女優の田中麗奈、ともさかりえ、佐藤江梨子が22日、東京・渋谷のNHKで、総合テレビで27日スタートの土曜時代ドラマ『ぬけまいる〜女三人伊勢参り〜』（毎週土曜　後6：05〜6：43、連続8回）の取材に応じた。本作で三者三様、新たな扉を開いたという。

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　同ドラマは、直木賞作家・朝井まかて氏の同名小説（講談社文庫）が原作。連続テレビ小説『どんど晴れ』（2007年）、大河ドラマ『天地人』（09年）などの小松江里子氏らが脚本化した。

　一膳飯屋の娘、以乃（いの／ともさか）。武家の妻、志花（しか／佐藤）。小間物屋の女主人、蝶（ちょう／田中）。若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶（いのしかちょう）」と呼ばれ、ブイブイ言わせた江戸の三人娘も三十路過ぎ。今ではそれぞれに人に言えない事情と鬱屈を抱えたていた。そんな3人が、突如、仕事も家庭も放り出し、いきなり姿をくらまして伊勢詣りに行ってしまう当世はやりの「抜け詣（まい）り」に繰り出した。

　田中はコメディーに開眼。巡礼をかたって大人たちから寄付をせしめている娘と風呂で大乱闘するシーンでは、桶いっぱいの水を頭からぶっかけられ、「あれ、楽しかったですね。小さい時に見ていたコントの一部というか、やってもらいたかった、みたいな。びしょびしょになって」と、思い出し笑い。田中が水をかぶった直後に佐藤が空の桶で娘の頭を叩いて、桶の底が抜けるという一連の動きの中でNGが出てしまい、実は2度も頭から水をかぶっていたのだが、それでも「楽しかった」とにっこり。

　さらに、田中が演じたお蝶は、原作どおりトレイが近いという設定で、しょっちゅう用を足したくなっては、かわやに駆け込み、ほかの2人に迷惑をかける。田中は「最後までかわやを探して旅しています」と、トイレに行きたがる芝居も見どころに挙げた。

　ともさかが演じるお以乃は、3人の中でも一番男前で自由人。「最初、おしか役かな、と思っていたんですが、一番ないと思っていたおいのだったので、配役を聞いて驚きました。NHKの時代劇ではわりとお行儀がいい役が多かったので、新鮮で。立膝ついたり、いの一番にけんかに突っ込んでいったり、自分の中では新しい扉が開いているような気がして楽しくやらせていただいております」。前出の大乱闘シーンでは、相手の娘をガチでひっぱたき、いい音を出していた。

　配役を意外に感じたのは佐藤も。「原作を読んで、私はきっと町娘（お以乃）だろうな、と思っていたら、やったことがない武家の奥方のお志花だったので、日本舞踊のお稽古をしたり、自分にとっても学ぶことが多い現場。ト書きに剣術の達人とあったんですが、それは忘れてください」と、冗談混じりに話していた。

　「3人がとても明るくて元気で、道中、けんかもするんですが、出会った人たちとのエピソードがホロっとしたり、助けたつもりが助けられていたり、思いがけずいいことしていたり、3人が歩いていくだけど、面白い出会いがある。ご家族で安心して楽しめる作品」（田中）、「江戸時代でも現代でも女同士で集まると、話すことは変わらないんだな。同じようなことで笑ったり、悩んだり、怒ったり、泣いたり。時代劇ですが、いろんな世代の方に共感していただけるポイントがあると思う」（ともさか）、「アクションがあったり、入浴シーンがあったり。3歳の息子も笑って見てくれたので、自信が湧きました」（佐藤）と、それぞれ見どころをアピールしていた。

　取材会には、原作者の朝井氏、脚本の小松氏、演出の黛りんたろう氏も同席した。