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天才作曲家アラン・メンケンが明かす「ホール・ニュー・ワールド」秘話

 ディズニーの名作アニメーション映画を実写映画化した『アラジン』(公開中)。今作ならではの映像表現や新たな解釈が加わった新しい『アラジン』であるとともに、変わらないのは音楽のすばらしさ。中でも絶大な人気を誇るのが、アラジンとジャスミンが魔法のじゅうたんに乗って大空を駆けめぐる象徴的なシーンで歌われる「ホール・ニュー・ワールド」。とびきりの爽快感と、ディズニーらしいマジカルなきらめきにあふれた名曲は、どのようにして生まれたのか。作曲した映画音楽界のレジェンド、アラン・メンケンが明かした。

 アラン・メンケンは、『アラジン』(1992年)のほかにも、『リトル・マーメイド』(89年)、『美女と野獣』(91年)、『ポカホンタス』(95年)、『ノートルダムの鐘』(96)年、『ヘラクレス』(97年)、『魔法にかけられて』(2007年)、『塔の上のラプンツェル』(10年)など、数々のディズニー映画の音楽を手がけてきた。

 「僕にとっては、どの作品の音楽も心を込めて作った、等しく大事な子どもたちだ。それぞれに思い出があって、かけがえのないもの。だけど『ホール・ニュー・ワールド』は、できた当初からこれは特別な曲になるな、という直感がありました」。

 アニメーション版『アラジン』を映画史に輝く名作にした立役者は、「ホール・ニュー・ワールド」と言っても過言ではないだろう。アカデミー賞主題歌賞のみならず、グラミー賞の主要部門である最優秀歌曲賞を受賞したのは、数あるディズニーソングの中でもこの1曲だけ。

 『アラジン』のオリジナル・ソングは、メンケンと、彼の盟友だった天才作詞家ハワード・アシュマン、そして病気で亡くなったアシュマンの遺志を継いで参加した、ミュージカル界の大御所ティム・ライスの3人によって作られた。

 「ハワードと僕で、アラジンやジーニーなどのパートを分担しながら作っていたんだけど、彼の声が出なくなって、一人で二役やりながら曲を作っていったのは、今、思い出だしてもつらいよ」と、一瞬、涙声に。

 「当初のシナリオでは、登場人物にアラジンのお母さんがいて、劇中のバラードはお母さんがアラジンに歌うシーンに使うつもりだったんです。そもそも『アラジン』は、アラジンとジーニーのバディものだったんだよ(笑)。ところが、シナリオを練っていくうちに、母親が登場しないことになって、ラブロマンスの要素が加わることになって。そして、ハワードが亡くなって…。新たに迎えたティムとの初めての共同作業が『ホール・ニュー・ワールド』になりました。

 真夜中に魔法のじゅうたんで雲の上を飛んでいるようなメロディーが頭の中に浮かんで、ギターを奏でるようにピアノで作曲したのを覚えているよ。“The world that my feet(世界が僕の足元にあって)”という仮の歌詞をサビにつけていたんだけど、ティムはさすが作詞家だよね。『ラブロマンスの曲でサビに“足”が出てくるのは微妙だよね?』と言って、 “ア・ホール・ニュー・ワールド(全く新しい世界)”に歌詞を変えたんです」。

 まさかの制作秘話を美声とともに語ってくれたメンケン。「ア・ホール・ニュー・ワールド」にして大正解。今回の実写版では、アラジン役のメナ・マスードとジャスミン役のナオミ・スコットが新しい息吹を与えている。

 昨年2月に「D23 Expo Japan 2018」の開催記念イベントとして行われたメンケンのソロ・コンサートはプラチナチケット化し、『リトル・マーメイド』イン・コンサート(フィルム・コンサート)で自身が生んだ名曲の数々をピアノの弾き語りで歌った際には、号泣するファンが続出。彼自身がスターといえる存在になっている。

 世界中から注目され、尊敬される、まさに天才であるメンケンだが、亡きハワードさんを思い出して涙ぐみ、我々の称賛の言葉にも「妻からはいつも調子に乗らないように、と言われているんだ」と照れ笑いを浮かべる。そして、彼自身が言うように「子どもの頃からずっと音楽をやってきて、作曲をするのが大好き」で、本当によかった。そう思った。

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