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いまだ根強い人気『あまちゃん』ロケ地の“オリムピック噺”

 NHKで放送がはじまった大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)。この噺を担当する古今亭志ん生が若かりし頃(明治時代)、顔見知りだった浅草の遊女・小梅役で出演する女優の橋本愛が、パブリックビューイングのトークゲストとして岩手県久慈市にやって来るということで、その取材のため記者も現地入り。そこで、朝ドラ『あまちゃん』の根強い人気ぶりを目の当たりにするとともに、『いだてん』にも関係する“オリムピック噺”に出合った。

『あまちゃん』ロケ地・岩手県久慈市にある「三船十段記念館」の道場で稽古に励んでいた小学生たち (C)ORICON NewS inc.

『あまちゃん』ロケ地・岩手県久慈市にある「三船十段記念館」の道場で稽古に励んでいた小学生たち (C)ORICON NewS inc.

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■放送終了5年を過ぎても『あまちゃん』ファンが訪れる聖地

 岩手県久慈市は、2013年前期連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)のメインロケ地となった“聖地”。放送終了5年を過ぎても、いまだ『あまちゃん』に導かれて、同市を訪れる観光客が後を絶たないという。

 取材に訪れたのは1月6日。この時期、海女さんによる素潜り実演(7月〜9月の土日祝日)も、高さ12メートルまで競り上がる山車が練り歩く「久慈秋まつり」(9月第3金曜日から3日間)も、全国のあまちゃんファンのつどい「あまちゃんサミット」のようなイベントもない、はっきり言ってシーズンオフ。それでも、「小袖海女センター」はオープンしていて、海女さん2人が温かく迎えてくれた。彼女たちと話していると、今日はたまたまいないだけで、日を改めれば夏ばっぱ(宮本信子)や弥生さん(渡辺えり)が座っていそうな、作品の世界観を漂わせていた。

 季節外れの珍客は記者だけかと思ったら、ユイちゃん(橋本愛)目当てにやってきた『あまちゃん』ファンも何組か立ち寄っていて、その中には「海女フェスとか秋まつりとか、毎年のように来てくれている」“常連”さん(下の名前で呼んでいた)もいたそう。放送前には年間5000人前後だった来館者が、最大20万人にまで膨れ上がり、いまだ年間5万人は訪れるという。海女さんは「何かあると、わざわざ久慈まで来てくれて、ありがたいなって思っています」と話していた。

 北限の海女の活動拠点として海女センター(木造平屋建て)がオープンしたのは、昭和60年(1985年)。平成22年(2010年)にリニューアルされるまで24年間使用された。しかし、2代目(木造2階建て)は、わずか半年で東日本大震災の津波を受け、全壊してしまう。現在の3代目(鉄筋コンクリート造3階建て)が再建されたのは、『あまちゃん』放送の翌年、平成26年(2014年)。ドラマには登場しない建物だが、『あまちゃん』ファンのランドマークになっている。海女センターのある小袖漁港には、オープニングでアキちゃん(能年玲奈)が飛び込む白い灯台やストーブさん(小池徹平)のいた監視小屋へと続く坂道など、ドラマで観た風景が残っている。

 まちなかに移動しても、『あまちゃん』の面影があちこちに。ドラマで「北三陸観光協会」だった久慈駅前ビルには、今も「北の海女」「潮騒のメモリー」の看板が健在。「北三陸駅」となっていた三陸鉄道の久慈駅舎には「三陸リアス亭」が営業中で、ウニの煮汁で炊いたご飯の上に、三陸産の蒸しウニがびっしり乗った「うに弁当」(1日20食限定の幻の駅弁)ののぼりが立っていた。商店街のシャッターに描かれたあまちゃんファンのプロの漫画家による「あま絵シャッター」めぐりも楽しめる。

 ドラマの撮影で使用した衣装や小道具、ジオラマなどが展示されている「あまちゃんハウス」にも立ち寄った。平成28年(2016年)8月に台風のよる豪雨で市内が冠水し、あまちゃんハウスも被害を受けた。現在、展示されているのは、その被害を免れたもの。復旧には、全国から『あまちゃん』ファンが清掃ボランティアとして駆けつけて手伝ったというのも胸が熱くなる話だ。

 「いつまでも『あまちゃん』に依存していてはいけない、と多くの市民は思っているんですけどね。『あまちゃん』の街として訪れる観光客が多く『あまちゃん』の知名度はいまだに大きいです。実際に海女さんがいたり、“北鉄”こと三陸鉄道が走っていたり、リアルにドラマの世界観を体験できるのは、強みの一つだと思うので、これからも観光客に満足してもらえるよう、努力をしていかないといけないと思っています」(久慈市観光交流課の大芦賢一さん)。

