元号が「令和」に代わってすぐの5月某日。関東近郊の飲食チェーンの路面店が点在する国道沿いの一画で、映画の撮影が行われていた。その場にいたのは、珍しくヒゲを生やしていた佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、筒井真理子、韓英恵、そして田中裕子。『凶悪』(2013年)、『日本で一番悪い奴ら』(16年)、『孤狼の血』(18年)、『凪待ち』(19年)などの作品で知られる白石和彌監督の『ひとよ』(11月8日公開)の現場だった。 同映画は、鶴屋南北戯曲賞、読売文学賞戯曲・シナリオ賞などを受賞した注目の劇作家・桑原裕子率いる劇団KAKUTAの同名舞台作品が原作。ある日の夜に起きた事件によって、人生が大きく狂ってしまった母とその子どもたち三兄妹が15年ぶりに再会し、葛藤と戸惑いの中で、一度崩壊した絆を取り戻そうとする様を描く。脚本は、白石監督と何度もタッグを組んできた高橋泉氏(※高=はしご高)が担当した。
2019/08/19