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第2回大島渚賞「該当者なし」 授賞式の代わりに記念イベント

 昨年、創設されたPFF(ぴあフィルムフェスティバル)の映画賞「大島渚賞」。大島渚監督が高い志を持って世界に挑戦していったように、それに続く次世代の監督を、期待と称賛を込めて顕彰するもの。第2回は審査員の総意として、「該当者なし」となった。

第2回大島渚賞は「該当者なし」

第2回大島渚賞は「該当者なし」

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 選考対象は、日本で活躍する映画監督(劇場公開作3本程度)。原則として前年に発表された作品がある監督。昨年の第1回は、『セノーテ』『鉱 ARAGANE』が世界各国で高い評価を受けるなど、次々に新たな作品を生み出している小田香監督が受賞した。

 当初予定していた授賞式に代えて、3月20日(土・祝)に、「第2回大島渚賞記念イベント」の開催も決定。審査員を務めた黒沢清氏、荒木啓子が登壇し、審査員の思いを伝える。また、特別ゲストとして大島監督夫人であり女優の小山明子氏を迎え、大島映画の魅力について語り合う。審査員長である坂本龍一と黒沢監督が、ともに“ベストワン”と激賞する『日本春歌考』の特別上映も行う。

【審査員長・坂本龍一】
 もし大島渚賞などという形で大島渚が権威になるのだったら、それこそ大島渚が最も嫌ったことだろう。だから大島渚に迎合するのは絶対にだめなのだ。そうではなく大島渚を挑発し、批判し、越えていくことこそ最も大島渚賞にふさわしいと言えるのだ。そのような映画にわたしたちは出会いたい。

【審査員・黒沢清】
 「いろいろあったけど、よかったよかった」となる映画が多すぎる。本当にいろいろあったなら、人は取り返しのつかない深手を負い、社会は急いでそれをあってはならないものとして葬り去ろうとするだろう。人と社会との間に一瞬走った亀裂を、絶対に後戻りさせてはならない。あなたがささやかに打ち込んだクサビは、案外強力なのだ。よかったよかったと辻褄を合わせる必要なんかどこにもない。「たかが映画だろう」と周りは言うかもしれない。しかし映画とは何だ? ぼんやりとみなが想像するものだけが映画ではない。表現の極北から見出される鋭い刃物のようなクサビで、人と社会とを永遠に分断させよう。これら二つが美しく共存するというのはまったくの欺瞞だ。このような映画製作に挑む若者を探している。それは大島渚が切り開いた道であり、決して閉ざしてはならないと思うから。

【審査員・荒木啓子】
 国内外の映画キュレイターやジャーナリストから推された新人監督たちを語りながら、映画、そして映画監督への期待のみならず、映画の可能性、喜び、を覚醒させる坂本、黒沢両氏の、映画愛、大島渚愛溢れるスリリングな時間があっという間に過ぎていった。青春映画、子供映画、恋愛映画、戦争映画、時代劇、実験映画にドキュメンタリー。そのフィルモグラフィーの多彩さ、絶え間ない挑戦に驚かされる大島渚監督は、映画の技術を会得し、映画とはメロドラマであると言い切れる人だった。いち早く海外に飛び出し、また、テレビという媒体の面白さも発見した人だった。多面体過ぎて掴むのが難しいほどのその活躍の芯にある、映画という創作。大島渚賞の審査会議は映画についての長い熱い対話となり、思い切った決断結果となった。

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