ミュージカル『テニスの王子様』や『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』など2.5次元舞台で注目され、多彩なジャンルで活躍中の俳優・山本一慶。昨年7月に主演として臨んだロンドンコメディ『Run For Your Wife』は好評を博し、早くも3月11日から東京・三越劇場での再演が決まった(同15日まで)。30歳を迎え順調にキャリアを積み上げる現在、演じるだけでなく舞台を“創る”ことへの意欲も芽生えている。俳優としての成功を夢見る後輩たちへの気遣いや2.5次元カルチャーへの誇りも含め、今後シーンをけん引していく立場としての自覚を語ってくれた。
■座長として臨む舞台 ルー大柴の存在感と若手の個性に期待
ウソにウソを重ねる抱腹絶倒の大騒動が繰り広げられるロンドンコメディの傑作『Run For Your Wife』。本作で主演の山本は重婚を隠して暮らすタクシー運転手のジョン・スミスを演じる。
――早くも再演が決まった『Run For Your Wife』ですが、昨年の公演は山本さんにとってどのような経験になりましたか?
【山本】初めて本格的なコメディー作品に挑戦したのですが、もともと人を笑わせることが好きだったので、凄く良い経験をさせて頂いたと思います。“笑いの王様”と呼ばれるイギリスの劇作家レイ・クーニー原作なので、台本の通りきちんとやれば絶対に面白くなるし、お客様に笑いを届けられる安心感の中で演じられました。僕にとっての初コメディーが本作で本当に良かったですし、すんなりできたというのが正直な感想です。
――共演者の方々との息の合った掛け合いがコメディーをやる上で重要だったのではありませんか?
【山本】台本のせりふ全てが完璧なので、キャスト同士で良いセッションができなければお客様に伝わりにくくなってしまいます。なので、そこは重要な課題でしたね。
――カンパニーを引っ張っていく座長として、皆さんとどのようにコミュニケーションをとられたのでしょうか。
【山本】やはり初めてのコメディーということで最初は手探りでしたが、座長としてカンパニーを上手くまとめられるよう、キャスト同士で話し合う機会をなるべく多く作ることを心がけましたね。
――以前インタビューで「僕は気になったことや言いたいことはハッキリ伝えます」と語られていましたが、そういった意識で意見を述べることも多かったですか?
【山本】常にそういう意識は持っていますが、前回はキャスト全員が違った個性を持っていて台本の受け止め方もそれぞれ違ったので、そこは尊重するようにしました。お互いの意見を持ち寄って稽古場に集まって、ひとつの作品を一緒に作っていくという過程は凄く面白いです。例えば、ジョンの奥さんを演じた花奈澪さんと七木奏音さんの個性の違いをしっかり出すことで作品の魅力が増すんじゃないか、とか、そういった話をみんなでしながら稽古していました。
――ルー大柴さんは前回も出演されていましたが、現場のムードメーカーだったのではありませんか?
【山本】ルーさんはよく食事に連れて行ってくださいました。キャスト全員で7人なのでフットワークも軽かったですし、みんなで一緒に食事をすることで仲を深めることができたように思います。ルーさんは稽古中に会話していると英語が混ざるので、初めて聞いた時は“あ、ルー語だ!”と思わず心の中で叫びました(笑)。食事の時にルーさんからルー語が飛び出したらお開きの合図でしたね(笑)。
――(笑)。ルーさんとのお芝居はいかがでしたか?
【山本】演じたスタンリー・ガードナーとルーさんご自身が凄く重なるときがありました。ルーさんがせりふを間違えてしまった時は、スタンリーとしてではなくルーさんがパニックを起こしてるのがわかって(笑)。そんなときはお互いに探り合いながらせりふを誘導したり、アドリブをやってみたり。それで“なんとか乗り切った”と思ってルーさんを見たら僕に向かって親指を立てて「グー」って(笑)。まだまだ僕はルーさんのレベルには到達できませんが、前回とても良い経験になったので今回も凄く楽しみです。
――そして今回は舞羽美海さん、十碧れいやさん、根本正勝さん、安井一真さんが新キャストとして参加されます。
【山本】舞羽さん、十碧さんは初共演になりますが、根本さんとは舞台『裏切りは僕の名前を知っている』で、一真とは『あんさんぶるスターズ!オンステージ』で共演しているので安心感があります。ちなみに一真とは最近しょっちゅう会ってるんですけど、彼のポテンシャルは計り知れないので期待しかないです(笑)。
――今回は再演ということもあって稽古もスムーズにいきそうですね。
【山本】やはり、ルーさんと我善導さんとまたご一緒できるのは安心感がありますよね。そこに甘えつつ、僕自身が新キャストの方々に安心感を与えられたらいいなと。スムーズに稽古が進むよう集中力を高めて、さらに楽しい雰囲気も作れたらと思っています。そして前回よりも進化したものをお客様にお見せしたいです。
■後輩へのサポート、2.5次元の未来…“創る”立場としての自覚も
――山本さんは2.5次元作品でも絶大な人気があり、山本さんを目指すフォロワーの俳優さんも増えているかと思います。そんな後輩たちに対する思いをお聞かせ頂けますか。
【山本】2.5次元の舞台は最近若い俳優たちが増えているのですが、中には初舞台が2.5次元作品という子もたくさんいるんです。僕は美輪明宏さん主演の『毛皮のマリー』で初舞台に立たせてもらいましたが、やはりそういう経験があるのとないのとでは全く違うと思っていて。
例えば演出家さんの要望に何か意見を言いたくても、経験が浅いと黙ってしまうんですよね。だから僕が率先して意見を言うようにしていて、それをきっかけに後輩たちも溜め込まずに意見を言える環境ができたらいいなと。そんなことを心がけるようにしています。
――頼もしい先輩ですね。
【山本】だといいんですけど…“この人うるさいな”と思われているかもしれませんね(笑)。
――後輩から相談も受けることもありますか?
