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“逆境に立つほど輝く”長谷川博己、朝ドラ『まんぷく』の裏ヒロインとして好調けん引

 NHK連続テレビ小説『まんぷく』が折り返し地点を迎え、なお好調だ。視聴率は初回23.8%と前作『半分、青い。』超えの好スタートを切り、その後もほとんどの回で20%超えの大台をキープ。内容面も支持されており、『コンフィデンス』誌によるドラマ満足度調査「オリコン ドラマバリュー」では、直近3年のNHK朝ドラ作品で最高となる100Pt満点中73Ptからスタート。そこからさらにジワジワと満足度を上げ、第4週と第10週では90Ptまで上昇している。好調をけん引する要素はいくつもあるが、なかでも際立つのは「ある意味、ヒロインっぽい」とも言われている、長谷川博己演じるヒロインの夫・萬平さんの存在だろう。前半だけでも戦争前後の混乱や萬平さんの3度の逮捕など、困難ばかりが相次ぐ物語となっているにもかかわらず、お茶の間の“脱落者”がほとんどないのは見事と言うほかない。

◆誠実で猪突猛進、だからこそ追い詰められてしまう姿に女性視聴者が釘付け

『まんぷく』は戦前の大阪を舞台とし、ヒロイン・福子(安藤サクラ)が青年実業家の萬平と出会い、結婚。何度も失敗してはどん底から立ちあがり、世紀の発明「インスタントラーメン」を生み出すまでの物語だ。

 発明の才能はあるのに、商売下手な萬平さん。「世の中の役に立つものを作りたい」という理想を抱き、福ちゃん(福子)と最初に出会った時には幻灯機を、再会した頃には根菜切断機を作っていた。結婚後には倉庫に大量にあった鉄板と目の前に広がる海を利用して「塩作り」をし、福ちゃんの産後の肥立ちが悪いことから思い立って、栄養食品「ダネイホン」を作る。物語を動かしていく存在は萬平さんであり、「萬平のほうがヒロインっぽい」とも言われてきた。

 また、シャツ+丸眼鏡+サスペンダー姿の理系男子ぶりで視聴者を魅了したり、福ちゃんへの恋心で仕事も手につかないドジっ子ぶりを発揮したり、福ちゃんの勤めるホテルに突然行って「福子さん、アメリカと戦争が始まってしまいましたね。でも、でも…僕と付き合っていただけませんか?」と脈絡なく妙な告白をしたり……。挙句、軍事物資の横流しを疑われ、投獄・拷問されたときには、その痛々しい姿から漏れ出る色気に、SNS等では多くの女性視聴者が反応していた。

 塩業の従業員たちのために開いた慰労会では、こわばった顔でダダスベリの漫才を披露し、落ち込むような愛らしさもある。塩作り班とダネイホン作り班で従業員が分裂すると、団結力を高めるために両方の仕事をさせ、かえって従業員を疲弊させてしまうというズレた面も多々ある。

 純粋な良い人で、天然で、ちょっとズレている萬平さんは、利用されたり騙されたり、ひどい目にあわされたりすることも多い。しかし、「ドラマバリュー」に寄せられる「萬平さんのたまに見せるセクシーさ、色気が素敵」(30代女性/北海道)、「萬平さんの驚き方やお風呂で歌っている姿などが可愛い」(20代女性/京都)、「萬平さんがどうなりたいのかわからずイラッとすることもあるけど、キャラクターが魅力的なので憎めない」(30代女性/岡山)などのコメントに見るように、萬平さんのダメなところや愛嬌、色気に惹かれる視聴者は多数いるようだ。

 あらすじだけを追うと、受難が多すぎて暗い物語にもなりかねない。しかし、そうならないのは、脚本・演出の巧みさに加え、萬平さんを絶妙なバランス感で演じる長谷川が放つ独特な愛嬌と、繊細そうに見えて決して折れない屈強さ、真面目さ、頑固さ、あふれ出る生命力のためではないだろうか。

◆『セカンドバージン』を筆頭に、これまでも波乱万丈の人生・登場人物を好演

 文学座出身で舞台を中心に活躍していた長谷川が、広く顔と名前を知られるきっかけとなったのは、NHKドラマ『セカンドバージン』だ。本作で長谷川は、17歳年上の出版プロデューサー・中村るい(鈴木京香)と許されぬ恋に落ちる、金融庁の若手キャリア官僚で妻帯者の鈴木行を演じた。挫折を知らなかったエリートが、恋により追い詰められていく破滅的な艶っぽさから人気に火がつく。

 その後もドラマ『鈴木先生』(テレビ東京系)や『家政婦のミタ』(日本テレビ系)、大河ドラマ『八重の桜』(NHK総合)、『デート〜恋とはどんなものかしら〜』(フジテレビ系)、日曜劇場『小さな巨人』(TBS系)、映画『シン・ゴジラ』『散歩する侵略者』などに至るまで、何かと追い詰められたり、挫折したりする男を魅力的に演じ、視聴者のハートを掴んできた。

 不遇な状況にある長谷川を見るとき、視聴者は「可哀相」とか「守ってあげたい」とか、母性本能をくすぐられるわけではない。真っすぐで真摯で不器用で、エキセントリックで、ときに笑いを誘うほどにぶっ飛んでいて、シニカルな愛嬌があって、エネルギーに満ち溢れているからこそ、どんなどん底の状況でも哀れに見えない強さが大きな魅力となっている。

 長谷川博己は追い詰められ、挫折すればするほど艶が増し、ときには危険なほどの色気と輝きを放つ。だからこそ、視聴者は「辛すぎて観ていられない」状態にならず、次にどんな手を繰り出すのかワクワクし、大胆な発想や思いもよらない奇手にトキメキを覚え、ちょっと離れた場所から見守っていきたいと感じてしまうのだ。

 ちなみに『まんぷく』は、長谷川を『セカンドバージン』によって“発掘”し、世間の認知度を一気に高めたNHKのドラマ。長谷川の魅力を存分に理解しているNHKだからこそ、さまざまな表情を余すところなく引き出す演出をしているのではないだろうか。そう思うと、2020年放送の大河ドラマ『麒麟がくる』で、長谷川が主人公・明智光秀役を演じるのも、実に楽しみになってくる。

 窮地に立たされたときに放つ可愛さや色気、知性やぶっ飛んだヤバさなどを目の当たりにするとき、視聴者はハラハラしたり、ときめいたり、頼もしさを感じてしまう。実は長谷川はさまざまな役を通じて、現代女性が理想の男性像としてよく掲げる「どこでも生きてくことができ、サバイバル能力の高い人」を体現する存在なのかもしれない。

文/田幸和歌子



関連写真

  • NHK連続テレビ小説『まんぷく』でヒロインの夫・立花萬平を好演中の長谷川博己 (C)ORICON NewS inc.
  • NHK連続テレビ小説『まんぷく』のドラマ満足度「オリコン ドラマバリュー」の推移
  • 長谷川博己(撮影:逢坂-聡)

提供元:CONFIDENCE

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