■地球規模の歴史を見ることができる『ブラタモリ』的魅力も

 小袖海岸には、約1億数千万年前の火山活動によるマグマが冷え固まってできた花崗岩類がその後隆起して、太平洋の荒波に長年浸食されてできた岩場と数々の奇岩を見ることができる。東日本大震災の津波でも切れなかった“縁結びのしめ縄”がシンボリックな「夫婦岩(男岩、女岩)」や、古くから夫婦愛を物語る言い伝えが残されている「つりがね洞」など。いかにして今の不思議な形に至ったのか、『ブラタモリ』的な視点で思いを巡らすのも楽しいのではないかと思った。岩場はウニやアワビの漁場となり、素潜り漁が行われ、『あまちゃん』のモチーフになった「北限の海女」ともつながっている。

 琥珀がたくさん採れる地層「久慈層群」もあり、縄文時代の遺跡から琥珀玉類が出土するほど、その歴史は古い。そんな琥珀について学べる国内唯一の「琥珀博物館」には、大正7年(1918年)頃まで操業していた琥珀坑道跡があり、見学用に整備されている。近隣地には、琥珀を採掘できる体験メニュー(要予約)もある。

 冬場でも土日祝日に海女の素潜りや南部ダイバーを見学できる施設がある。久慈国家石油備蓄基地のトンネルを利用した、日本初の地下水族科学館「もぐらんぴあ」だ。東日本大震災の津波で全壊したものの、平成28年(2016年)に営業を再開。「かめ吉」(アオウミガメ)をはじめ、震災を生きのびた生き物(8種21匹)にも会える。

 実際に、久慈市を訪れて、『あまちゃん』というドラマが、この地域の自然や歴史を反映した文化とちゃんとつながっていることがよくわかった。同時に、ドラマで描ききれなかったもの、描かれなかったものがまだまだあることも知った。

■1964年東京オリンピックに貢献した久慈市出身の柔道家がいた

 その一つが、久慈市出身の柔道家・三船久蔵の存在だ。『いだてん』で俳優の役所広司が演じる最重要キャラクターの一人、嘉納治五郎とゆかりの深い人物が、『あまちゃん』のロケ地にいたのだ。

 嘉納治五郎は、近代柔道を築いた講道館の初代館長を務め、アジア初のIOC委員として、日本のオリンピック初出場(1912年ストックホルム大会)のために奮闘した実在の人物。

 三船は、見よう見まねで覚えた柔道を極めようと、上京して講道館に入門。身長159センチ、体重55キロの小兵ながら、「空気投げ(隅落とし)」という神技を創案して、最高位の十段にまで昇り詰めた。さらに、嘉納の遺志を継いで、柔道の発展に尽力し、柔道がオリンピック正式種目となった1964年東京大会ではメダル授与者も務めている。

 久慈市内にある「三船十段記念館」には、嘉納治五郎による書「精力善用」(大場啓子氏寄贈)や東京オリンピック組織委員会から贈られた感謝状&感謝メダルなどが展示されている。取材に訪れた時、併設の柔道場では、小学生の道場生たちが元気よくけいこをしていた。

 『あまちゃん』のロケ地で思いがけず出会った、オリンピック噺。偶然か、必然か、脚本を手がける宮藤官九郎氏は知っていたのだろうか。

関連写真

  • 『あまちゃん』ロケ地・岩手県久慈市にある「三船十段記念館」の道場で稽古に励んでいた小学生たち (C)ORICON NewS inc.
  • 三陸鉄道&JR久慈駅からほど近い場所にある「あまちゃんハウス」撮影に使用した小道具などが展示されている (C)ORICON NewS inc.
  • 1964年東京オリンピックの成功に尽力した久慈市出身の柔道家・三船久蔵の功績を称える「三船十段記念館」 (C)ORICON NewS inc.
  • ドラマにたびたび登場した「北三陸駅」のロケ地、三陸鉄道久慈駅 (C)ORICON NewS inc.
  • 三陸鉄道久慈駅のうに弁当で知られる「三陸リアス亭」 (C)ORICON NewS inc.
  • 三陸鉄道久慈駅で売っている1日20食限定の駅弁「うに弁当」 (C)ORICON NewS inc.
  • ロケ地の駅前ビルも健在 (C)ORICON NewS inc.
  • ロケ地の駅前ビルも健在 (C)ORICON NewS inc.
  • 『あまちゃん』のロケ風景の写真や、ドラマ内で実際に使われた衣装や小道具などを展示。北三陸地域のお土産品も販売 (C)ORICON NewS inc.
  • 『あまちゃん』のロケ風景の写真や、ドラマ内で実際に使われた衣装や小道具などを展示。北三陸地域のお土産品も販売 (C)ORICON NewS inc.
  • 『あまちゃん』のロケ風景の写真や、ドラマ内で実際に使われた衣装や小道具などを展示。北三陸地域のお土産品も販売 (C)ORICON NewS inc.
  • 『あまちゃん』のロケ風景の写真や、ドラマ内で実際に使われた衣装や小道具などを展示。北三陸地域のお土産品も販売 (C)ORICON NewS inc.
  • 『あまちゃん』のロケ風景の写真や、ドラマ内で実際に使われた衣装や小道具などを展示。北三陸地域のお土産品も販売 (C)ORICON NewS inc.
  • 『あまちゃん』のロケ風景の写真や、ドラマ内で実際に使われた衣装や小道具などを展示。北三陸地域のお土産品も販売 (C)ORICON NewS inc.

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