレーションとなったものは何ですか?

【A】犬王は室町時代の話なんですけど、映画はいつも現代を描いたほうが良いと思っていて、別の時代を描くなら今の時代につながるものがあって、その時代である理由が必要だと思って、犬王の“時代や境遇に負けない自分の生き方を貫き通す姿勢”が、今の、共感を得る行動をしなければならないというプレッシャーを感じている人には勇気を与えるのではないかと思いましたし、室町時代は時流に逆らう事が今より極端に難しい時代でもありました。

 日本ができ上がる直前で、一つにまとめるためにいろんなものが削がれなくなっていく時代。その中に自分の生き方を貫き通して消えた人を現代で拾い上げるというのが小説のテーマであると感じましたし、今この映画を作る意義になると思いました。そこに描かれている「琵琶」による語りや、「申楽能」におけるシテ芝居というのも、もともと「埋もれた人たちの話を語る」のを主軸としている文化ですから、全てがつながる感じがしました。

【Q】14世紀の能楽師と琵琶法師を描く映画であるゆえに、より伝統的な形式の音楽が盛り込まれていることを想像する人もいるかと思いますが、犬王の幻想的な音楽のパフォーマンスをロックオペレッタのような形で表現しようと決めた理由を教えてください。

【A】いくつか理由はあるんですが。一つは当時の人が感じたであろう新しい音楽に対する驚きは、それまでの音楽が下地にないと伝わらない。しかし、今の観客には当時の音楽の下地がない。当時の聴衆の人が感じた感動を、今の自分たちが感じるにはどうしたらいいんだろう?と考えたときに、「600年前の話なのに現代の音楽が現れた!」という意外性が、当時の人の「まったく新しい音楽!」という違和感や新しいものを聴いた感触につながるのではないかなと思いました。

 もう一つは、「昔のような音楽」は今残っているものからしか想像できないので、本当に狭い。でももっといろんなものがあったはずなんですよね。われわれが想像できないものまで必ずあったはず。ロックのような音楽もどこかで、当時にもあり得たと思うんですよね。今の科学でないと作れないものが古代にもあったという話もたまに聞きますけど、宇宙人じゃなくて全然ありえる話で。たくさんの人がたくさんの事を考え、物を作っていたはずなので。犬王という人がいた、ならたくさんの人がこういう意外な、現代とも通じる文化を作ることもあり得ただろうという気持ちがありましたし、そういう伝え方もまたテーマへつながると感じました。

【Q】キャストについてお聞きします。犬王を演じる日本で人気のミュージシャン アヴちゃんと、友魚を演じる俳優でありダンサーでもある森山未来さんを、どのようにキャスティングしたのでしょうか? 脚本制作段階で既にお二人を起用しようしたいという思いはお持ちでしたか?

【A】プロデューサーは脚本の段階から考えていたかもしれないが、自分はそこまで考えていなくて、キャラクターが把握できるまでなかなか答えは出ませんでしたした。まずは音楽関係で、二人ともリズム感があり歌える人。犬王をやる人は歌詞も書き、歌で魅了し、若い感覚で提案もできる人。というのがありました。

 犬王は大友良英さんが作曲した曲があり、歌うのが決まっていて、観客を鼓舞しながら乗せていく舞台パフォーマンスも想定して、必要な内容のせりふを組み込みながら、できれば今どきな感覚を入れた歌詞を作ってもらう事が必要になってきて、もうアヴちゃんしかないとなって、お願いしました。短い演奏のない歌は、「歌いたいことを犬王の気持ちになって歌詞を作ってください」と。曲もかな? 大友さんの曲をアレンジしてるらしいんですけど、ほぼオリジナルで作っていますね。

 森山未來さんはもともとダンサーなので、犬王じゃないかなっていう案もあったんですけど、彼の演技力も魅力でしたから、友魚をお願いしました。琵琶も後藤幸浩さん(薩摩琵琶演奏家)と練習していて、かなり上手いところまでいってましたね。ライブシーンでは歌い方もいろいろ工夫しながら作ってもらえました。とても良かったですね。

 二人とも本当に積極的でやる気がみなぎってましたね。こちらが望んだものを、膨らませて提示してくれたと思っています。

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