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女優業の幅を広げるベッキー「人生経験をお芝居に生かせたら」

 昨年から今年にかけて“女優”ベッキーが映画やドラマで強い存在感を見せている。デビュー以来、バラエティータレントとしてブレイクするかたわら、女優業も継続的に行ってきたが、休業を挟み、その役柄は飛躍的に広がった。現在の状況をベッキーはどう見ているのだろうか――。

オファーの変化の実感を語るベッキー ワンピース\56,000/EZUMi(Ri Design.Ltd) (C)ORICON NewS inc.

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 2019年、白石和彌監督がメガホンをとった『麻雀放浪記2020』で、麻雀クラブのママ・八代ゆきと、AI搭載のアンドロイド・ユキという二役を担い、憑依した芝居は多くの映画関係者や観客に衝撃を与えた。さらにNHKドラマ『これは経費で落ちません!』でも、総務部秘書課に勤める、かなりの性悪女性・有本マリナを好演。振り切った演技は大きな話題となった。

 そして最新作映画『初恋』でも、鬼才・三池崇史監督のもと、ヤクザの構成員である彼氏を殺され復讐の鬼と化す女性・ジュリを熱演。白目をむかんばかりでキレまくり暴力的に敵を追い詰めるさまは圧巻で、これまでのベッキーからは想像できない姿だった。本人も「確かに数年前の私だったら、こういった役を任せようとは思ってもらえなかったと思う」と語ると同時に「とにかく選んでくれた方の期待に応えたいという気持ちが強く『なんでもやります!』というモードに入ってしまう」とテンションが上がるという。

 こうしたオファーの変化に「いまは20代のころの“明るく元気なベッキーちゃん”というイメージではないので、逆にこうした振り切った役をいただけるようになったのかなと思います」と自己分析する。

 続けて「バラエティータレントではありますが、お芝居をすることで、役柄に乗せていろいろな自分の側面も出せる。役をいただけることって、作り手から“こういうベッキーを見せたいんだ”というメッセージに感じられる。すごく大きいことなんだと実感しています」と語ったベッキー。バラエティでは“ベッキー”自身で勝負することになるが、芝居では自分が経験したことを役に乗せて表現することができる。

 「お芝居って人生のすべてが助走になるんだと感じます。過去の悲しい出来事やつらいことが学びになるし、人生経験の厚みにもなることで、それがお芝居に活かせるんだと感じます。だからこそ、うれしいこと悲しいこと、失敗したこと……どんなことでも感謝できる。すごく人生に寄り添えるお仕事だなと思います」と笑顔を見せる。

 芝居への向き合い方が変わったことも、役柄の幅が広がった一つの要因かもしれない。「以前はお芝居って悲しいシーンだったら悲しく見せる、怒っているときは、怒っているように見せるものだと思っていたんです」と語ると「いまは役柄に魂が乗り移ったような感じになり、演じたあと身体へのダメージが大きいんです。激しいシーンのあとはお料理ができなくなったり、寝込んでしまったりするんです。三池監督からも『ベッキーは憑依しちゃうから』と言われてしまいました(笑)」。

■今年36歳 芝居は「ずっと続けたい」

 今年3月で36歳を迎えるベッキー。結婚し出産も控えるなど今後は、これまでのライフスタイルとは大きく変わることが想像される。まだまだどんな生活が待っているのかは「想像つかない」というが「役をいただくこと=気持ちをいただく、心をいただくことだと思っているので、お話がいただけるのならば、生活とのバランスがとれる限り、お芝居はずっと続けていきたい」と女優業がベッキーの心の大きな拠り所になっているという。

 「向き合い方がより深く濃くなってきています」と女優業について語ったベッキー。本作でマカオ国際映画祭にも参加した。「映画はダイレクトに世界に繋がるメディアだと改めて感じました。私の妹がいまロサンゼルスに住んでいて、普段なかなかバラエティの仕事は見てもらう機会が少ないのですが、ちょうど妹が住んでいるマンションのすぐ近くで『初恋』が上映され、作品を観てもらうことができたんです」と興奮気味に語る。

 「人生はなにが起こるか分からない」とよく言われるが、休業を挟んだことで、女優業という部分では、よい方向に進んでいるように感じられる。良いこと悪いこと含め「人生経験のすべてが芝居に反映される」としみじみ語ったベッキー。本作で演じたジュリは、彼女の今後の女優業を大きく左右するぐらい大きな出会いだったと思えるほどインパクト抜群だ。(取材・文・撮影:磯部正和)

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