【山本】あります。相談を受けていると“こういう考えもあるんだな”と逆に教わることも多いんです。時には“しょうもないこと考えてるな”なんて思うこともありますけど(笑)、いつのまにか忘れていた大事なことを、その“しょうもなさ”が思い出させてくれたりして。そういう瞬間は素敵だと思うのでどんどん相談してきてほしいです。
――昨年30歳になった節目として写真集を発売されたり、さまざまな舞台にも挑戦されていましたが、お仕事の幅がどんどん広がっているのではありませんか?
【山本】そうですね、充実した日々を過ごせていると思います。先日、「ジキルとハイド」をテーマに初めて僕が脚本を書いたリーディングステージ『CharlesCheeseCake&山本一慶Presentsコスチュームと物語の世界VOL.1』をやったんですけど、最初は凄く不安だったんです。初めて自分が書いたものをお客様に観て頂くのって怖いじゃないですか。
ところが、意外にも開演する前にワクワクしちゃったんです(笑)。その感覚は僕にとって大きな収穫でした。お客様の評判も良かったので、また新しいことに挑戦できるなと。30歳を過ぎてもまだそういう経験ができると知ったので、これからも良い歳の重ね方ができたらいいなと思っています。
――最後に、今後挑戦してみたいことを教えて頂けますか。
【山本】そのリーディングステージは会場の都合でできることが限られていたので、今後は照明や音響などにももっとこだわって新しい朗読劇に挑戦してみたいです。
それから、2.5次元の舞台は世界に誇れる日本ならではのコンテンツだと思うので、もっと海外で公演できたら可能性が広がるんじゃないかなと。そういう夢を持ち続けながら目の前のことに一生懸命取り組んでいきたいです。
撮影:高畠翼
取材・文:奥村百恵
メイク:瀬川なつみ スタイリスト:タクロウ
■座長として臨む舞台 ルー大柴の存在感と若手の個性に期待
ウソにウソを重ねる抱腹絶倒の大騒動が繰り広げられるロンドンコメディの傑作『Run For Your Wife』。本作で主演の山本は重婚を隠して暮らすタクシー運転手のジョン・スミスを演じる。
【山本】初めて本格的なコメディー作品に挑戦したのですが、もともと人を笑わせることが好きだったので、凄く良い経験をさせて頂いたと思います。“笑いの王様”と呼ばれるイギリスの劇作家レイ・クーニー原作なので、台本の通りきちんとやれば絶対に面白くなるし、お客様に笑いを届けられる安心感の中で演じられました。僕にとっての初コメディーが本作で本当に良かったですし、すんなりできたというのが正直な感想です。
――共演者の方々との息の合った掛け合いがコメディーをやる上で重要だったのではありませんか?
【山本】台本のせりふ全てが完璧なので、キャスト同士で良いセッションができなければお客様に伝わりにくくなってしまいます。なので、そこは重要な課題でしたね。
――カンパニーを引っ張っていく座長として、皆さんとどのようにコミュニケーションをとられたのでしょうか。
【山本】やはり初めてのコメディーということで最初は手探りでしたが、座長としてカンパニーを上手くまとめられるよう、キャスト同士で話し合う機会をなるべく多く作ることを心がけましたね。
――以前インタビューで「僕は気になったことや言いたいことはハッキリ伝えます」と語られていましたが、そういった意識で意見を述べることも多かったですか?
【山本】常にそういう意識は持っていますが、前回はキャスト全員が違った個性を持っていて台本の受け止め方もそれぞれ違ったので、そこは尊重するようにしました。お互いの意見を持ち寄って稽古場に集まって、ひとつの作品を一緒に作っていくという過程は凄く面白いです。例えば、ジョンの奥さんを演じた花奈澪さんと七木奏音さんの個性の違いをしっかり出すことで作品の魅力が増すんじゃないか、とか、そういった話をみんなでしながら稽古していました。
――ルー大柴さんは前回も出演されていましたが、現場のムードメーカーだったのではありませんか?
