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TikTok発の楽曲ヒットに新たな潮流 キーワードは“共鳴”

 本年、ティーンを中心に一気にユーザーを広げたTikTok。ここを着火点にヒット曲が生まれるケースも増加している。当初は印象的なフレーズやダンスを使用したインパクト重視の動画がユーザー間で広がっていく傾向が強かったが、それらとも少し違う傾向も徐々に表れてきている。

TikTokでヒット中のコアラモード.「さくらぼっち」を使用した動画は7万2500本超え

TikTokでヒット中のコアラモード.「さくらぼっち」を使用した動画は7万2500本超え

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コアラモード.「さくらぼっち」使用動画が7万2500本超に

 日本でのサービス開始から1年あまりで、7月の国内の月間総再生回数が130億回を突破するという急成長ぶりを見せるUGCプラットフォームTikTok。最新のヒット事例のひとつ、コアラモード.「さくらぼっち」関連動画の盛り上がりは、このサービスが新たなフェイズに入りつつある証だと井藤理人氏は語る。

「TikTokは時間も15秒ほどで、歌や踊りとの親和性が非常に高く、これまでは、ぱっと見て“おもしろい”、“凄い”というインパクト重視の動画がメインストリームでした。ですが、ユーザー層に厚みが増す中で、新しい楽しみ方も生まれてきています。コアラモード.さんのケースはその象徴的なもの。かわいいセルフィーやかっこいいダンスだけでなく、楽曲自体のエモーショナルな魅力に注目し、それに共鳴するという方向性が受け入れられたということでしょう。いわばTikTokで扱える感情の幅が拡大した。“そうだよね”、“そういうことあるよね”、というレベルで共感され、拡散するスタンスがヒットにつながったのだと思います」

 男女ふたり組ユニットによるこの楽曲のリリースは2016年3月。桜の季節、会いたい人に会えないせつない気持ちを歌ったナンバーだ。9月後半に最初のユーザー動画がアップされて以降、それに共感した動画が次々に投稿され、10月末には明確に流行していると呼べる状況に。途中、オフィシャル音源化やアーティスト本人による動画投稿なども経ながら、11月末には「さくらぼっち」使用動画が7万2500本を超えた。その過程でサブスクでの再生回数にも波及し、特にLINE MUSICでは最高3位を記録した。

◆オーガニックな連鎖反応がヒットを生む

「アーティストが楽曲に込めたメッセージ性に反応し、いいねを押すように動画を投稿する。コアラモード.さんたちも、そういうポジティブな使われ方なら、ということで公式アカウントを立ち上げて生歌を披露し、それがまたポジティブな循環を生みました。手前ミソになりますが、2年以上前の楽曲がこうしたムーブメントを生み出せるというのは、実にTikTokらしいと考えています。倖田來未さんの「め組のひと」でも同様でしたが、基本的には、誰かが何かを仕掛けようといった意図ありきではなく、オーガニックな連鎖反応がヒットを生むのがこのプラットフォーム最大の特徴のひとつですから」

 一方では、サントリー食品の「#わっしょいジャパン」やAbema TVの番宣「#今日好きダンス」などのように、明確なプロモーションやキャンペーンの経路としての活用・開発も精力的に進められている。

「キャンペーンや広告で、最大の効果を狙うためには、まずTikTokというユーザーのエンゲージメントが非常に高いプラットフォームの特性をよく把握している必要が当然あります。その上で、自分も参加したい、やってみたい、と思ってもらえるような、ふさわしいアイデアを投入する。それは楽曲でも振り付けでもメッセージ性でもいいのですが、アーティストさんやクライアントさん側と一緒に、ケースバイケースでしっかり構築して取り組まなければいけない領域だと思っています」

◆TikTokはトリガー・メディアであり、ブランディング・メディア

 特に音楽業界にとっては、ストレートな販促メディアというより、むしろブランディング・メディアとしての特性を理解してほしいと井藤氏。

「TikTokはトリガー・メディアであり、きっかけを作り出すことはできますが、すべて内部で完結するようなツールではありません。重要なのは、TikTok内でどういうイメージを作り上げていくのか、アウトプットとして何を形成したいのかという点。こういう人たちがこういう楽しみ方をしてる、そういう歌があるのか、と知った人たちが公式アカウントから他の公式SNSアカウントに飛べたり、サブスクサービスに飛べたりする機能もあります。そういう意味では、タッチポイントとしての意義も大きいのではないかと考えています」

 現在、世界150ヶ国以上においてローカルベースのアプリとして展開中で、日本版ではAWAと業務提携し、Apple Musicといったサービスとの連携も行われている。

「各国ごとに、使用できる楽曲もユーザーが接触できるコンテンツもそれぞれ異なるのが基本仕様ですが、もちろん戦略的に世界キャンペーンのような仕掛けを選択・展開することも可能です。2019年は、楽曲の使用権利クリアを引き続き推進するのと同時に、実際のアーティストプロモーションを各レーベルのみなさんと一緒に考えていきます」

 コアラモード.のケースでは、そのメッセージがエモーショナルな共感を伴って拡散した。リズム、ダンス、メッセージ、エフェクト、コンセプト、ビジュアルなど、15秒のUGCは実はとても多様な切り口を持っている。ほんの2ヶ月前と比べてもユーザーのデモグラフィックがどんどん変化しているというスピード感を含めて、TikTokのポテンシャルを引き続き注視したい。

文/及川望

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  • 人気TikTokerの古川優奈も「さくらぼっち」を使用した動画を投稿
  • 井藤理人氏(Bytedance グローバル ビジネス デベロップメント 本部長)
  • コアラモード.シングル「さくらぼっち」

提供元:CONFIDENCE

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