【山本】ルーさんはよく食事に連れて行ってくださいました。キャスト全員で7人なのでフットワークも軽かったですし、みんなで一緒に食事をすることで仲を深めることができたように思います。ルーさんは稽古中に会話していると英語が混ざるので、初めて聞いた時は“あ、ルー語だ!”と思わず心の中で叫びました(笑)。食事の時にルーさんからルー語が飛び出したらお開きの合図でしたね(笑)。
――(笑)。ルーさんとのお芝居はいかがでしたか?
【山本】演じたスタンリー・ガードナーとルーさんご自身が凄く重なるときがありました。ルーさんがせりふを間違えてしまった時は、スタンリーとしてではなくルーさんがパニックを起こしてるのがわかって(笑)。そんなときはお互いに探り合いながらせりふを誘導したり、アドリブをやってみたり。それで“なんとか乗り切った”と思ってルーさんを見たら僕に向かって親指を立てて「グー」って(笑)。まだまだ僕はルーさんのレベルには到達できませんが、前回とても良い経験になったので今回も凄く楽しみです。
――そして今回は舞羽美海さん、十碧れいやさん、根本正勝さん、安井一真さんが新キャストとして参加されます。
【山本】舞羽さん、十碧さんは初共演になりますが、根本さんとは舞台『裏切りは僕の名前を知っている』で、一真とは『あんさんぶるスターズ!オンステージ』で共演しているので安心感があります。ちなみに一真とは最近しょっちゅう会ってるんですけど、彼のポテンシャルは計り知れないので期待しかないです(笑)。
――今回は再演ということもあって稽古もスムーズにいきそうですね。
【山本】やはり、ルーさんと我善導さんとまたご一緒できるのは安心感がありますよね。そこに甘えつつ、僕自身が新キャストの方々に安心感を与えられたらいいなと。スムーズに稽古が進むよう集中力を高めて、さらに楽しい雰囲気も作れたらと思っています。そして前回よりも進化したものをお客様にお見せしたいです。
■後輩へのサポート、2.5次元の未来…“創る”立場としての自覚も
――山本さんは2.5次元作品でも絶大な人気があり、山本さんを目指すフォロワーの俳優さんも増えているかと思います。そんな後輩たちに対する思いをお聞かせ頂けますか。
【山本】2.5次元の舞台は最近若い俳優たちが増えているのですが、中には初舞台が2.5次元作品という子もたくさんいるんです。僕は美輪明宏さん主演の『毛皮のマリー』で初舞台に立たせてもらいましたが、やはりそういう経験があるのとないのとでは全く違うと思っていて。
例えば演出家さんの要望に何か意見を言いたくても、経験が浅いと黙ってしまうんですよね。だから僕が率先して意見を言うようにしていて、それをきっかけに後輩たちも溜め込まずに意見を言える環境ができたらいいなと。そんなことを心がけるようにしています。
――頼もしい先輩ですね。
【山本】だといいんですけど…“この人うるさいな”と思われているかもしれませんね(笑)。
――後輩から相談も受けることもありますか?
【山本】あります。相談を受けていると“こういう考えもあるんだな”と逆に教わることも多いんです。時には“しょうもないこと考えてるな”なんて思うこともありますけど(笑)、いつのまにか忘れていた大事なことを、その“しょうもなさ”が思い出させてくれたりして。そういう瞬間は素敵だと思うのでどんどん相談してきてほしいです。
――昨年30歳になった節目として写真集を発売されたり、さまざまな舞台にも挑戦されていましたが、お仕事の幅がどんどん広がっているのではありませんか?
【山本】そうですね、充実した日々を過ごせていると思います。先日、「ジキルとハイド」をテーマに初めて僕が脚本を書いたリーディングステージ『CharlesCheeseCake&山本一慶Presentsコスチュームと物語の世界VOL.1』をやったんですけど、最初は凄く不安だったんです。初めて自分が書いたものをお客様に観て頂くのって怖いじゃないですか。
ところが、意外にも開演する前にワクワクしちゃったんです(笑)。その感覚は僕にとって大きな収穫でした。お客様の評判も良かったので、また新しいことに挑戦できるなと。30歳を過ぎてもまだそういう経験ができると知ったので、これからも良い歳の重ね方ができたらいいなと思っています。
――最後に、今後挑戦してみたいことを教えて頂けますか。
【山本】そのリーディングステージは会場の都合でできることが限られていたので、今後は照明や音響などにももっとこだわって新しい朗読劇に挑戦してみたいです。
それから、2.5次元の舞台は世界に誇れる日本ならではのコンテンツだと思うので、もっと海外で公演できたら可能性が広がるんじゃないかなと。そういう夢を持ち続けながら目の前のことに一生懸命取り組んでいきたいです。
撮影:高畠翼
取材・文:奥村百恵
メイク:瀬川なつみ スタイリスト:タクロウ
2020/02/29